ブックリスト はじめよう、bな暮らし〜生物多様性を横浜で考える〜

はじめに

 横浜市は、生物多様性基本法に基づく地域戦略である「ヨコハマbプラン(生物多様性横浜行動計画)」を平成23年4月に策定し、平成27年1月に改定しました。(bプランの「b」については、下記「生物多様性」豆知識1参照)この計画では、2025年度(平成37年度)を目標年度とし、「身近に自然や生き物を感じ、楽しむことができる豊かな暮らし」を将来像として定め、様々な取り組みを進めています。


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1 「ヨコハマbプラン」とは?

『ヨコハマbプラン 生物多様性横浜行動計画 平成27年1月 はじめようbな暮らし』
横浜市環境創造局政策調整部政策課/編 横浜市環境創造局政策調整部政策課 2015年
 横浜市では、生物多様性の保全・再生を環境に関する施策の基軸として位置づけ、ヨコハマbプランを策定、推進しています。ヨコハマbプランは5つの重点アピール、4つの取組方針及び2017年度までの具体的取組と目標から構成されています。
〈5つの重点アピール〉
1 bプロモーション(生物多様性プロモーション)
  子どもが夢中!生き物体験
2 ヨコハマ生き物体験
  鳥がいた!トンボを追いかけ、生き物調査
3 つながりの森
  生き物たちの宝庫の森をみんなで守り育てる
4 つながりの海
  生き物豊かできれいな海づくり・川づくり
5 生き物にぎわう環境づくり
  地域に合った取組で、多様な生き物感じるヨコハマ
「生物多様性」豆知識1〜「生物多様性」という言葉〜
 「生物多様性」(Biodiversity)」という言葉は、1988年、生物学者のE・O・ウィルソンが書名として使ったのが最初だとされています。それまでは「生物学的多様性あるいは生物の多様性(Biological Diversity)という言葉が使われていました。
(『生物多様性 子どもたちにどう伝えるか』より)

2 「生物多様性」とは?

 横浜市が平成26年8月に実施した「環境に関する市民意識調査」によると、生物多様性という言葉を「よく知っている」「ある程度知っている」と回答した人は、43.1%でした。市民の約半数が知っており、一定の浸透が図られているものの、さらなる普及・啓発が必要だということが分かりました。
 そこで、はじめに生物多様性についての基礎知識が得られる入門書をご紹介します。

『〈生物多様性〉入門』
鷲谷いづみ/著 岩波書店 2010年(岩波ブックレット)
 保全生態学の第一人者が生物多様性の科学的な意味と社会的な意義を理解するための手引として執筆したものです。生物多様性の現状・保全の方策などをやさしく解説しています。
『〈図説〉生物多様性と現代社会 「生命の環」30の物語』
小島望/著 農山漁村文化協会 2010年
 「外来生物が及ぼす影響」「ビオトープをつくるということ」など、生物多様性に関する30のキーワードについて、イラストや図を豊富に用いて解説しています。知識を深めるだけでなく、科学や産業、市民社会のあり方をめぐる議論を行う材料となることも目的として書かれています。
『学生や市民のための生物多様性読本』
上赤博文/著 南方新社 2013年
『はじめて学ぶ生物多様性と暮らし・経済』
林希一郎/著 中央法規出版 2010年
 私たちの生活は、生物多様性から得られる多くの恵みに依存しており、切っても切れない関係にありますが、それを認識している人はどのくらいいるのでしょうか。本書は人間の日常生活やビジネスと生物多様性の関わりの観点から書かれた入門書です。
『自然保護という思想』
沼田真/著 岩波書店 1994年(岩波新書)
 「自然保護」という言葉や概念は1930年代から使われるようになったそうです。その自然保護の思想や概念、歴史、具体的な事例について、生態学のパイオニアであり、石垣島のサンゴ礁など数々の自然保護問題に取り組んできた著差が、自らの体験も交えながら述べています。
『生物多様性保全の経済学』
大沼あゆみ/著 有斐閣 2014年
 生物多様性の現象には経済活動が深く関わっています。では、経済学の手法で生物多様性の保全を行うことはできないのでしょうか。本書では規制や寄付から宝くじ、サファリ・ハンティングなど保全に反するように見えるものまで様々な角度から保全策を検討しています。
「生物多様性」豆知識2〜3つのレベルの多様性〜
 生物多様性とは、生き物たちの豊かな個性とつながりのことです。1993年12月に発効された生物多様性条約では次の3つのレベルで多様性があるとしています。
 ○生態系の多様性
  森林、里地里山、河川、湿原、干潟、サンゴ礁などいろいろなタイプの自然がある。
 ○種の多様性
  動植物から細菌などの微生物にいたるまで、いろいろな生き物がいる。
 ○遺伝子の多様性
  同じ種でも異なる遺伝子を持つことにより、形や模様、生態などに多様な個性がある。
(環境省 みんなで学ぶ、みんなで守る生物多様性:www.biodic.go.jp/biodiversity/index.html より)

