1計画策定にあたって (1)計画策定の趣旨 本市では、昭和56年度に「横浜市職員への身体障害者雇用について―基本方針―」を策定し、同年度に身体に障害のある人を対象とした職員選考を開始して以降、積極的に障害者雇用に取り組んで来ました。 現在では、障害の種別を問わない採用選考を実施しているほか、採用の規模も拡大し、多くの障害のある職員が市の各部署で働いています。 国においては、令和元年6月に障害者雇用促進法の改正があり、自ら率先して障害者を雇用する責務が明示され、さらに国及び地方公共団体の任命権者における、障害者活躍推進計画作成指針に即して、障害者である職員の職業生活における活躍の推進に関する取組に関する計画(以下「障害者活躍推進計画」という。)の作成義務も定められました。 これを受け、本市においても、障害のある人の雇用の機会の確保及び障害のある職員が安心して働くことができる環境整備をより一層進めていくため、令和2年4月に障害者活躍推進計画を策定しました。 当初計画期間が令和3年度末で終了することから、これまでの取組状況を踏まえ、新たな障害者活躍推進計画を策定します。 (2)計画策定主体 本市全体で障害者雇用の推進に向けた取組を統一的に行うために、各任命権者が連携して計画を策定します。 主体:市長部局、横浜市水道局、横浜市交通局、横浜市医療局病院経営本部、横浜市教育委員会 任命権者ごとの取組についても計画内に記載、反映していきます。 (3)計画期間 令和4年4月1日から令和7年3月31日までの3年間 (4)周知・公表 計画策定後、速やかに本市ホームページに公表し、周知を図ります。 2本市の障害者雇用の状況 (1)障害のある職員の採用状況 障害のある人を対象とした採用選考を実施し、一般職員、会計年度任用職員ともに、障害種別を限定せずに選考の対象としています。 一般職員については身体に障害のある方を対象とした採用選考を昭和56年度から実施しています。 令和元年度から知的障害及び精神障害のある方へと対象を拡大し、障害種別を限定しない採用選考を実施しています。 (2)法定雇用率の達成状況 ここに各年度6月1日現在の法定雇用率の達成状況についての表があります。表は4行です。 法定雇用率 令和元年度2.5% 令和2年度2.5% 令和3年度2.6% 全市 令和元年度2.52% 令和2年度2.38% 令和3年度2.39% 市長部局 令和元年度任命権者別の雇用率非公表 令和2年度2.76% 令和3年度2.67% 教育委員会 令和元年度任命権者別の雇用率非公表 令和2年度1.63% 令和3年度1.76% 水道局 令和元年度任命権者別の雇用率非公表 令和2年度2.74% 令和3年度3.09% 交通局 令和元年度任命権者別の雇用率非公表 令和2年度2.64% 令和3年度2.59% 医療局病院経営本部 令和元年度任命権者別の雇用率非公表 令和2年度1.57% 令和3年度1.52% 表はこれで終わりです。 令和3年6月1日時点の本市全体の障害者雇用率は2.39%となり、法定雇用率は未達成となりました。障害のある職員の数自体は増加し続けているものの、令和2年度の会計年度任用職員制度の開始による算定対象職員の見直し、令和3年度の感染症対策等のための増員等により、算定の基礎となる職員の数が大幅に増加し、それに対応するだけの障害のある職員の雇用拡大が令和3年度時点で実現できていません。 ここに各年度6月1日現在の障害のある職員(実雇用人数)についての表があります。表は4行です。 身体障害 令和元年度519人 令和2年度504人 令和3年度502人 知的障害 令和元年度55人 令和2年度70人 令和3年度76人 精神障害 令和元年度66人 令和2年度83人 令和3年度110人 合計 令和元年度640人 令和2年度657人 令和3年度688人 表はこれで終わりです。 (3)法定雇用率の達成に向けた課題 法定雇用率の達成に向けては、障害のある方の採用を拡大していく必要がありますが、採用人数を増やすだけでなく、一人一人に様々な障害特性があることを踏まえ、障害のある人も働き続けられる環境の整備や支援体制の充実にも取り組んでいく必要があります。 (4)障害者雇用にかかる職員の意識 障害者雇用にかかる職員アンケートを実施しました。 概要 対象は横浜市全職員(会計年度任用職員含む) 実施方法はWEBフォームでの回答またはアンケート用紙の提出 実施時期は令和4年2月4日(金曜日)~2月15日(火曜日) 回収状況は2418件(電子は1919件、用紙は499件) ここにアンケート結果のグラフがあります。 項目1あなたは、横浜市役所で障害のある職員と一緒に働いたことがありますか。