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横浜市開港記念会館(改修)

最終更新日 2024年8月9日

開港記念会館改修工事

建物概要
名称横浜市開港記念会館
所在地

中区本町1丁目6番地

構造規模

煉瓦造一部鉄骨煉瓦造及び鉄筋コンクリート造
地上2階、地下1階

延べ面積

4,461㎡

設計株式会社文化財保存計画協会
工期令和3年12月21日から令和5年12月28日
施工

(建築工事)清水建設株式会社
(電気設備工事)株式会社誠伸電気
(空気調和設備工事)オザワ総合設備株式会社
(衛生設備工事)株式会社アメニティ

施設案内横浜市開港記念会館(外部サイト)

設計者からのコメント

横浜は、安政五カ国条約により安政六年(1859年)に開港した。明治期に入ると官庁街が整備されるのに対して、横浜では「横浜町会所」が建てられたが明治39年(1906年)に焼失した。横浜市は、開港五十周年を記念して新たな公会堂建設を計画し、大正3年(1914年)着工、同6年(1917年)に竣工し「開港記念横浜会館」として開館した。
大正12年(1923年)の関東大震災で高塔部の時計塔、及び煉瓦造躯体の被害は免れたが、火災によって屋根及びドーム群、木造床等創建時のインテリアを失った。
その後、復旧工事が行われることとなり、この工事では鉄筋コンクリートによる構造補強が施され、屋根は、鉄筋コンクリート造の陸屋根が架けられた。内部も全面的に一新され、昭和2年(1927年)に竣工された。終戦後は、連合軍に接収され、「在日兵站司令部調達部」が入り使用されることになるが、当時の部屋の用途等の記録が無く不明であったが、この時の痕跡が今回の修理工事の中で確認され部屋の用途が推定されることとなり、この痕跡が変遷を示す貴重な資料となることからこの部分に保護カバーをかけ保存し、展示・公開することとした。
接収解除後、直ちに改修工事を行い昭和35年(1960年)に全面開館した。その後も窓枠サッシ交換や屋上防水層の張替え、便所の増設、空調設備の導入など活用に必要な整備工事を行ってきた。
昭和60年(1985年)、記念会館の創建時と震災後の復旧工事を担当した横浜市技師木村龍雄の親族から横浜市に設計図の一部が寄贈されたのを期にドーム屋根の復元事業が開始され、復元工事は平成元年(1989年)に完成し、同年9月に国指定有形重要文化財建造物に指定された。
その後も屋根・外壁等の外部補修、漆喰塗部分の内部補修、諸設備の補修・更新を行い、加えてエレベーターの設置や多目的トイレの設置等の工事を行ってきたが、この時期から約20年経ち劣化が進んでいるのを受け、文化財の適切な維持保存及び施設の安全性の確保を図るため、今回大規模な保存修理工事とともに活用上必要な整備工事を並行して実施することとなった。
保存修理工事においては、対象カ所の破損部解体調査を慎重に進め、修理履歴を追い、修理年代を明確にしたうえで仕様・方法を決定していかなければならないことから設計と違った仕様となる箇所が生じてきた。文化財建造物保存修理の場合は、解体しないと分からない点が多々あることから変更を意識した工事監理が必要になるところは、通常の新築の建築工事の監理と大きく違ったところであり、難しさである。特に地下階では基本的に非公開として倉庫等の用途に供してきたが、この地階の一部を市民に開放し、文化財的価値を高める計画とした。今回の調査等によって、建設当初の姿とその後の変遷が明らかになったことから、外観は創建当初の姿を維持し、内部は昭和2年(1927年)の復旧工事の姿に復原し、活用に必要な設備等を整備するために最小限の改修を行った。特に地階の一部復原箇所においては、A階段ホール、書庫(1)、通路の解体調査から当時のタイル貼の痕跡が確認されたことから関連する資料等の補足資料とともに現状変更申請を文化庁に提出し、許可を受けて、昭和2年時の空間に存在していた腰タイル貼りを復原した。その他の工事においても、文化財建造物として文化財の価値を損なわずかつ活用するための最小限の整備、設備工事を行った。
横浜市開港記念会館の外観意匠の一つの特徴である時計塔は、前身建物の「町会所」の時計塔を継承しており、永く市民に愛され親しまれており、神奈川県庁の「キング」、横浜税関の「クイーン」、そして横浜市開港記念会館の「ジャック」の横浜3塔を形成し、横浜になくてはならないランドマークにもなっている。このような文化財建造物の横浜市開港記念会館を未来永劫、護り、遺し、活用され続けることを願っている。

このページへのお問合せ

建築局公共建築部営繕企画課

電話:045-671-2956

電話:045-671-2956

ファクス:045-664-5477

メールアドレス:kc-eizenkikaku@city.yokohama.lg.jp

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