みなさん、図書館ではタダで本を貸してくれるだけだと思っていませんか? カウンターにいる職員は、一日中ああしてピッピと貸出と返却を繰り返しているのかなぁなんて思っていませんか?
いえいえ、決してそうではないのです。
このコーナーではそんな誤解を解くために、図書館はどんな所なのか、カウンターから見えないところで何が起こっているのか、私たち職員がウラ(事務室です)で何をしているのかをお伝えしていこうと思っています。さらに、時々耳にする「図書館ってなんだか怖い」という悲しい誤解もうまく解けたら・・・とも思っています。図書館は単純ではないし怖くもありません。誤解して使わないのはもったいないですよ。
(こちらは横浜市立図書館の紹介です。各自治体共通ではありませんのでご注意ください。)

そもそも鶴見図書館には何があるのでしょうか?
- 小説、実用書、文庫本、全集、辞典・事典類、年鑑類、外国の本、子供向けの本、紙芝居…
- 雑誌
- 新聞
- 官報
- 大活字本(通常の文字のサイズでは読みにくいという方向けの、大きな活字の本)
- 郷土資料(地域に関する資料。歴史の本、古地図など)
- 行政資料(国や自治体が発行した資料)
- 地図(地形図、道路地図、住宅地図などなど)
- 電話帳
- CD-ROM(主に辞典類のCD-ROM版)
など様々な情報源を取り揃えています。誰でも自由にご覧になれます。
主役はやはり「本」です。新しい本はもちろん、出版されてから時間がたった本、絶版などで流通していない本、地方の小さな出版社の本、専門書、国や市町村が発行している資料など、町の本屋さんでは見かけないものも見ることができます。図書館は
「資料の保存」という大切な役割を持っていますから、古い資料探しではその威力を発揮します。過去の雑誌や新聞もありますので、例えば自分が生まれた日の新聞を調べることもできます。
それでは逆に、書店にある本がすべてあるかというと、残念ながらそうではありません。限られた予算の中で、図書館として受け入れる資料を選ばなければならないからです(選定という)。これについては後でくわしくご説明します。
みなさんが普段見ることができるのは
「公開書架」(書架=本棚のこと)と呼ばれる場所にある資料です。それらは
NDC(日本十進分類法)に従って、内容ごとに分類されます。通常、本の背の下部分にラベルが貼ってありますが、それが
請求記号(あるいは分類番号)です。この数字が本の中身を表しており、番号順に本は並んでいます。(ラベルはこの他にもいくつか種類があり、これらがその資料の図書館でのあり様を示しています)
もうひとつ、
「書庫」と呼ばれる非公開の場所があり、古い資料や貴重な資料は主にここに保管されています。一般の方は入ることはできません。いずれの場所にある資料も、貸出が出来るものと出来ないものがあります。辞典・事典類や新聞、貴重な本、高価な本、最新号の雑誌などは、貸出不可としている場合があります。利用者がいつでもその資料を見ることが出来るように、常に棚に備え付けておくためです。ゆっくり腰を落ち着かせて、じっくりと資料調べをしてみてください。
ラベルです。→
[213]という分類番号はNDCの「関東地方の歴史」を、その上の[カウンター]と(読みづらいですが)[郷土]は本の場所を、[館内]は貸出不可をそれぞれ表しています。
ちなみに書名は『鶴見区史』と『横浜市史1』です。
今はパソコンが普及し、何かを調べるときもインターネットを使う機会が多いと思います。しかしネット上の情報は消えやすく、また発信者もはっきりせず信憑性を疑うものもありますね。その点、本は後々まで残りますし、1冊の本を作るのに何人もの人間が携わっているわけですから、信憑度は格段に上と言っていいでしょう。はじめの一冊から大きく世界が広がることだってあります。見つけた情報を確認する意味でも、面倒くさがらずに資料を手にとってご自分で調べてみることをおすすめします。好きな小説や雑誌をタダで借りられる、というだけでなく、図書館にある情報源をどんどん活用して知識の幅を広げてください。
では具体的に、みなさんが図書館で受けられるサービスをご紹介します。
- 資料の閲覧・貸出し
- 資料の予約(リクエスト)
- 調べもの相談(レファレンス)
- 一般利用ができない大学図書館などへの紹介状発行
- (お子さんへ)本の読み聞かせ、ブックトーク
- (視覚障害者のかたへ)本の朗読
- (日本語が不自由な方へ)各種言語の資料