(必須) 働いたことがある46.8% 働いたことがない53.2% 有効回答数2416 項目2あなたが今勤務している職場は、障害のある職員にとって働きやすい職場だと思いますか。(必須) そう思う8.4% ややそう思う19.5% どちらとも言えない31.2% あまりそう思わない22.0% そう思わない18.8% 有効回答数2415 項目3項目2について、働きやすい職場だと思う点はどのようなところですか。(複数可) 職場の場所や環境31.1% 業務上の障害への配慮33.7% 周囲の職員の理解44.0% 相談体制14.3% その他3.7% 無回答27.1% 有効回答数2418 項目4項目2について、働きやすい職場だと思わない点はどのようなところですか。(複数可) 職場の場所や環境43.8% 業務上の障害への配慮32.0% 周囲の職員の理解15.9% 相談体制10.8% その他10.3% 無回答24.4% 有効回答数2418 項目5あなたは、横浜市役所内で障害者雇用に関する理解が進んでいると思いますか。(必須) そう思う8.6% ややそう思う30.3% どちらとも言えない45.4% あまりそう思わない11.7% そう思わない4.0% 有効回答数2392 項目5について障害のある職員と働いた経験別の回答 項目1で一緒に働いたことがあると回答した人 そう思う10.8% ややそう思う36.9% どちらとも言えない34.9% あまりそう思わない13.3% そう思わない4.1% そう思うとややそう思うの合計47.7% 項目1で一緒に働いたことがないと回答した人 そう思う6.7% ややそう思う24.4% どちらとも言えない54.7% あまりそう思わない10.4% そう思わない3.8% そう思うとややそう思うの合計31.1% グラフはこれで終わりです。 項目6項目5について、どのような点でそのように思いますか。 主な意見 ・そう思う、ややそう思うの回答者 ・障害者の職員を比較的よく見かけるため ・研修等を行い、理解を深めている ・職場での業務に関してサポート体制をとっているため どちらとも言えないの回答者 ・実際に障害者と勤務したことがないため ・障害者雇用についてどの程度進んでいるのか理解できていない ・周りの理解度に差がある ・進んでいる部署、いない部署があり、全てにおいて統一されていないと思うため あまりそう思わない、そう思わないの回答者 ・一部の職場に限られている ・障害者の受入に抵抗感がある ・環境整備についてまだ進んでいないと感じる ここにアンケート結果のグラフがあります。 項目7あなたは、「横浜市障害者活躍推進計画」を知っていますか。(必須) 知っている38.0% 知らない62.0% 有効回答数2387 グラフはこれで終わりです。 項目8横浜市役所内の障害者雇用の推進について何かご意見があれば教えてください。 主な意見 ・どのような取組や問題があるのか情報が広く共有されると良い。 ・障害者を受け入れられる職場はもっとあると思うが、実際は数も少ない。障害者に限らずいろいろな人がいて、それが当然で職場活性化につながると理解することが重要。 ・障害者を含め、配慮事項のある職員が働きやすい職場づくりを確保して欲しい。 ・ただ雇用すれば良いわけではなく、働き方についても十分に検討をお願いします。 ・障害者雇用についての配慮や職場環境整備が配属課任せになりすぎ。 3計画に関する目標 (1)採用に関する目標 ①目標 法定雇用率を上回る人数を採用 各自治体での障害者雇用率の達成状況の通報の基準となる6月1日時点において、本市での実雇用率が法定雇用率を上回る人数の採用を目標とします。 ※令和3年度の法定雇用率は2.6%(令和3年6月1日時点の本市の実雇用率は2.39%) ②評価方法 毎年の任免状況調査により把握・進捗管理します。 国及び自治体には、対象障害者である職員の任免に関する状況を厚生労働大臣に通報することが義務付けられています。本市では毎年「職員の障害に関する状況調査」を実施した上で本市職員における障害者の雇用状況を神奈川労働局へ報告をしていますが、その障害者任免状況通報書に基づき、達成状況を確認していきます。 (2)定着に関する目標 ①目標 採用後1年間の定着率88%以上を維持 民間企業(障害者求人)における就職後1年間の定着率は70.4%*です。一方で、本市の障害のある人を対象とした職員採用選考における令和元年度~令和2年度の採用者の採用後1年間の定着率の実績平均は88%であることから、民間企業の定着率よりも高い定着率を目標として設定し、その維持を目指します。 *「障害者の就業状況等に関する調査研究」(平成29年度独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構障害者職業総合センター)による ②評価方法 毎年、障害のある人を対象とした職員採用選考における採用者の1年間の定着率を算出します。 4計画における取組の内容に関する具体的事項 (1)障害者の活躍を推進する体制整備 ア 組織面での体制整備 <推進体制> ①障害者雇用推進者の選任 障害者雇用の促進及び障害者活躍推進計画の円滑な実施を図るために障害者雇用推進者(人事担当部長等)を任命権者ごとに選任し、執行体制の責任者として障害者雇用の推進を行っていきます。 ここに障害者雇用推進者についての表があります。表は2行です。 市長部局 総務局人事部長 水道局 水道局総務部長 交通局 交通局総務部長 医療局病院経営本部 医療局病院経営本部病院経営部長 教育委員会 教育委員会事務局総務部長 表はこれで終わりです。 ②障害者雇用推進会議の設置 採用計画に関する集中的な協議及び市全体に共通する事項のより効率的・効果的な実施に関する協議を行うため、新たに令和3年度から、障害者雇用推進者等(任命権者ごとの人事担当部長等)を委員として、採用計画や障害者雇用率達成のための取組、合理的配慮の提供等について協議を行う「障害者雇用推進会議」を設置し、会議を開催しました。会議を通じて障害者雇用に係る課題共有及び意見交換を行い、引き続き連携し課題解決に取り組んでいきます。 <支援・相談体制> ③障害者雇用指導相談員の選任 各区局の人事主管課長を障害者雇用指導相談員に選任し、職場や障害のある職員からの相談体制を整えています。引き続き寄せられた悩みや相談に対して必要な対応を行います。 ④障害者職業生活相談員の選任 障害のある職員の相談及び指導についての実務経験や資格認定講習修了など資格を満たした障害者職業生活相談員を選任し、障害者の職業生活全般の相談に対応します。 障害者職業生活相談員は各任命権者の人事担当課の責任職等 ⑤障害者就労支援相談員(ジョブコーチ) 組織内での各種相談体制に加え、障害のある会計年度任用職員等の定着支援を行うため、障害者就労支援相談員(ジョブコーチ)を採用し、支援にあたっています。 【参考】 令和3年度は20名 主な業務 障害者会計年度任用職員の職場定着支援・相談、訪問 障害者会計年度任用職員が担当する業務の集約・調整及び業務支援 その他、障害者の就労支援に関する業務 ⑥その他 組織内の体制だけでなく、必要に応じて組織外の関係機関(神奈川労働局、支援機関等)と連携していきます。 イ 理解促進・意識啓発 平成28年度に算定基礎に追加となり、採用開始からの年数が比較的短い精神障害者の配属部署の職員を中心に、神奈川労働局等が開催する「精神・発達障害者しごとサポーター養成講座」の参加を促進し、障害特性に関する理解を深めていきます。スクール形式またはオンライン等、状況に応じての受講とします。 障害者職業生活相談員に選任された職員に対し、神奈川労働局が開催する資格認定講習の受講を推奨します。 学術機関等との連携 障害者の就労支援に知見のある星槎大学と令和3年3月に連携協定を締結しました。本市の障害者雇用を促進するための環境整備をより強力に進めていくために、連携して、職員全体の障害理解を促進し、障害者雇用の促進・定着に資する取組を行っていくことを目的として協定を締結しています。 なお、以下の項目について連携して取り組んでいくこととし、連携・協力して障害者の雇用促進への取組を進めていきます。 ①障害者就労支援相談員、受入れ職場等の職員を対象とした研修プログラムの共同研究 ②横浜市の職員を対象とした研修、セミナー、シンポジウム等の共同開催 ③受入れ職場拡大、定着のための提案・助言 星槎大学との連携協定により令和3年度から開始した研修を通じて、さらなる障害者の理解促進を図っていきます。 ・障害者支援を行う障害者就労支援相談員(ジョブコーチ)への研修 ・障害のある職員の配置職場を含めた全職員向けの研修 (2)職務の選定・創出(障害のある会計年度任用職員) 一般職員における職務選定・創出については、採用時点で合理的配慮の提供を行った上で他職員と同一業務への従事を想定していることから、障害のある会計年度任用職員を対象とした取組について記載します。 ア チャレンジドオフィス 平成28年に庁内の各部署からの切り分け可能な内部事務を集約し、知的障害者嘱託員がその業務を担う「チャレンジドオフィス」を総務局人事課に開設しました。令和3年10月現在では、39名の知的障害・精神障害のある会計年度任用職員が勤務しています。