3 知る1〜生き物〜

 現在、地球上には3,000万種ともいわれる多様な生き物がいます。その生き物が担っている役割や迫る危機について書かれた資料をご紹介します。

『生物多様性のしくみを解く 第六の大量絶滅期の淵から』
宮下直/著 工作舎 2014年
 長野県の豊かな自然の中で、昆虫や鳥類などに史単身で育った著者が、様々な生き物を例に、生物と自然環境のつながりやバランス、問題をひも解いていきます。生き物の共通するしくみにも触れるなど、多様性を理解する上で必要な知識についても丁寧に説明しています。
『ミミズと土』
チャールズ・ダーウィン/著 渡辺弘之/訳 平凡社 1994年(平凡社ライブラリー)
 その容姿から不快な生き物に見られがちなミミズですが、実は自然の中で重要な役割を果たしています。ダーウィンはミミズの習性を詳述し、肥沃土(肥えて、作物の生育に適する土壌)を増やし土壌を改良する生態を明らかにします。小さなミミズの知られざる働きから生態系の微妙な仕組みや生き物とのつながりが見えてきます。
『翳りゆく楽園 外来種vs.在来種の攻防をたどる』
アラン・バーディック/著 伊藤和子/訳 ランダムハウス講談社 2009年
 科学史のライターである著者は侵入種の脅威について取材するうちに、人口の世界(=都市)から出て本物の自然に踏み込んでみるべきだと気づき、旅に出ます。侵入種の移動ルートを追って自ら各地を調査した記録が鮮明に綴られています。
『よこはま谷戸の水辺の生きものたち』
横浜市環境創造局環境科学研究所 2008年(川と海の生きものシリーズ)
 谷戸とは、丘陵台地が雨水や湧水等で浸食されてできた谷間の部分のことを言います。本書は小学生から大人までを対象とした、横浜市内にある谷戸の水辺で見られる生き物たちを紹介するガイドブックです。生き物の観察の仕方や谷戸へ入る時の約束も載っています。

4 知る2〜生態系〜

 多様な生態系がもたらす恵みは、私たちの命や暮らしを支えています。「ヨコハマbプラン」では、市内の谷戸、森、海の保全・再生を重点推進政策に上げています。

『森が消えれば海も死ぬ 陸と海を結ぶ生態学』
松永勝彦/著 講談社 2010年(ブルーバックス)
 森が栄養、水温、水量を調整することで海の生き物を育てます。現在、漁師たちが山の木を育てる「漁民の森」運動が全国で進められています。その科学的根拠ともなった「陸と海を結ぶ生態系について多種多様な事例を紹介しています。
『センス・オブ・ワンダーへのまなざし レイチェル・カーソンの感性』
多田満/著 東京大学出版会 2014年
 レイチェル・カーソンの環境思想と、名著『センス・オブ・ワンダー』を紹介し、「美しいものや畏敬すべきものへの直観力」=「センス・オブ・ワンダー」をはたらかせて現代社会を生きることを案内しています。 著者の案内で自然、科学、芸術、生命、社会の5つの分野を「センス・オブ・ワンダー」のまなざしで見てみましょう。
『「つながりの森」構想』
横浜市環境創造局政策課/〔編〕 横浜市環境創造局 2012年
 「横浜つながりの森」とは、横浜市南部の円海山周辺に広がる水辺環境を含む緑地のことです。横浜の生物多様性の宝庫である「つながりの森」を市民全体で体感し、次の世代へつないでいくための現状分析、取組等がまとめられています。
『里山創生 神奈川・横浜の挑戦』
佐土原聡/〔ほか〕編 創森社 2011年
 近代化の先頭に立ち、工業化と都市化を進めてきた神奈川・横浜の歴史は、里山の劣化・消失の歴史でもありました。里山が失われた現状と起きている問題とともに「横浜みどり税」の導入等、自然再生・保全の先駆的な取組紹介しています。
『横浜の源流域環境 かけがえのない環境を未来へ』
横浜市環境創造局環境科学研究所 2009年
 2004年度から4年間かけて行われた横浜の源流域水環境基礎調査を基に、その現状や保全の重要性についてまとめられています。流域ごとの環境の特徴、確認された動植物等の情報を知ることができます。
『身近な自然の保全生態学 生物の多様性を知る』
根本正之/編著 培風館 2010年
 「保全生態学」とは、生物多様性の保全を目指し、人間の活動により傷ついた生態系の診断・保護を実現するための学問です。
 本書は、身近な自然に焦点を当てて、人間の活動が生態系に与えてきた影響、そして生態系と生き物の多様性の関わりを具体的に解説しています。
『日本の海はなぜ豊かなのか』
北里洋/著 岩波書店 2012年(岩波科学ライブラリー)
 日本周辺の海の容積は全海洋の0.9%なのに対し、そこには海洋生物約25万種の13.5%が生息しています。この豊かさの背景には複雑な地形、地質を持つ日本列島数千万年の歴史があります。毒性の強いメタンや硫化水素をエネルギー源とする生態系など、海野環境の多様性が生み出す生物の多様性を豊富なカラー写真とともに紹介します。
「生物多様性」豆知識3〜生態系サービス〜
 「自然のめぐみ」を専門的な言葉では「生態系サービス」と言います。生態系サービスには、大きく分けて4つのサービスがあります。
 ○供給サービス
  食料、水、木材、繊維、燃料など
 ○調整サービス
  気候の安定や水質の浄化など
 ○文化的サービス
  レクリエーションや精神的な恩恵を与える
 ○基盤サービス
  栄養塩の循環や土壌形成、光合成など
(『環境白書 循環型社会白書/生物多様性白書 平成25年版』より)