閲覧・貸出しは今更言うまでもありませんね。資料の閲覧(ご覧いただくこと)と貸出しは、図書館の大切なサービスのひとつです。どなたでも自由に資料を手にとることができますが、貸出やその他のサービスについては、市内在住・在勤・在学している方が対象となります。
予約とは、自分が欲しい資料がそこにない場合に、他の図書館から取寄せることをいいます。市内はもちろん、他の自治体や大学、研究機関、国立国会図書館から取寄せることもあります。また、図書館に無い資料についてみなさんからリクエストがあった場合、購入を検討する場合もあります。
調べもの相談とは、図書館では
レファレンスと呼ばれるものです。資料を探したり、何かを調べたりするときに、図書館の職員(司書=図書館業務のプロ。横浜市では司書の資格をもった職員が対応いたします)がそのお手伝いをします。数多い本を目の前にして、何を見たらよいのか途方にくれる前に遠慮なくご相談ください。質問の答えが載っていそうな資料や関連資料を紹介したり、あるいは司書が様々な資料をあたって調査をして情報提供いたします。さらに、「こんな本が読んでみたい」「子どもにどんな本を読ませたら良いのか分からない」などの
読書相談にもお応えいたします。
ただし、医療相談や懸賞・クイズ、品物の鑑定などお答えすることが出来ない事がらもあります。
一般の人が利用できない図書館(大学図書館など)を利用したい場合に、
紹介状を発行することがあります。これは、それらの図書館の利用資格を持たない人が、利用ができるよう取り計らってもらうための書状です。通常、特定の資料を見るためなど利用の目的がはっきりしている場合に発行されます。
子どもたちには、定期的に
おはなし会を開いて読み聞かせをしています。時には学校や保育園に司書が出向いて、お話や本の紹介をすることもあります。それらをきっかけに、読書の楽しさを知ってもらうためのサービスです。
資料の朗読は、目の不自由な方のためのサービスです。ボランティアの朗読者に協力をしてもらっています。また、録音図書や点字図書などの貸出や、障害者の方向けの郵送貸出もしています。
横浜市にはたくさんの外国人の方々が生活していらっしゃいます。図書館でも
様々な言語の資料収集(英語をはじめ、中国語、韓国・朝鮮語、スペイン語、ポルトガル語など)に努めています。もし身近に外国人の方がいらっしゃったら「図書館には本や雑誌があるよ」と教えてあげてください。
図書館のこと、本のことで手助けを必要とする方には、どなたにでもお手伝いします。それが、私たちが提供するサービスです。こんな本は図書館にはないだろう…とか、こんなことは調べられないだろう、などとご自分で判断せずに、まずは一言、カウンターの司書に声をかけてみてください。
図書館で働く職員は、いったいどういう仕事をしているのでしょうか。
横浜市の図書館では、司書と事務職員そしてそれをサポートする嘱託員、アルバイト職員がそれぞれの仕事を分担して進めています。図書館のサービス業務を主として進めているのが司書です。貸出返却の手続きはもちろん、図書に関する相談・お問合せに応え、利用者の構成やニーズ・動向などをおさえつつ蔵書構成を考え、館内のレイアウトを試行錯誤しながらできるだけ多くの人に本を手にとってもらえるよう工夫をし、講習会や行事の企画・実行から子どもには本の読み聞かせ、あるときは学校へ、あるときは区のイベントへ出向いて本の紹介や図書館のPRをすることもしばしば…と、やることはたくさん。細かい仕事を上げればまだまだあります。
横浜市立図書館(中央図書館を除く)の内部業務は、大きく分けて「貸出・予約・受入れ」の3つのパートから成り立っています。
「貸出」と呼ばれる担当は、色々な利用者向けサービスを取り仕切ります。利用者情報関連、行事の企画立案、保育園・学校や区役所など他機関との連絡のやり取りと情報交換など、図書館によって多少の違いはありますが、仕事の内容はさまざまです。最近は他機関との連携がさかんになっており、渉外としての仕事が増えてきています。
「予約」は、その名の通りみなさんが予約の申込みをしてからお手元に届くまでの仕事(主に資料の取寄せ)を受け持っています。詳しくは後の章で説明しますが、市内の図書館はもちろん、他都市・国・大学など他機関と資料のやり取りをすることもあります。
「受入れ」は、資料の選択・購入手続き、データ管理や装備(図書館用にビニールコーティングをしたりラベルを貼ったりすること)など、主に資料関連の責任者です。購入する資料の発注から、棚に並べるまでの仕事をしています。