文書集配や郵便物の封入、データ入力などの事務補助業務に加え、庁内物流業務も担い、業務拡大してきました。引き続き担当業務の拡大について検討していきます。 イ 区局配置の拡大とチャレンジドオフィスの拠点増設(試行) 区の福祉保健センターや局の事業担当課などを中心に、各区局の様々な部署で障害のある会計年度任用職員が採用されています。業務の切り出しを積極的に行うとともに、支援方法については、障害者就労支援相談員(ジョブコーチ)の相談対応等を活用しながら取り組んでいきます。 また、令和4年度からチャレンジドオフィスの拠点増設を試行し、障害のある方の雇用の場のさらなる拡大に向けて取り組んでいきます。 ウ 各任命権者の取組 企業局等においても特性や適性に応じた職務の選定及び創出について検討を行っていきます。 【水道局】 障害のある職員の職場定着を目指し、引き続き本人が持つ障害の特性や適性に応じた配置を行うとともに、職場や本人からの相談体制を整えていきます。 【交通局】 雇用時に、本人が持つ障害の特性や適性に応じて配置を行います。また、配置職場に説明会を実施し、障害者雇用の局内の理解及び機運の醸成を図ることで、障害者雇用の定着を目指します。 【医療局病院経営本部】 障害の特性や適性に応じた職務を安定的かつ継続的に実施するために、ジョブコーチによる支援のもとでチーム型就労体制を構築します。 また、併せて新たな業務の切り出しを進め、より幅広く活躍できる場を提供していきます。 【教育委員会事務局】 事務局の各課室・図書館及び高等学校・特別支援学校において、障害のある会計年度任用職員を配置しています。障害者就労支援相談員(ジョブコーチ)により、障害のある職員への相談対応・定着支援や職場への助言等に取り組んでいます。 また、令和4年度から事務局及び一部の小・中学校において、教育委員会サポートオフィスの設置を試行するとともに、神奈川労働局等の関係機関との連携を進めることで、障害のある方の雇用促進・定着支援に向けた取組を一層進めていきます。 <定着支援の例> 1雇用者、職場責任者、ジョブコーチ及び支援機関等での面談(月1回程度) 2業務目標の設定と達成状況の確認によるキャリアアップ支援 (3)障害者の活躍を推進するための環境整備・人事管理 ア 職務環境について 個々の要望を踏まえ、合理的配慮の観点から就労支援機器の購入(例:拡大読書器、読み上げソフト)等を継続して実施します。 障害のある職員が担う事務補助業務に係る作業マニュアルを作成・共有し、職場及び職員への活用につなげていきます。 イ 募集・採用について (ア)採用選考に当たり、受験者からの要望を踏まえた障害特性への配慮(点字やパソコン、拡大読書器や拡大鏡の使用や、面接時の就労支援機関の職員等の同席を認めることなど)を引き続き行います。 (イ)募集・採用に当たっては、以下の取扱いを行いません。 ・特定の障害のある受験者を排除する。 ・自力で通勤できることを条件とする。 ・介助者なしで業務遂行できることを条件とする。 ・「就労支援機関に所属・登録しており、雇用期間中支援が受けられること」を条件とする。 ・特定の就労支援機関からのみの受入れを実施する。 ウ 働き方について 一般職員については、障害のあるなしに関わらず同一の勤務条件での採用となることから、勤務にあたり合理的配慮の提供等を活用していきます。 会計年度任用職員については、障害特性をふまえた勤務ができるよう、週の勤務日や始業・就業時間の複数設定等に努めていきます。 すべての職員が生き生きと働き、意欲と能力を最大限発揮できる働き方を促進するため、年次休暇など各種休暇の取得を促進していきます。 エ キャリア形成について 一般職員については、障害のあるなしに関わらず同一の枠組みの中でキャリア形成を支援します。合理的配慮の提供等を検討しながらキャリア形成を行います。 会計年度任用職員については、募集時の想定業務を前提としつつ、本人の設定した目標や経験に応じた業務分担や職務選定についても業務の範囲内で検討します。 オ その他の人事管理について (ア)通勤手段について、個々の状況に応じて柔軟に対応することとします。 (イ)新採用時をはじめ定期的な面談を活用し、状況把握や体調配慮、業務の取組状況を把握していきます。 5その他 自治体による障害者就労施設等からの物品等の調達の推進等に関する法律に基づく障害者就労施設等への発注等を通じて、障害者の活躍の場の拡大を推進することとします。 病院の清掃業務や名刺の印刷等についても、性質上可能な限り障害者就労支援施設を委託先として選定することで、障害者の就労機会創出に貢献します。(医療局病院経営本部)