横浜の地名・町名を調べる

もくじ

1 基本的な資料
地名の由来や土地の歴史、大まかな区域の変遷などを知るための、基本的な辞典や地誌をご紹介します。
2 行政資料
町名や地番、区域の変更など、行政が発行する資料から得られる情報をご案内します。
3 コラム
『ヨコハマ資料の並び方』
『知っていますか?1丁目と一丁目の違い』

1 基本的な資料

横浜の地名を調べるために、「まずこれだけは押さえておきたい」という基本的な辞典や地誌をご紹介します。地名の由来や土地の歴史、大まかな区域の変遷などを知るためには、まずこれらを利用します。

『横浜の町名』(横浜市市民局 1982,1991,1996)

横浜の地名を調べる場合にはもっとも基本的な資料です。町ごとにその成立の経緯、古い文献から引用した地名の語源などが要領よくまとめられています。この本は1982年に出版された初版と、その後に出版された改版との間に記述の違いがありますので、両方を参照されることをお勧めします。

『日本歴史地名大系 第14巻 神奈川県の地名』(平凡社 1984)

現在の行政区順に地名が配列されています。歴史的な経過が中心で、近代以前のことを調べる場合に向いています。また巻末の文献解題が充実していることも特徴で、地域に伝わる地誌が一覧できます。反面、現在の町名から調べる場合には索引を利用することになりますが、具体的な記述のないケースも少なくありません。

『角川日本地名大辞典 14 神奈川県』(角川書店 1984)

神奈川県内の地名が五十音順に配列されています。客観的な記述が特徴で由来や伝聞はほとんど盛り込まれていません。現在の地名から過去の変遷をたどるのに適しています。巻末の「市町村沿革表」は、近代における市区町村の統合分離がわかりやすく図示されています。また調べるのが難しい小字名の一覧も掲載されていますが、列挙されているのみで解説されていないのが残念です。

『横浜市町名沿革誌』(横浜市役所文書課/編 横浜市役所文書課 1939)
『横浜市町名沿革誌 続』(横浜市役所文書課/編 横浜市役所文書課 1941)

「横浜市報」第509号〜519号(1937年3月2日〜5月11日)及び第706号〜733号(1941年1月9日〜7月17日)に連載されました。区ごとに各町の設立・由来などをコンパクトにまとめたもので、町の改廃についての情報はもとより、地名辞典としても利用できます。

『横浜市史稿 地理編』

『横浜市史稿』は、1931年から33年にかけて横浜市役所編纂により刊行された全11巻および索引・附図からなる市史です。このうちの「地理編」が町別に由来や成立過程を掲載しています。前述の『横浜の地名』に匹敵します。由来の出典は後述の『新編武蔵国風土記稿』が中心ですがその他の明細帳や書上帳も引用しています。ただし、刊行時点で横浜市に編入されていなかった地域は対象外ですので注意が必要です。

『横浜近代史辞典〔横浜社会辞彙〕』(湘南堂書店 1986)

『横浜社会辞彙』(横浜通信社1918年刊)を改題して復刻した、いわば関東大震災前の横浜の百科事典です。項目はいろは順の配列ですが、目次が主題別に編成されており、「名所旧跡神社仏閣地名之部」があります。

『大日本地名辞書 6 坂東』(吉田東伍/著 増補 冨山房 1970)

約100年も前に刊行されたこの地名辞書は、今日なお地名研究に欠かせない基礎資料として著名です。1969年から71年にかけて増補版も出版されました。刊行当時(明治中期)の行政区域がわからないと探しづらいのが難点です。

『新編武蔵国風土記稿』
『新編相模国風土記稿』

奈良時代に編纂された「風土記」にならって、「新編」と名づけられた江戸幕府による官撰の地誌です。前者は1828年、後者は1832年に完成しました。各村から集めた明細帳のほか江戸後期の時点で現存していた古文書・古記録を屈指して編纂され、由来はもとより、言い伝えや小字名なども豊富に採取されています。活字版は複数出版されていますが、残念ながら索引が整備されていないので使いこなすには慣れが必要です。しかし、地域の過去を知るためにはもっとも基本となる資料です。

その他

このほか地名を調べる資料としては、各区の区史が挙げられます。どのような区史が使えるかは、『横浜の町名』巻末の「参考文献・協力機関一覧」が参考になります。
また、明治の官撰地誌である「皇国地誌」もわずかではありますが現存しており、活字化されています。『横浜市港北区皇国地誌』『神奈川県皇国地誌相模国鎌倉郡村誌』『神奈川県皇国地誌残稿 上巻・下巻』などがあります。これらの資料は『横浜市史稿 地理編』が対象としていない地域について特に有用です。

