認知症を知る

 認知症は特定の病気ではなく、様々な原因から現れる症状の総称で、今後も患者の数は増えると予想されています。発症すると体をむしばまれる本人だけでなく、介護する家族にも経済的、精神的にとても大きな負担がかかります。また、家族の負担の軽減のため社会がどのようにかかわるべきなのか、幅広く意見が交わされています。 このリストでは認知症について医学的見地から書かれている図書をはじめ、当事者の声や社会的影響を書いた図書、文学作品など幅広く紹介します。認知症に関する知識を深めるためにお役立てください。

平成28年12月13日作成

もくじ

1 病気を理解する《入門編》

 認知症の症状には、物忘れ、時間や場所が分からなくなるといった症状のほか、徘徊、妄想、暴言など周りの介護する人が特に負担に感じている症状があります。これらの症状の原因や進み方、それに対する対処法、相談できる機関など幅広く書かれた図書を集めました。

すべてがわかる認知症 2016(週刊朝日MOOK)
朝日新聞出版 2016年 NDC:493.75 ISBN:978-4-02-277518-4
認知症について予防から診断、治療までをわかりやすい言葉で解説しています。今すぐできる予防法や治療薬開発の様子のほか、認知症カフェや当事者の会なども紹介しています。
認知症なんでも相談室 患者さんとご家族から学ぶ
国立長寿医療研究センター/編 武田章敬/編 清家理/編鳥羽研二/監修 メジカルビュー社 2014年 NDC:493.75 ISBN:978-4-7583-0487-0
Q&A形式で予防から症状の段階、終末期などそれぞれの状態や対応の仕方について説明します。
ぜんぶわかる認知症の事典 4大認知症をわかりやすくビジュアル解説
河野和彦/監修 成美堂出版 2016年 NDC:493.75 ISBN:978-4-415-32134-9
認知症患者の9割が分類されるという4大認知症(アルツハイマー型認知症、レビー小体型認知症、前頭側頭葉変性症、脳血管性認知症を中心に、医学の見地から全ページ、カラー図解で説明します。
解放老人 認知症の豊かな体験世界
野村進/著 講談社 2015年 NDC:493.75 ISBN:978-4-06-216425-2
山形県南陽市にある精神病院を5年間にわたって取材した記録です。一章につき一人の患者に焦点をあて、生い立ちから認知症を発症するまでの経緯、施設での過ごし方を通じて、認知症という病の人生における意味について考えます。

【コラム】認知症のQ&A

Q:認知症は症状の悪化を遅らせる方法はあるのでしょうか?
A:MCI(軽度)の段階で発見できれば進行を抑えられるだけでなく、改善が見られます。最新の研究から認知症が発症するメカニズムを生活習慣で抑えることができると言われています。 (参考文献) 
まだ間に合う!今すぐ始める認知症予防  軽度認知障害(MCI)でくい止める本 健康ライブラリーイラスト版
朝田隆/監修 講談社 2014年 NDC:493.75 ISBN:978-4-06-259788-3
認知症の予防と進行を抑えるためのアクティビティ・ケア
渡辺光子/編著 エスシーアイ 2014年 NDC:369.26 ISBN:978-4-908017-01-8
認知症は早期発見で予防できる
青柳由則/著 文藝春秋 2016年 NDC:493.75 ISBN:978-4-16-390448-1

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2 当事者(本人・家族)の気持ちを知る病気を理解する

 認知症の当事者や介護に携わっている人たちは、日々何を考えて過ごしているのでしょうか。認知症の初期の方は自分たちをよく知って欲しいと訴えています。こうすれば、こうしてくれれば、今まで通り暮らしていくことができる、と。また介護に携わっている方は何に苦労し、どんな時に辛いと感じるのでしょうか。当事者の気持ちに寄り添える図書を集めました。

