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大学との共同研究

20代、誰が投票し、誰が投票しないのか?


 20代の投票率が低いと一口に言っても、どのような20代が投票し、どのような20代が投票しないのだろうか。1998年の第8回から2003年の第11回までの投票参加状況調査の再分析を通じて、20代の投票動向の分析を試みた。

 投票参加状況調査では、多くの個人的特性に関してデータを収集している。「性別」「年齢」「居住年数」「前居住地域」「職業」「職場、学校の所在地」「住居形態(持ち家か借家か等)」などの客観的情報をはじめ、「市政への関心の度合」「政治・選挙への意識」および「投票率低下に対する考え方」「棄権に対する考え方」(第10回、第11回調査のみ)などの意識調査のデータが利用可能である。今回は、20代と20代以外で、これらのデータについて投票参加(投票したか投票しなかったか)に関して違いがあったかどうかについて、クロス集計を試みた。

 「市政への関心の度合」や「政治・選挙への意識」などは、第8回から第11回を通じて、「市政への関心の度合が高ければ高いほど投票率が高い」、「政治・選挙への意識が強ければ強いほど投票率が高い」といった通常想定されるような傾向が20代にも20代以外と同様に見られた。また、20代以外と同様、「生活満足度」や「投票率低下に対する考え方」、「棄権に対する考え方」などと投票参加の関係は、満足度が低い(高い)から投票に向かうわけでもないし、投票率低下や棄権を問題視するから投票に向かうということもいえず、はっきりした特徴が見いだしにくかった。

 しかし、調査項目のうち「職場・学校の所在地」と「居住意向」の2点は、20代の投票参加に、興味深い差異をもたらしている。

 まずは、「職場・学校の所在地」である。

 図5は、最新の第8回、第9回、第11回の調査のデータだが、第10回を除く3回の調査で、20代においては、20代以外と違い、横浜市内に職場・学校が所在する者の投票率が低く、東京都内に職場・学校が所在する者の投票率が高く出る傾向が見られた。(なお、2002年の第10回調査では明確な特徴が得られなかった。第10回調査は、データに若干異質感もあり、常時啓発のような基礎的な事案の検討には不適当かもしれない。)


図5 職場・学校の所在地による投票参加の差

図解グラフ
図解グラフ

 次に、横浜に住み続けたいかどうかを尋ねた「居住意向」である。

 図6は最新の第11回調査のデータであるが、20代では20代以外と違い、横浜に住み続けたいと思っている人よりも、他の市に移りたいと思っている人の方が、投票に向かっている傾向がある。(第8回調査では設問がなく2002年の、第10回調査では居住意向の低い層が低くなっている。なお、第10回調査は、データに若干異質感もあり、常時啓発のような基礎的な事案の検討には不適当かもしれない。)


図6 居住意向による投票参加の差

図解グラフ

 以上の2つの設問において示唆されるのは、20代においては、職場・学校が横浜市内にあり、市内でその生活が完結している層、あるいは、これからも横浜で暮らしていこうと考えている、居住意向の高い層で、投票率が低い傾向が見られたということである。では、なぜこのような傾向が見られたのであろうか。その背景について、市政への関心、政治・選挙に対する意識、居住年数の3つの切り口から、以下に考察する。

 図7は、職場・学校の所在地別の市政への関心度を示したものである。20代においては、職場・学校の所在地が横浜である人の方が、東京である人よりも市政への関心が低くなっている。市政への関心の低さが、投票率の低さに現れたことが確認できる。


図7 職場・学校の所在地別の市政への関心(20代)

図解グラフ

 図8及び図9は、職場・学校の所在地別の政治・選挙意識を示したものである。図8からは、職場・学校が横浜市内にある人よりも、東京都内にある人のほうが、政治を身近に感じていることがうかがえる。また図9からは、やはり職場・学校が横浜市内にある人よりも、東京都内にある人のほうが、選挙により有権者の声が政治に届くと考えていることがわかる。この意識の差異が投票参加の状況に結びついていると考えられるが、20代以外では見いだせない差異でもあり、今後、より詳細な分析が必要であろう。


図8 職場・学校の所在地別の政治・選挙意識1(20代)

図解グラフ


図9 職場・学校の所在地別の政治・選挙意識2(20代)

図解グラフ

 ただ、一つ確実にいえることは、20代で、市内で生活が完結している層、あるいは居住意向が高い層とは、図10や11が示すように、居住年数が長く、横浜で生まれ育った“浜っ子”であるということである。

 投票率の低下が危惧される20代については、学校教育との連携も含めた、より地域に密着した常時啓発活動が横浜においては必要なことは間違いないであろう。


図10 20代の職場・学校の所在地別の住居年数

図解グラフ


図11 20代の住居意向別の住居年数

図解グラフ
 

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