5 伝える

 生物多様性についての理解が深まったら、まわりの人に伝えてみましょう。「ヨコハマbプラン」の重点アピールの1つ、b−プロモーションでは、次代を担う子どもたちを「主役」と考え、体験学習、エコツーリズム等で自然を感じてもらうきっかけづくりを進めています。

『生物多様性 子どもたちにどう伝えるか』
阿部健一/編 昭和堂 2012年(地球研叢書)
 生物多様性が大切だということを「なぜ」説明しなければならないのか、7人の研究者が実体験・実践を踏まえて詳述しています。第3章の「どんぐりで名前つけあそび」では、学生たちがどんぐりに独自の名前を付ける体験を通して多様性を実感させる、興味深い授業の紹介があります。
『新 生物による環境調査事典』
内山裕之/編著 東京書籍 2012年
 生物多様性を体感するための調査・観察が豊富に紹介されています。それぞれ方法、必要なもの等が具体的に記述されているため、より実践しやすくなっています。参考文献・ホームページの紹介、巻末の生物名索引が便利です。
『環境教育とは何か 良質な環境を求めて』
岩田好宏/著 緑風出版 2013年

6 行動する

 生物多様性の保全・再生の取組は、行政だけでなく、市民や企業も主体的に関わっていくことが大切です。横浜市では企業や市民団体との連携・支援に取り組んでいます。様々な事例をヒントに、できることからはじめてみましょう。

『自然再生事業 生物多様性の回復をめざして』
鷲谷いづみ、草刈秀紀/編 築地書館 2003年
 2003年に「自然再生推進法」が施行されたことにより、NPOや市民、行政が協働し、健全な生態系を取り戻すための取組が動き出しました。本書はその少し前から行われていた事例が紹介されており、神奈川県丹沢山地の実践も出ています。。
『企業が伝える生物多様性の恵み 環境教育の実践と可能性』
石原博ほか/著 経団連出版 2014年
 経団連では2009年に「経団連生物多様性宣言」を取りまとめ、企業に対し生物多様性保全を訴えてきました。本書では企業の環境教育事例を紹介し、環境教育の意義や役割を解説しています。
『企業が取り組む「生物多様性」入門 国内先進企業11社とNPO、自治体、大学が語る』
企業が取り組む生物多様性研究会/著 日本能率協会マネジメントセンター 2010年
『〈生物多様性〉エコリーダーになろう エコリーダー公式テキスト』
環境プランニング学会/著 環境プランナー協議会/著 中央経済社 2011年
「生物多様性」豆知識4〜緑の10大拠点〜
 横浜市内には、「緑の10大拠点」と呼んでいる地域があります。
 ・「緑の七大拠点」(市内主要河川の源流域にある、まとありのある緑地)
  こどもの国周辺地区、三保・新治地区、川井・矢指・上瀬谷地区、大池・今井・名瀬地区、舞岡・野庭地区、円海山周辺地区、小柴・富岡地区
 ・「河川沿いのまとまりのある農地・樹林地の拠点」(鶴見川や境川の中流域)
  都田・鴨居東本郷・菅田羽沢周辺、上飯田・和泉・中田周辺、下和泉・東俣野・深谷周辺
(『ヨコハマbプラン 生物多様性行動計画』より)

 

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