私は誰になっていくの? アルツハイマー病者からみた世界
クリスティーン・ボーデン/著 桧垣陽子/訳 クリエイツかもがわ かもがわ出版 2003年 NDC:493.7 ISBN:978-4-902244-10-6
オーストラリアの官僚だった著者が認知症と診断され、退職し自宅療養することになった経緯と、症状の進行に伴い経験したことが書かれています。当事者の立場から、できる事・できない事、現在の気分や周囲の人々にして欲しいことなどを綴ります。続編『私は私になっていく 認知症とダンスを』もあります。
認知症になった私が伝えたいこと
佐藤雅彦/著 大月書店 2014年 NDC:493.75 ISBN:978-4-272-36082-6
51歳の時にアルツハイマー型の認知症と診断された元システムエンジニアの著者は、現在は当事者の立場から意見を発信する活動をしています。体調が変だと感じてから仕事を辞めるまで、また現在の生活の様子を語ることを通して、認知症についての不安や偏見をなくしたいと考えて書かれた1冊です。
〔Web〕佐藤雅彦公式ホームページ http://www.sato-masahiko.com/
ボケてたまるか! 62歳記者認知症早期治療実体験ルポ
山本朋史/著 朝日新聞出版 2014年 NDC:493.75 ISBN:978-4-02-331355-2
朝日新聞社の記者である著者が、脳に異常を感じたのは61歳の時。軽い認知症と診断され、認知症早期治療に挑んだ300日の記録です。続編『認知症がとまった!?実体験ルポ ボケてたまるか』もあります。
認知症の語り 本人と家族による200のエピソード
健康と病いの語りディペックス・ジャパン/編 日本看護協会出版会 2016年 NDC:493.75 ISBN:978-4-8180-1980-5
単なる病気としてだけでなく、より現実的な“実体験”として認知症を知りたいと思っている人へ。患者本人と家族の生の声を集めた本です。QRコードにスマートフォンなどをかざすと、各語りの動画を見ることができます。
〔Web〕健康と病の語り ディペックス・ジャパン http://www.dipex-j.org

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3 社会問題としての認知症

 認知症の症状の一つである徘徊の結果、帰宅できずに行方不明になったり、電車にはねられ死亡し、その遺族が鉄道会社から損害賠償を求められる問題が発生しています。また、認知症の家族を介護するために仕事を辞めた結果、収入がなくなるだけでなく社会とのつながりが途切れてしまうといったことも起きています。こういった問題が起きる背景に迫ります。

認知症と長寿社会 笑顔のままで(講談社現代新書)
信濃毎日新聞取材班/著 講談社 2010年 NDC:369.26 ISBN:978-4-06-288079-4
信濃毎日新聞に連載された同名のルポルタージュ(手記)をまとめたものです。長野県内の様々な施設をたずねて、社会が直面している課題を報じています。
認知症・行方不明者1万人の衝撃 失われた人生・家族の苦悩
NHK「認知症・行方不明者1万人」取材班/著 幻冬舎 2015年 NDC:369.26 ISBN:978-4-344-02777-0
認知症の症状の一つである「徘徊」と呼ばれる症状。周囲の人が気付かぬうちにいなくなり行方不明になる人が2012年の1年間で1万人、行方不明のままか遺体で見つかる人も550人に達します。この問題に取り組んだ調査の記録です。
介護漂流 認知症事故と支えきれない家族
山口道宏/編著 現代書館 2016年 NDC:598.4 ISBN:978-4-7684-3547-2
2007年に愛知県内で起きた認知症患者の人身事故で、JR東海が遺族に求めていた賠償に関する最高裁判決が2016年3月に出ました。この判決をはじめとして、現在の認知症介護の課題や問題点について厳しく追及した1冊です。
介護離職しない、させない
和氣美枝/著 毎日新聞出版 2016年 NDC:366.7 ISBN:978-4-620-32381-7
家族を介護する立場になったら、仕事を辞めるしかないという思い込みはありませんか?かつて介護離職をした経験をもつ著者が、働きながら介護する大切さを痛感した経験から、介護離職しない、させないための知恵とスキルを伝授します。
〔Web〕介護離職防止対策促進機構 http://www.kaigorishoku.or.jp/

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4 社会全体で支えるしくみ・制度など

 介護保険と成年後見制度は、介護の当事者を支える両輪と言われています。介護に直面した人が抱えている課題には、どんな解決策があるのか提案する本を紹介します。また制度や施設だけでなく、社会全体で認知症の人や家族を支えようという動きがあります。街で認知症と思われる人を見かけた時に、あなたにできることはきっとあります。

