「横浜市の保有する情報の公開に関する条例」の改正について ≪中間取りまとめ≫ 横浜市情報公開・個人情報保護審査会   1 実施機関について・・・1 情報公開条例の実施機関に消防長を加えることが適当である。 2 不開示情報について・・・2 情報公開条例の非開示情報については、新保護法の不開示情報に合わせて、法令秘や財産等保護情報規定を削除し、その他文言を調整する等の改正を行うことが適当である。 また、「非開示情報」との名称についても、新保護法に合わせて「不開示情報」に改めることが適当である。 さらに、情報公開法に合わせて行政機関等匿名加工情報及び当該情報の作成に用いた保有個人情報からの削除情報を不開示とする規定を設けることが適当である。 3 裁量的開示について・・・4 裁量的開示制度については、新たに設ける必要はない。 4 開示請求等に対する決定期間について・・・5 情報公開条例の開示請求等に対する決定期間については、原則14日以内となっているが、その期間内に横浜市の休日が多く含まれている場合があること等も踏まえ、 一定の調整規定を置くことが適当である。 5 開示の実施方法について・・・6 情報公開条例に基づき行政文書等を開示する場合、当該文書等をスキャナにより読み取って電磁的記録を作成した上で、 当該電磁的記録のオンラインでの交付及び光ディスク等の媒体での交付ができるようにすることが適当である。 6 開示に関する費用の性質について・・・7 新保護法に基づく本人開示請求制度と均衡を図るため、情報公開条例に基づき文書の写しの交付を求める者から徴収する費用を、手数料と位置づけることが適当である。 7 開示に関する手数料の額について・・・8 情報公開条例に基づく開示請求に係る手数料の額は、「写しの作成に要する費用の額」と「写しの送付に要する費用の額」との合計額とすることが適当である。 また、電磁的記録に係る複写の作成費用は、ページ数又はファイル数に応じた従量制とすることが適当である。 8 審査会の調査審議手続について・・・9 審査会における諮問に係る調査審議の手続について、次の規定を情報公開条例に置くことにより、新保護法に基づく手続規定とそろえることが適当である。 @審査会は、適当と認める者に鑑定を求めることができること。 A審査請求人又は参加人は、審査会での口頭意見陳述について、審査会の許可を得て、補佐人とともに出頭することができること。 B審査関係人は、主張書面及び資料について、審査会が相当の期間を定めたときは、その期間内に提出しなければならないこと。 C審査会は、審査会の調査権限を指名する委員に行わせ、又は意見陳述について指名する委員に聴かせることができること。 D審査会に提出された資料について、閲覧させ、又は交付しようとするときは、原則として、提出人の意見を聴かなければならないこと。 9 審査会に対する写しの交付の請求に関する手数料について・・・11 審査請求人等が主張書面等の写しの交付を求める場合、当該審査請求人等は手数料を納めなければならないこと、 当該手数料の額は「写しの作成に要する費用の額」とすること、及び当該手数料に係る減免に関する規定を設けることが適当である。 また、写しの送付を求める場合には、その送付に要する費用を負担する規定も設けることとする。 10 経過措置について・・・12 情報公開条例の規定の改廃に伴って開示請求者等に不利益や不都合が生じることがないよう、 改正前の情報公開条例の規定に基づいて進めている開示請求や審査請求の手続について、情報公開条例の改正後も引き続き手続ができるよう経過措置を設ける必要がある。 1 実施機関について 横浜市の保有する情報の公開に関する条例(以下「情報公開条例」という。)の実施機関に消防長を加えることが適当である。 〔説 明〕 現行情報公開条例第2条では、開示請求を受け、開示・非開示の決定を行い、及び開示等を実施する機関を「実施機関」として規定している。 これは、地方自治法(昭和22年法律第67号)、地方公営企業法(昭和27年法律第292号)等により、独立して事務を管理し、 及び執行する市の機関並びに市が設立した地方独立行政法人を行政文書の開示等を実施する機関とする趣旨である。 今回、改正後の横浜市個人情報の保護に関する条例(以下「新保護条例」という。)に、 令和5年4月1日施行の個人情報の保護に関する法律(以下「新保護法」という。)の適用を受ける市の機関を具体的に規定することを検討しており、 これに消防長が新たに加わることから、当該規定と合わせるべく、情報公開条例第2条の実施機関に消防長を追加することが適当である。 