広報よこはま3ページ OPEN YOKOHAMA 2021(令和3)年12月号 No.874 ○人権特集 12月4日〜10日は人権週間です  お互いに尊重しあい、ともに生きる社会をめざして  第40回全国中学生人権作文コンテスト横浜市大会に、55,079作品の応募がありました。  その中から、最優秀賞「横浜市長賞」を受賞した作品を紹介します。 最優秀賞「横浜市長賞」 ぼくの夢見る未来 横浜市立保土ケ谷中学校3年 太田圭胡(おおた けいご)さん  中学1年の時に、水泳部の部活中の事故で大怪我をしました。そして突然障害者になりました。脊髄損傷(せきずいそんしょう)という大怪我で手術をし、リハビリをし、北海道で再生医療を受けました。でもぼくの右手と右足は今までの様に動きません。それでも周りの人の支えのおかげで、また水泳をできるまでに回復しました。手術してくれた病院の先生や看護師さん、北海道の先生、リハビリの先生に助けてもらいました。今まで障害について、考えた事もなければ、自分が障害者になるなんて少しも考えた事もありませんでした。障害をもってからリハビリの時も診察の時も、ぼくより重い障害がある人に何人も出会いました。みんな挫(くじ)けず、辛いリハビリや治療をがんばっていました。前とは違う体になってしまった自分を認める事ができないでいるぼくにとって、とっても励みになりました。「前の自分だったら」とか「手や足が動けば」とかマイナスに考える事しかできなかった自分をはずかしく思いました。中学の友達とは違う体かもしれない、できなくなった事や苦手になってしまった事もマイナスに考える事もなく前に進んでいこうと思い始めました。同じパラ水泳のチームの人達の中には、知的障害の人や下半身が麻ひしている人、色々な障害がある人達が前向きに負けずにがんばっています。その姿に影響を受けて、また水泳を一からがんばろうと思いました。そして、練習を重ねていくうちに横浜市の水泳大会にチームのメンバーとして出場することになりました。今までの大会よりも緊張して、何も考えられませんでした。それでも、今までに助けてくれた人のためにがんばろうと思って泳ぎました。自由形の50メートルに出場して、ぼくはただがむしゃらに泳ぎました。泳ぎ終わった後、全力を出し切ってからっぽのぼくの耳に、「4コースを泳いだ太田圭胡さんが今大会の新記録を樹立しました」というアナウンスと、大きな拍手が聞こえてきました。新記録を出したという驚きと嬉しさを感じました。そして、金メダルと賞状をもらいました。今までの自分自身の努力がむくわれた感じがして、すごく達成感がありました。金メダルが取れたことを入院中に心配してくれた親や友達に伝えたところ、すっごく喜んでくれました。  ぼくが伝えたいことは、性別や、障害があるかないか、そういうことは関係なしに、みんながみんな、必ず来る明日のためにがんばって、努力しているということです。人それぞれ違いは必ずあると思いますが、そのかすかな違いを面白おかしくバカにしたり差別したりするのではなく、助け合ってみんなで生きていく、そういう社会になってほしいと思っています。どんなに辛くても、どんなに苦しくてもぼくは入院中友達や家族に心配されたことを何年たっても忘れません。みんなが忘れていてもぼくは覚えています。希望を抱いて生きていこうと思います。  ぼくの夢見る未来は、差別がなくどんな人も笑って過ごせる未来です。障害や性別関係なくみんなが笑顔でいられる社会です。辛い事があっても助け合って乗り越えていけるように、必ず、ぼくがみんなを笑顔にします。それがぼくが夢見る未来です。これから先も差別を受けたり、みんなと違うことをしていくと思いますが、挫(くじ)けずにがんばっていきたいです。自分より重い障害がある人をたくさん見てきました。自分が今何をすべきか、何のために生きているのかを考え、今まで応援してくれた人のためにいつか、何年先であってもパラリンピックに出て北海道の方々、同級生のみんな、先生方や家族に必ず恩返しをします。それがぼくにできるただ一つの事だと思っています。 ■人権よこはまwebキャンペーン2021  12月の「人権月間」に合わせて、人権よこはまwebキャンペーン2021を開催します。ウェブページでは、人権について「いつでも・誰でも・気軽に」触れ、楽しく学べる話題を数多く提供します。  また、キャンペーン期間中、人権啓発講演会を、オンラインで配信します。講師には、マンガの研究で知られる吉村和真(よしむら かずま)教授(京都精華大学)を招き、幅広い世代に馴染み深いマンガを題材に、知らず知らずのうちに刷り込まれるイメージや価値観に気づくきっかけとなるようなお話をしていただきます。  ほかにも、クイズやスポーツ選手のメッセージなど、内容は盛りだくさんです。キャンペーンに参加して、人権について一緒に考えてみましょう。 【開催期間】12月10日(金)〜2022年1月31日(月)(予定)  ※詳しくはウェブページで確認してください。 【問合せ】市民局人権課 電話045-671-2379 ファクス045-681-5453 京都精華大学 吉村和真教授の写真 「人権よこはまwebキャンペーン」で検索