2 行政資料

古い地番から現在の地点を探す、あるいは逆に現在の地図から同じ場所の古い地図を探す、こうした場合、地名や地番が変わっているために難渋した経験をお持ちの方もいるでしょう。地名辞典類の記述から地図上の一点を探し出すのはなかなか骨が折れるものです。
横浜市は1889年の市制施行以来、膨張しながら周辺地域を吸収してきました。また、大きな被害をもたらした関東大震災後の新たな土地整備事業により、昭和初期にはたびたび地番の整理を行っています。
さらに戦後、私たちが住んでいる場所を表す記号は、1962年に施行された「住居表示に関する法律」以降、長く定着していた地番表示(**番地)から街区符号と住居番号(*丁目*番地)へと変化しました。この住居表示整備事業は今日も引き続き行われています。
近代における横浜の地名はまさに、絶え間なく変化してきた、といえるでしょう。
こうした町名や地番、区域の変更は行政が決定・公示するものです。ここでは、行政が発行する資料から得られる情報をご案内します。

『横浜市町区域要覧 平成8年3月』(横浜市市民局総務部住居表示課 1996)

「区内の町区域」「五十音順町名一覧」「市・区・町の沿革」から構成されています。「区内の町区域」は区ごとに各町の面積、設置年月日、字名などが記載されています。重要なのは設置の根拠、町名の読み方の根拠となる市報・県広報が明記されている点です。「市・区・町の沿革」では新設(異動)町名が区ごとの年代順に記載されています。また廃止された町名についても設立及び廃止の日付と根拠法令を知ることができます。現在刊行されている最新版は平成8年版ですが、毎年追録が出ています。

『横浜市報』

町名や地番、区域の変更は必ず市報に公示されます。公示には、実施区域図が掲載されています。ただし住居表示整備事業に基づく街区符号および住居番号の一覧は省略されています。

『住居表示新旧対照案内図』

住居表示整備事業に基づいて住居表示が設置された際に発行される地図です。旧地番と住居番号が書き込まれています。

『旧新・新旧町名地番対照表』

住居表示整備事業と平行して行われている「町界町名地番整理事業」は、もともと不動産登記のためのものである地番を整理して住所の表示としてもわかりやすく配置するための事業で、郊外地域において実施されています。この事業では、新町名地番と旧町名地番を対照させた一覧表「旧新・新旧町名地番対照表」が刊行されています。(「住居表示新旧対照案内図」「旧新・新旧町名地番対照表」は、図書館で所蔵していないものもありますのでご了承ください)

『地番調書』

かつては字名・地番変更に関して、「地番調書」と呼ばれる新旧地番の対照表が市報に掲載されていました。残念ながら市報には検索手段がないため、いつ変更されたかがわからないと探すが難しいのが現状です。ただし、単独で図書館が所蔵しているケースもあります。市報の付録としてまたは土木局など他部署で別途刊行されたもので、特に昭和初期のものが多く見受けられます。これらは昭和30年代までしかさかのぼれない明細地図と土地宝典などの戦前の地図とを結び付ける重要な役割を果たします。なお、「地番(整理)調書」「町界町名字界字名変更改称(地番整理)調書」「地番変更調書」など年度や刊行元によってタイトルが多少異なりますので注意してください。

3 コラム

ヨコハマ資料の並び方
中央図書館では、いわゆる郷土資料をヨコハマ資料と称し、3階フロアの半分を使って本を並べています。図書館の本は普通ラベルの記号の順に並んでいますが、この「ヨコハマ資料」のコーナーでは同じラベルの本があちこちに散らばっている!と感じた方も多いと思います。これは、このコーナーがまず地域性を優先させているためです。
本棚の番号52番から65番までが横浜市域を対象にした本でラベルの上に横浜というシールが貼られています。71番から74番までが神奈川県全域、あるいは複数の自治体を含んだ地域を対象にした本で県というシール、74番の途中から77番までは県下の市町村ごとに並んでいます。たとえば、75番の裏面は鎌倉市を対象にした本で県3というシールが貼られています。
横浜のことを調べるには、横浜だけではなく県も参考にしてください。
このリストの場合、『横浜の地名』は57番、『日本歴史地名大系 第14巻 神奈川県の地名』は72番の本棚にあります。
知っていますか?1丁目と一丁目の違い
ご存知の方も多いと思いますが、横浜市内の町名一覧を見ていると、*丁目に漢数字が使われている町と算用数字が使われている町とがあります。
実は漢数字は「住居表示に関する法律」に基づく街区符号で、町名の一部になります。
これに対し、算用数字は「住居表示に関する法律」以前に土地区画整理などで字界字名変更が行われた際に設置された字名で、町名には含まれません。このため算用数字の字名が使われているのは、主に古くから開発されていた都心部ということになります。
たとえば西区にある西前町は1927年の町界町名整理の際に設置され(当時は中区)当初から1丁目から4丁目までの字名がありましたが、1丁目と4丁目が1966年の住居表示整備事業で新設された中央一丁目・二丁目に編入されたため、現在では2丁目と3丁目しかありません。


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