もう限界!!認知症の家族を介護するときに読む本
高室成幸/監修 自由国民社 2015年 NDC:369.26 ISBN:978-4-426-11936-2
同居・遠距離・施設などさまざまな事例を通して、認知症介護のポイントがよくわかります。2015年改正介護保険に対応しています。同シリーズの『もう限界!!施設介護を考えるときに読む本』もあります。
いざという時の介護施設選びQ&A
三好春樹/著 講談社 2015年 NDC:369.26 ISBN:978-4-06-282469-9
介護施設の種類や特徴などの基本から、良いケアをしている施設の探し方まで、介護職経験40年の著者がQ&A形式であなたの疑問にお答えします。
はじめての成年後見 これで安心!これならわかる 後見人の心得お教えします
成年後見センター・リーガルサポート/編著 日本加除出版 2015年 NDC:324.65 ISBN:978-4-8178-4235-0
成年後見制度は、認知症やその他精神障害のために、自身で判断する能力が不十分な人を、財産管理や身上監護を通じて保護し、支援する制度です。本書ではこれから後見人になる人を対象に制度の概要や手続きの方法、後見人の責務について説明します。
〔Web〕法務省 成年後見制度 http://www.moj.go.jp/MINJI/minji17.html
横浜市 認知症サポーター養成講座 第5版
まちかどケア協働事業/編・刊 2012年 NDC:369.26 
厚生労働省が、地域で暮らす認知症の人やその家族を見守る応援者である「認知症サポーター」を2017年度までに800万人に増やすことを目標とする「認知症施策推進総合戦略(通称:新オレンジプラン)」を策定しました。これは横浜市における同サポーター養成講座のテキストです。
〔Web〕認知症サポーターキャラバンhttp://www.caravanmate.com/
〔Web〕厚生労働省・認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)  http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000064084.html
認知症カフェハンドブック きょうからはじめる認知症カフェ
武地一/編著・監訳 クリエイツかもがわ 2015年 NDC:369.26 
認知症について悩んでいる人が、気軽にふらっと立ち寄って、認知症について語り合える場所、それが認知症カフェです。オランダで約20年前に始まった試みが、今、日本でも広がりを見せています。
〔Web〕横浜市健康福祉局 市内の認知症カフェの一覧  http://www.city.yokohama.lg.jp/kenko/kourei/kyoutuu/syoukai/ninchi/ninnti-cafelist.html

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5 フィクションにみる認知症・介護

 フィクション(創作)は現実ではありません。しかし、現実では目立たない課題や思っていても言葉にできない感情や意識、感覚を描き出すことがあります。作品に描かれた登場人物の気持ちに耳を傾けてみて下さい。

風のささやき 介護する人への13の話(角川文庫)
姫野カオルコ/〔著〕 角川書店 2011年 NDC:913.6 ISBN:978-4-04-183516-6
直木賞作家の著者が、長年、介護親族を抱えながら遭遇した実話をもとに、日本のどこかに暮らす、ふつうの、介護する人が、ふとささやいた胸の内を描きます。「長い文章は読む暇がない」そんな人に、ぜひ手に取ってほしい1冊です。単行本:『もう私のことはわからないのだけれど』(日経BP社)
そうかもしれない
耕治人/著 晶文社 2007年 NDC:913.6 ISBN:978-4-04-183516-6
自らも口腔底がんを患いながら、五〇余年連れ添った脳軟化症(脳梗塞が原因で起こる脳血管性痴呆症)の妻との日々を、静かな語り口で記録した私小説です。35年以上前に書かれた作品で、同名で2006年に映画化もされました。
満月の夜、母を施設に置いて
藤川幸之助/詩 松尾たいこ/絵 中央法規出版 2008年 NDC:911.56 ISBN:978-4-8058-3019-2
詩人・児童文学作家である著者が、アルツハイマー病に罹った母の介護生活を、率直な言葉で綴った詩集です。
ペコロスの母に会いに行く
岡野雄一/著 西日本新聞社 2012年 NDC:916 ISBN:978-4-8167-0853-4
小さな西洋玉ねぎペコロスに似たハゲ頭の息子ゆういちが、認知症の母みつえとの日々を描いたコミックエッセイです。 第42回日本漫画家協会賞優秀賞受賞作。続編の『ペコロスの母の玉手箱』、完結編の『ペコロスの母の贈り物』(いずれも朝日新聞出版)もあります。
ヘルプマン!vol.1〜27
くさか里樹/著 講談社 2004~2014年 NDC:726.1 
無資格、無所属の若き熱血介護士(ヘルプマン)恩田百太郎の視点を通じて、高齢化社会の実情を様々な角度から描いています。第40回日本漫画家協会賞大賞受賞作。Vol.2、11、12、18〜20、25が認知症をテーマにした内容です。新シリーズ『ヘルプマン!!vol.1〜5』(朝日新聞出版)もあります。
おじいちゃん、おぼえてる?
フィル・カミングス/文 オーウェン・スワン/絵 福本友美子/訳 光村教育図書 2016年 絵本 ISBN:978-4-89572-886-7
認知症をテーマにしたオーストラリアの絵本です。祖父と孫娘の温かな交流が胸を打ちます。大人の方はもちろん、小さなお子さんに認知症について知ってもらうきっかけにもなるかもしれません。

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〔電話〕 045(262)7336
〔web〕 横浜市立図書館ホームページ  http://www.city.yokohama.lg.jp/kyoiku/library/chosa/referance.html           

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