2 不開示情報について 情報公開条例の非開示情報については、新保護法の不開示情報に合わせて、法令秘や財産等保護情報規定を削除し、その他文言を調整する等の改正を行うことが適当である。 また、「非開示情報」との名称についても、新保護法に合わせて「不開示情報」に改めることが適当である。 さらに、情報公開法に合わせて行政機関等匿名加工情報及び当該情報の作成に用いた保有個人情報からの削除情報を不開示とする規定を設けることが適当である。 〔説 明〕 一般開示請求があった場合も、本人開示請求があった場合も、本人に関する部分を除いては不開示となる情報は同じであることから、 情報公開条例第7条第2項も、現行保護条例第22条も、その規定は基本的に同様なものとなっている。 新保護法の施行に伴い、本人開示請求は法に基づくものとなり、不開示情報は法第78条の定めるところとなったが、 同条の定めと現行保護条例第22条の定めは、表現的な差異はあれども、実質的に同一と評価できる。 つまり、情報公開条例第7条2項の定めとも実質的には同一といえるので、この際、同項も法第78条の表現とそろえておくことが適当である。 具体的には、法令秘(第7条第2項第1号)と財産等保護情報(同項第4号)の規定を削除することになるが、 現在これらを根拠に非開示としている情報については、これら以外の規定により非開示とすることが可能なので、運用はなんら変わらないものとなる。 また、用語としての「非開示情報」も新保護法に合わせて「不開示情報」に改めることが適当である。 さらに、国においては、行政機関の保有する情報の公開に関する法律(平成11年法律第42号。以下「情報公開法」という。)において、 行政機関等匿名加工情報及び当該情報の作成に用いた保有個人情報からの削除情報を不開示情報としている。 行政機関等匿名加工情報の制度を安全に運用するため、国と同様、これらの情報を不開示情報とする規定を設けることが適当である。 3 裁量的開示について 裁量的開示制度については、新たに設ける必要はない。 〔説 明〕 裁量的開示制度については、公文書公開制度の検討時(平成11年3月)に、次のような答申が出されている。 「非開示情報の規定によって保護される利益と、人の生命、身体、生活等の保護といった公益上の必要性とを個別具体的に比較衡量したときに、 高度な行政的判断により開示することに優越的な公益が認められる場合も考えられることから、情報公開法案や一部の地方公共団体の条例には、 「公益上の理由による裁量的開示」の規定を設けているものも見受けられる。しかし、こうした場合の取扱いについては、 個々の非開示条項の規定の中で定められるのが適当であり、重ねて公益上の裁量的開示の規定を設けることは、かえって運用上の混乱を招くことも予想される。 また、高度な行政的判断により裁量的開示を行う必要のある場合には、条例に基づく公文書の開示制度によるのではなく、 むしろ行政が率先しで情報提供を行うのが適当ではないかという意見も出された。こうしたことから「公益上の理由による裁量的開示」の規定は、 独立した条文として新たに条例に盛り込む必要はないとの結論に達した。」 個人情報本人開示請求については、新保護法により、裁量的開示制度が適用されるので、両制度の平仄(ひょうそく)を考えれば、 情報公開条例にも裁量的開示制度を設けることも考えられる。 しかし、高度な行政的判断により裁量的開示を行う必要のある場合には、開示制度によるのではなく、 むしろ行政が率先して情報提供を行うのが適当であるというのはもっともであり、答申時と特段の事情の変化は生じていないと考えられる。 したがって、情報公開条例において、裁量的開示制度を新たに設ける必要はない。 4 開示請求等に対する決定期間について 情報公開条例の開示請求等に対する決定期間については、原則14日以内となっているが、 その期間内に横浜市の休日が多く含まれている場合があること等も踏まえ、一定の調整規定を置くことが適当である。 〔説 明〕 現行情報公開条例第11条第1項では、開示決定等の期間を開示請求があった日の翌日から起算して14日以内としている。 この期間には勤務を要しない日も含んでいるため、GWや年末年始などの長期休暇にかかった場合、ほぼ必然的に期限の延長手続が必要となる不都合が生じている。 このような不都合を解消するためには、一定の場合には開庁日に着目して日数を算定する等の、調整規定を置くことが適当である。 