桂台小学校給食室（増築）

この計画は、築48年の老朽化した給食室の建て替えを行うことで、給食室のドライ化、作業環境の改善、構造法令適合化を実現することにありました。
約５年前のバリアーフリー改修で昇降機室、多目的トイレ、立体体育館への渡り廊下の増築を手掛けた時から始まり、それらを仮使用しながら、給食員との協議、設計、工事監理を行ったものです。
この計画を設計するにあたり、敷地の範囲が限定された中で機能性を満たしたコンパクトな平面、給食員の作業動線、環境への配慮など、施設機能、建築性能を満たすことは当然のこととして、給食を通して児童が毎日触れ合うことになるこの施設が将来にわたり親しまれ、愛着を持って使われるように、建築の質にも重点を置くことを目指したコンセプトとしました。
衛生面を確保しつつ給食員の働く姿が垣間見える開放的な設え、学校正門の正面に立地することに対し、異なる素材の立方体を積層した構成の温熱環境に配慮した建物外皮デザインにより、児童たちが建築に興味を持ち、建築を身近に感じられる建物としました。竣工時には、１年間給食を食べることなく卒業する６年生全員を見学会に招き、普段は入れない調理室内部を体験してもらいました。
これからこの施設で繰り広げられる様々な学校活動が、日常的にこの施設を豊かに彩り、地域に永く親しまれる建築であり続けることを意図して設計にのぞみました。