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医師コラム vol.5

vol.5「インフルエンザの予防」

西区医師会
川村 昌嗣医師(川村内科診療所 所長)

  

インフルエンザがはやる季節になってきました。

対策としては、マスク、ウガイ、手洗い、予防接種となります。
今回は、次の点についてお話したいと思います。

インフルエンザ
マスクの効用
うがいの仕方

マスクするおじいさん うがいするおばあさん 手を洗う  予防接種
   

インフルエンザ

 1回のせきで約5万個、1回のくしゃみで約10万個のインフルエンザウイルスがばらまかれるといわれています。飛び散ったウイルスは、24時間ほどは感染力があります。

 ウイルスは約20分で細胞の中に入り込み、増殖すると1つの細胞から約1000個のウイルスが排出され、次々と次の細胞に感染します。1つのウイルスが、8時間後には約100個、16時間後には約1万個、24時間後には約100万個に増殖することになります。

 したがって、家に帰ってからでは、うがいの効果はあまり期待できないということになります。目の前で、せきやくしゃみをされた場合には、すぐに鼻をかみ、直ちにうがいをしないと感染の予防にはならないということです。

 そのためにも、人混みではマスクをして感染予防を心がけましょう。

インフルエンザに罹った人がいると家族の人にも移る場合が数多くあります。

口をつけたお箸で大皿のものを取ると、その周りの食品にウイルスをばら撒く危険があります。かかった人の分は、一人用に小分けにして配膳するか、取り箸を使うようにしましょう。

また食事中の会話話楽しいものですが、喋っているときにウイルスを食品の上にばら撒いている危険性があります。幼稚園や小学校で向き合って昼食を食べることにより、感染を引き起こしているため、学級閉鎖ということになる場合もあります。机を囲んで食べるのは、インフルエンザやノロ・ロタウイルスなどのウイルス感染が流行しているときは避けたいものです。

咳やクシャミをして飛ぶ距離は23mといわれています。飛び散ったものは24時間ほど感染力があるといわれています。また、ある研究家が、ウイルスをドアのノブにつけて観察したところ、30分後には、多くの場所でウイルスを検出したとの報告をしました。ウイルスの量が少なくなっていれば感染の危険は少ないのですが、多いところを触った手で、口に持っていくと、感染する危険性があります。


くしゃみで感染する様子








家族の人がインフルエンザに罹った場合には、他の人もマスクをすること、口に手を持っていく前に手洗いをすることを心がけましょう。

またインフルエンザに罹った際の症状の一つとして鼻水がありますが、鼻水の中にもウイルスは、かなりの量排出されています。鼻をかんだティッシュはすぐにごみ箱に捨て、すぐに手を洗うようにしましょう。

インフルエンザの治療で、飲み薬や吸入薬がありますが、飲み薬の場合には、吸収される時間、吸収されてからウイルスが増殖している場所に薬が到達するのに時間がかかるので、直接増殖する場所に薬が届く吸入薬がおすすめです。

吸入薬を使用する際に、薬をより効きやすくするために、薬をゆっくり吸い、23秒息を止め、口を閉じて、鼻からゆっくり吐くようにしてください。

検査をするのは、鼻の奥の粘膜です。そこがウイルスの一番増えやすい場所なのです。つまり、薬をそこに届けないと、効果が出にくいのです。

以上の点を注意してください。


 

 マスクの効用

マスクの効用を考えてみましょう。大きく分けると以下のようになります。

  (1)うつされないための感染症予防
  (2)病原体をばらまかないための感染症予防
  (3)口腔乾燥予防
  (4)顔の一部の隠ぺい

マスクをする女の子

(1)うつされないための感染症予防

  飛沫(ひまつ)感染は、咳やくしゃみをした際に飛び散るものに含まれている病原体を吸いこんで感染します。インフルエンザやロタウイルス、細菌性肺炎などはこのパターンです。

 マスクをしているとブロックできますが、マスクの真ん中の口の前のあたりをつかんでマスクを取り外すと病原体が指にうつり、それを口に入れてしまっては、マスクの効用が台無しになるので、マスクを外す際には必ず、マスクの横かひもの部分を持ってください。

そう言ってもついマスクの真ん中をつかんでしまいます。この原因は片手でマスクを操作るために無意識にマスクの真ん中をつかむほうが、動かしやすいからです。
そうならないためには、マスクは必ず両手で動かす習慣を身につけましょう。  

それとは少し異なるのが、空気感染です。
ノロウイルスのように、もう少し小さくなると、咳やくしゃみをした際に、痰や唾液とともに飛んでいたもののうち、液体成分がなくなってウイルスのみが、空気の中を漂うことになります。  

この飛沫感染や空気感染予防の目的のために使用するのであれば、ガーゼタイプのマスクは役立ちません。

繊維を熱や化学的な作用で接着から見合わせて布状にした不織布マスクが有用です。
医療用の不織布マスクをサージカルマスクと言います。
大きさ0.1μmのインフルエンザウイルスをふくんだ飛沫は5μmの大きさであり、不織布のマスクであれば、95%程度捉えることができるといわれています。 この場合には、マスクの隙間からも吸い込んでしまう危険があります。  その対策としては、顔面にピタッとくっつくようにマスクをする必要がありますが、現実には不可能です。 お薦めしているのが、ティッシュペーパー(花粉症用の少しシットリした柔らかいものがおすすめ)を折りたたんで、口と鼻をカバーするぐらいの大きさにして、マスクと顔の間に入れるのです。
息を吸う際に、顔にくっつき少し息苦しさを感じられれば、OKです。