なお、個人情報本人開示請求については、条例に基づく手続から法律に基づくものへの移行に伴い、原則が14日以内から30日以内になるが、 一般開示については、原則期間を大きく延ばす必要もなく、本人開示請求と合わせる必要もないと考えられる。 5 開示の実施方法について 情報公開条例に基づき行政文書等を開示する場合、当該文書等をスキャナにより読み取って電磁的記録を作成した上で、 当該電磁的記録のオンラインでの交付及び光ディスク等の媒体での交付ができるようにすることが適当である。 〔説 明〕 文書等について、開示に当たり写しの交付を求められたときには、当該文書等を複写して写しを作成し、当該写しを交付している。 しかし、市民の便宜を考えると、文書等をスキャナにより読み取って電磁的記録を作成し、当該電磁的記録を交付するという方法も認めることが適当である。 また、デジタル化の進展に伴い、電子メールなどによる情報開示の必要性も高まっていることから、これまでの開示方法に加えて、 オンラインでの開示も行うことが望ましいと考えられる。そこで、文書等をスキャナにより読み取って作成したものも含め、 電磁的記録のオンラインでの交付による開示の実施を行うことが適当である。 6 開示に関する費用の性質について 新保護法に基づく本人開示請求制度と均衡を図るため、情報公開条例に基づき文書の写しの交付を求める者から徴収する費用を、手数料と位置づけることが適当である。 〔説 明〕 情報公開条例第18条第2項では、写しの交付を受けようとする開示請求者は、写しの作成及び送付に要する費用を負担しなければならないことが規定されている。 保護条例第59条にも、本人開示請求につき同趣旨の規定がおかれており、これらはいずれも実費精算的な意味合いである。 新保護法により、本人開示請求の場合の費用は「手数料」と位置付けられたので、新保護条例には手数料の額としての定めを置くこととなる。 同じ開示の際の費用なのに、一般開示請求か本人開示請求かにより、その性質が異なるものも均衡を欠いているので、 情報公開条例においても手数料と位置付けることが適当である。 7 開示に関する手数料の額について 情報公開条例に基づく開示請求に係る手数料の額は、「写しの作成に要する費用の額」と「写しの送付に要する費用の額」との合計額とすることが適当である。 また、電磁的記録に係る複写の作成費用は、ページ数又はファイル数に応じた従量制とすることが適当である。 〔説 明〕 情報公開条例に基づく開示と本人の個人情報に係る開示の実施方法とは類似することから、これらの手数料の額をそろえることが適当である。 そこで、情報公開条例に定める開示請求に関する手数料の額は、新保護法に定める開示請求に関して新保護条例に定める手数料の額と同額とすることが適当である。 しかし、@電磁的記録をオンラインで交付する方法(電子メール又は専用サーバからのダウンロードによる方法)、 A文書等をスキャナにより読み取って作成した電磁的記録をオンラインで交付する方法については、保護法に基づく開示の方法としては定めがないことから、 この2つの方法について、手数料の額を検討する必要がある。 @及びAの交付方法による手数料の額は、文書等の用紙への複写による写しの交付の場合とのバランスを考慮した額とすることが適当である。 8 審査会の調査審議手続について 審査会における諮問に係る調査審議の手続について、次の規定を情報公開条例に置くことにより、新保護法に基づく手続規定とそろえることが適当である。 @審査会は、適当と認める者に鑑定を求めることができること。 A審査請求人又は参加人は、審査会での口頭意見陳述について、審査会の許可を得て、補佐人とともに出頭することができること。 B審査関係人は、主張書面及び資料について、審査会が相当の期間を定めたときは、その期間内に提出しなければならないこと。 C審査会は、審査会の調査権限を指名する委員に行わせ、又は意見陳述について指名する委員に聴かせることができること。 D審査会に提出された資料について、閲覧させ、又は交付しようとするときは、原則として、提出人の意見を聴かなければならないこと。 〔説 明〕 新保護法に基づく諮問に係る調査審議手続に適用される行政不服審査法(平成26年法律第68号。以下「行審法」という。)には、 情報公開条例に規定されていない調査審議手続の規定がある。そこで、情報公開条例について、行審法の規定と内容をそろえる必要があるかが問題となる。 この点、行審法と情報公開条例との審査会における調査審議に係る規定の違いは、次のとおりである。 