(1)最近数年間の地価動向について
15年も連続で下がり続けた地価が、ようやく平成19(2007)年3月の地価公示(同年1月1日時点)で、都市部を中心に上昇傾向に転じたと発表されたのは、まだ記憶に新しいところです。
「いざなぎ越え」と言われた長期の好景気を背景に、東京、大阪、名古屋の三大都市圏の一部では 平成16(2004)年あたりから地価の上昇傾向が現れ始めていましたが、ここに来てその傾向が明確化したとされたのです。
続く9月発表(平成19年7月1日時点)の神奈川県地価調査、翌年3月発表(平成20年1月1日時点)の地価公示でも、基本的に上昇傾向は続きました。(※1)
しかし、平成19年後半のサブプライムローン問題に端を発する金融資本市場の混乱は日本経済に直接間接に広く影響を及ぼし、年度末には景気回復が足踏み状態となり、地価の持ち直し傾向に早くも陰りが見られるようになります。
日本の不動産投資市場から欧米の外国資金が撤退し資金調達環境が悪化、さらに、米国経済の景気後退、為替相場における円高、株価下落といった経済不安材料に、原油価格の高騰、建築資材コストの上昇も加わり、企業や個人の土地需要に大きな影を落とすことになったのです。
また、耐震偽装事件の再発防止を目的とする建築基準法の改正(平成19年6月施行)が行われ、建築確認申請手続きが厳格化されたことによる現場の混乱が同じ時期に重なったことが、建設投資に対する懸念材料とみなされ、一時的に建築着工数が激減、地価の減速傾向に少なからず影響があったと言われています。
(2)最新の地価情報について(平成21年地価公示及び神奈川県地価調査結果)
イ 平成21年1月時点 地価公示
平成21年3月に発表された地価公示(1月1日時点)では、
- 全国平均で見ると、住宅地・商業地を含め全ての用途で下落し、全国的な地価の下落傾向が顕著となった。
- とりわけ三大都市圏では、地方圏を上回る下落を示した。
- 特に、大きな下落を示した地点の多くは、前回高い上昇率を示した地点であった。
と報告されました。横浜市では、
- 住宅地・商業地などほとんどの用途で、これまで平均変動率が2年連続で上昇を示していたが、今回は全ての用途で下落に転じた。
- 前回上昇率の大きかった地域(住宅地=市北部、商業地=西区・青葉区など)で大きな下落率となり、前回上昇率の小さかった市南部では、比較的緩やかな下落となった。
となりました。
ア 平成21年7月時点 県地価調査
最新の平成21年9月発表(7月1日時点)の都道府県地価調査では、
- 全国平均で見ると、平成21年1月時点の地価公示に引き続き、住宅地・商業地を含め全ての用途で地価の下落傾向が認められた。
- とりわけ三大都市圏では、地方圏を上回る下落を示した。
- 特に、大きな下落を示した地点の多くは、前回高い上昇率を示した地点であった。
- 前回の県地価調査(平成20年7月1日時点)からの1年間の変動率を半年ごとに分けてみると、前半(平成20年7月1日〜平成21年1月1日)よりも、後半(平成21年1月1日〜平成21年7月1日)の方が、景気持ち直しへの期待等を背景に、下落が小さくなっている地域が見られた。
と報告されました。横浜では、
- 住宅地・商業地では3年連続、それ以外の用途でも2年連続で平均変動率が上昇を示していたが、今回は全ての用途で下落に転じた。
- 前回上昇率の大きかった地域(住宅地=青葉区・都筑区など、商業地=都筑区・青葉区・西区など)で大きな下落率となり、前回上昇率の小さかった市南部では、比較的緩やかな下落となった。
- 前回の県地価調査(平成20年7月1日時点)からの1年間の変動率を半年ごとに分けてみると、全国平均と同様に、前半(平成20年7月1日〜平成21年1月1日)よりも、後半(平成21年1月1日〜平成21年7月1日)の方が、下落が小さくなっている傾向が多くの地域で見られた。
となりました。
なお、地価動向の先行きについては、景気・金利の動向、需給バランスの動向、内外投資家の動向の影響などに留意が必要であり、専門家でも正確に予測するのは極めて難しいと言われています。
※1 この時の地価上昇では、バブル期に見られたような投機的な動きはあまり目立たず、日本全国が一律に上昇した訳ではありませんでした。ブランド力のある商業地や、便利で快適な居住環境の住宅地に対しては需要が集中し、上昇率も高い数値を示したものの、そのほかの土地ではそれほど活発な動きが出た訳ではありませんでした。これは、「地価は上昇し続ける」といういわゆる土地神話が崩壊し、土地の利用価値を重視する意識への変化が定着していることを背景に、需要動向についても地域の条件に応じて個別化している傾向が強まっているためと考えられ、我が国の土地市場が構造的に変化しつつあることを窺わせます。