 

(2)病原体をばらまかないための感染症予防

 マスクをしていると、咳やくしゃみで病原菌をばらまくことは防げます。
しかし、咳やくしゃみの勢いが強いと、マスクは少し前に移動して、病原体が 隙間から出てしまいます。
咳やくしゃみをしそうになったら、肘の内側で、マスクが前に移動しないように押さえることをお勧めします。手で覆ってもよいのですが、その後どこかを触ると病原体をばらまくことになりかねないので、肘の内側がおすすめです。  ここで注意してほしい点があります。咳やクシャミをした時に、マスクの内側にかなりの量の病原体が付きます。それをまた吸い込んでしまうと、病気の治りが長引くこともあります。  

先ほど書いたように、マスクと顔の間にティッシュペーパーを入れておいて、湿り気が強くなったら交換することをお勧めします。  この目的のための使用も、ガーゼタイプのマスクは役立ちません。




 

(3)口腔乾燥予防

 マスクをするだけでそれなりに保湿効果もあります。
またティッシュペーパーをマスクと顔の間に入れ、息苦しくないような形にしておくと、より保湿効果がアップします。
特におすすめなのは、花粉症用の柔らかくシットリしたものです。
一度試してみてください。  

朝起きた時や眠っているときにのどの渇きを自覚される方は、眠る時にマスクをしてみてください。
起きた時の乾燥具合がかなり違います。眠っている間にはずれたとしても、マスクをしている間の効果は期待できます。しかし、すぐに外れてしまうと、期待したほどの効果はありません。

そこでお薦めしているのは、幅の広い薄手のネックウォーマーで二つ折りにして使用するタイプのものです。これを二つ折りにしないで、マスクの上にまで広げて寝てみてください。朝起きた時ののどの具合がかなり違います。  この時のマスクは、口腔の乾燥予防が目的なので、鼻を覆う必要はありません。
 この目的では、ガーゼタイプのマスクもOKです。



 

(4)顔の一部の隠ぺい

 芸能人がこの目的でよく使っています。  
髭をそった際に皮膚を切ってしまい、絆創膏やカットバンが恥ずかしい時や、吹き出物ができた時などにも使えます。  
この目的の時には、ガーゼタイプのマスクもOKです。
ガーゼタイプのマスクは洗って再利用することが可能ですが、感染症予防には役立ちません。
粉じん予防用の硬くフィルターの付いたマスクであれば、フィルターの交換で再利用できますが、通常のマスクは、マスクの表面に付いたウイルスを排除することはできないので、外出後に捨て、必要なときには新しいものを使うようにしましょう。



嗽(うがい)

ななめを向いてうがいする犬






 手の上に汚いものが載せても問題ありませんが、手に傷がついていると、そこが赤く腫れ、痒くなってきます。喉も同じで傷ついたところに菌やウイルスが付着すると身体の組織や細胞の中に入り込み、増殖して、悪さをすることになります。

そうなる前に洗って落としたいものです。 

ノドの正面は絶えず飲んだり食べたりして洗っているので、菌やウイルスが着き辛いのですが、横は落ちにくいので、のどの痛みは横から始まるのです。
喉の違和感や痛みなどの症状が出る前に洗い落としたいものです。

口に水を含み、ぐちゅぐちゅしてもほっぺたの内側など口の中を洗うだけで喉の奥を洗うことはできません。
真上を向いて『ガラガラ』とやっても、ノドの正面しか水は当たらないので、喉の奥の横は洗えないのです。顔をやや上方に向け首の角度を変えていくと、むせるところが見つかります。
そこが現在痛んでいる場所であり、その角度で、菌やウイルスが痛んでいる粘膜から中に入り込む前にへばり付いている粘液を洗い落とすのが効果的なうがいの仕方ということになります。

むせそうになる角度を探していると、演歌歌手の都はるみさんが歌っている斜め上向きとなります。
この嗽をしている状態は、ホースの水を当て、汚れを落としている作業に似ています。
ホースが固定されているので汚れを落とすほうを動かす(首を傾けていく)のですが、水が汚れているところに当たっても、すぐに角度を変えると汚れはあまり落ちません。
特に汚れがこびりついている時などには、ホースの先端をつぶしたり開いたりして、強弱をつけて汚れを落とそうとするように、『歌を歌うつもりで、ガラガラの高低差を付けて』うがいをしてもらうとより効果的に洗えます。

息が続く程度の長さでムセそうになる角度をキープして、左右二回ずつやりましょう。
 
嗽の際にひとつ注意をしてほしい点があります。

嗽のコップを家族で共有している場合には、口を付けたところに菌やウイルスが付着しているばあいがあり、他の家族に移す危険があります。
嗽する場合には、使用前後に、コップの中だけでなく、口をつけるところも洗いましょう。

 





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