1 行審法 審査会の調査権限(第74条) 審査会は、適当と認める者にその知っている事実を陳述させ、又は鑑定を求めることができる。 情報公開条例 審査会の調査権限(第24条第4項) 審査会は、適当と認める者にその知っている事実を陳述させることができる。 2 行審法 意見の陳述(第75条第2項) 審査請求人又は参加人は、審査会において口頭で意見を述べる場合、審査会の許可を得て、補佐人とともに出頭することができる。 情報公開条例 対応する規定なし(※ただし、審査会の運営要領に同様の規定あり) 3 行審法 主張書面の提出期限(第76条後段) 審査関係人は、主張書面又は資料について、審査会が相当の期間を定めたときは、その期間内に提出しなければならない。 情報公開条例 対応する規定なし 4 行審法 委員による調査手続(第77条) 審査会は、委員を指名して、当該委員に調査をさせ、意見陳述を聴かせることができる。 情報公開条例 対応する規定なし 5 行審法 意見聴取(第78条第2項) 審査関係人が主張書面又は資料の閲覧又は写しの交付を求める場合、審査会は、当該主張書面又は資料の提出人の意見を聴かなければならない (ただし、審査会が、その必要がないと認めるときを除く。)。 情報公開条例 対応する規定なし 1については、審議の充実につながり審査請求人の利益に資すると考えられることから、情報公開条例に行審法第74条と同様の規定を設けることが適当である。 2については、手続保障に係る規定であり、審査請求人の利益に資すると考えられることから、情報公開条例に行審法第75条と同様の規定を設けることが適当である。 3については、その期間内に提出する義務を審査関係人に課すことになるが、簡易迅速な救済手続という行政不服審査の性質を考えると、提出期間の設定には 合理性があると考えられるので、情報公開条例に行審法第76条後段と同様の規定を設けることが適当である。 4については、審議の効率化につながり審査請求人の利益に資すると考えられることから、情報公開条例に行審法第77条と同様の規定を設けることが適当である。 5については、提出人から意見を聴くことで、提出人に手続保障の機会を与えることができるので、情報公開条例に行審法第78条第2項と同様の規定を設けることが適当である。 9 審査会に対する写しの交付の請求に関する手数料について 審査請求人等が主張書面等の写しの交付を求める場合、当該審査請求人等は手数料を納めなければならないこと、 当該手数料の額は「写しの作成に要する費用の額」とすること、及び当該手数料に係る減免に関する規定を設けることが適当である。 また、写しの送付を求める場合には、その送付に要する費用を負担する規定も設けることとする。 〔説 明〕 新保護法に基づく諮問についての審査会での調査審議については、審査請求人等が主張書面等の写しの交付を求める場合、 当該審査請求人等は実費の範囲内において条例で定める額の手数料を負担すべきこととされている(行審法第78条第4項及び第81条第3項)。 当該手数料については、すでに横浜市行政不服審査条例(以下「行審条例」という。)第2条及び第14条で手数料の額を定めているため、これらの規定をそのまま適用する。 情報公開条例に基づく諮問についての審査会の調査審議については、これらの規定の適用がないため、本人開示請求との平仄(ひょうそく)を合わせるため 情報公開条例に行審条例と同趣旨の規定を設ける必要がある。 また、当該手数料の額について、写しの作成に要する費用の額とする規定及び当該手数料に係る減免規定並びに書面の送付を求める場合には 送付に要する費用を負担する規定についても、情報公開条例に設けることが適当である。 なお、審査庁から主張書面の写しの交付を受ける際の費用については、現在は実費相当額を負担する定め(情報公開条例第18条の4)を置いているが、 審査会から交付を受ける場合と同様、手数料として徴収することが適当である。 10 経過措置について 情報公開条例の規定の改廃に伴って開示請求者等に不利益や不都合が生じることがないよう、 改正前の情報公開条例の規定に基づいて進めている開示請求や審査請求の手続について、情報公開条例の改正後も引き続き手続ができるよう経過措置を設ける必要がある。 〔説 明〕 保護条例の改正に合わせて、情報公開条例に基づく開示請求に係る規定等の改廃を行うことになるが、この改廃に伴って手続等に変更が生じた場合には、 当該変更により開示請求者等に不利益や不都合が生じることがないよう、経過措置規定を設ける必要がある。