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市民局
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平成20年度 中学生人権作文コンテスト 横浜市大会 入選作品紹介
【最優秀賞】
横浜市立新田中学校一年 海老沢 佳奈

『人との触れ合いの中で』

 「行ってらっしやい。」

 「お帰りなさい。学校、今帰り?」

と言う見知らぬ人からの声かけ。

 小学校のころ、早渕川の土手沿いが通学路だった私は、犬と散歩の人や、お年寄りからたびたび声をかけられました。このような、おだやかな地域の環境が私は今でも大好きです。

 それがいつしか、不審者の情報も多くなり特に土手沿いの道を歩く時は、見知らぬ人の声かけにはあまり接しないように、という学校からの注意も多く聞くようになりました。

 温かい気持ちで私達に気さくに声をかけてくれているに違いないはずなのに、返答して良いのかどうかさえ、戸惑うようになってしまいました。

 そのような中、少し変わった格好をした男の人の話題があちらこちらに広がり始めました。髪は金色に染め、包帯を巻いており、うでや足までも句帯だらけ。でも、足が不自由なわけでもなく、さっそうと歩いているのです。私達の何名かの児童は、家で飼っているハムスターを見せてあげるから遊びに来ないか……と、声をかけられた、という事もあり、学校でも不審者として取り上げられました。

 登下校の際その人を見かけると、だれもが気持ち悪い、怖かった、わぎと声をかけてくるので急いで逃げた ……などと大さわぎになりました。

 私が目にした時は、大けがをしているのかと思えるほど、頭と手足に包帯をしていました。痛そうな気配もなく、立ち去ってしまった後ろ姿をふり返りながら、心の中では不審者だという、複雑な気持ちでした。

 それから数日後のことです。思いもよらぬ朝会での校長先生からの言葉に、みな、ぽう然としてしまいました。

 警察からの知らせで、あの男の人は不審者ではなく、けがによるリハビリのために土手沿いをよく散歩しているとのこと。

 私は、それを聞いた時、不審者とみなされ警察からも問われた男の人の気持ちを考えてしまいました。周りから変な目で見られ、自分から逃げ去る姿を見て、どういう思いをしただろうか。いい思いなどするわけはないのは当然のこと。私自身だってその人に対し、冷たい目で見てしまっていたのだから。今考えればハムスターを見に来ないか……と言っていたのは、言葉たくみにさそっていた悪者の言葉ではなかったのです。逆に、心おおらかな人だったに違いありません。

 思えば思うほど申し訳ない気持ちでいっぱいになってしまいました。むしろ、いたわってあげるべきなのに ……と、くやみました。

 その後、二、三ヵ月が過ぎたころでした。男の人は、頭と手の包帯がとれていました。きっと、よくなってきたのだと思います。

 土手沿いで通りすがった時、私は後ろ姿を目で追いながら、心の中で謝りました。

 人は、見かけだけで決して判断してはいけないということを改めて思いました。

 私達は、身なり、変な格好というだけで人の心をきずつけてしまったのですから。

 やさしい言葉も、一歩まちがえれば反対に罪悪感の言葉になってしまいます。

 私達は、不審者情報が多発している中だけに、地域の人達の気さくで温かみのある日常のあいさつや、何げない声かけにどのように対応して良いのかさえ、とまどってしまったこともありました。

 親しみあふれる声かけに、へたするとそっぽをむけてしまうことにもなりかねません。

 男の人に対しても、

「どうなさったのですか。大丈夫ですか。」

 といった、たった一言が足りなかったのだと思います。

 これからは、障害のある人達に対しても、もちろんのこと、人を見ためで判断せず、温かい素直な気持ちで接していこうと思っています。