図書館の人はのんびりカウンターに座っているだけで、静かな場所で本に囲まれて・・・という印象をお持ちのかたもいらっしゃるかもしれません。カウンター以外の場所で働く私たちの姿を、皆さんが見ることは少ないことからそういった誤解も受けやすいのですが、そんなことではたちまち図書館は機能しなくなってしまいます。少しでも利用しやすい図書館であるよう常に心がけ、私たち職員は見えないところでもみなさんと資料のために働いています。
ちなみに、休館日でも職員が交代で出勤して、本がひっくり返ったり違う場所にあったりして乱れた棚の整理や他の図書館から戻ってくる大量の本の処理、レイアウトの変更などをしています。
こんな流れで資料は図書館にやってきます。
- 新刊の本のリストを主に、様々な情報源(出版社からの情報、新聞や雑誌の書評、世間の評判、インターネットなどなど)から購入したい本を選ぶ。すでに所蔵している資料とのバランスや利用者のニーズ、図書館としての役割を勘案しながら、購入する本をあらかじめ決めておく。
- 「選定会議」を定期的に開き、購入・受入れの決定をする。その際、資料の中身や装丁を実際に確認して図書館に置くのにふさわしいかを判断することもある。
- 各図書館から業務用のパソコンを使って発注する。中央図書館でまとめられ、入札で決められた各書店などに注文する。新刊の本のリストをチェックしてからここまでで、約1週間。
- 中央図書館に資料が納品される。納品までの時間はまちまちで、発売後にすぐに図書館に届くわけではない。なかには品切れなどでこないものもある。納品後、図書館用にラベルを貼ってビニールコーティングがされる。(装備という)
- 各図書館へ搬送。みなさんのお手元へ。
上記は、ごく基本的な資料購入の流れです。購入予算と棚のスペースには限りがありますので、残念ながら出版された資料をすべて購入することはできません。選書(本を選ぶ)をする必要があります。
選ぶ根拠は、
今の品揃えに足りないもの、多くの利用が見込めるもの、図書館として後世に残しておきたいもの、利用者からリクエストがあったものなどさまざま。どんな資料を棚に並べるかは、私たち司書の腕の見せどころ。できるだけみなさんのお役に立つような資料を、経験も踏まえて資料を選んでいます。そのために、普段から出版や世の中の流れの情報をできるだけ得るよう努力をしています。
図書館がある場所や利用者の構成などで、必要な資料の傾向も変わってきますから、一律に「横浜市立図書館」といっても、図書館ごとに品揃えには個性が出てきます。また、中央図書館と各区の図書館では役割そのものが少し異なりますので、規模だけではなく中身にも違いがでてきます。一般的に評価の高い本だから、人気があるから、利用者からリクエストがあったらからといってただちに購入を決めるのではなく、本当に必要な資料なのかをきちんと検討したうえで、蔵書をこつこつと作っているのです。
「予約」について、上の2で少しふれました。貸出中の資料、その図書館にない資料を取り寄せるサービスです。ここでは、予約の資料が届くまでを紹介したいと思います。
1)ご希望の資料が市内の図書館にある場合と貸出中の場合
利用者からの申込後、予約情報が入力されると、その利用者が機械上の順番待ちリストに記録されます。その資料を、市内いずれかの図書館で一番早く業務用パソコンに読み込ませたものがやってくる仕組みになっています。
では、その「読み込ませ」る機会とはどんな場合でしょうか? まず一つは、資料が返却されたとき。バーコードを読み込んだ際にブザーが鳴り、それが予約の資料であることを知らせてくれます。新しく図書館に入荷した本も、到着した時点で読み込ませます。
もう一つは、職員が該当資料を棚から取ってくる作業です。資料はいつでも貸出中とは限りません。棚に並んでいる本については、予約が入った本の一覧を印刷してそれを見ながら棚から抜き出し、各図書館へ送られます。予約資料は、基本的に申し込んだ図書館だけでまかなわれるものではありません。届いた本を見ていただくと、市内あちこちの図書館のものということが、ついているバーコードでお分かりいただけると思います。 いずれかの作業で、一番早く確保された本が皆様のもとにやってきます。
2)ご希望の資料が市内の図書館にない場合
神奈川県内の各図書館では相互協力で資料の貸し借りを行っています。横浜市立図書館で持っていない資料を、他の自治体の図書館が持っていないかをネットワーク上で尋ねて(調べて)、借りられるようなら送ってもらうよう手配をします。同時に、利用者からのリクエストは資料購入の大きな手がかりになりますので、図書館で購入する方向で検討することもあります。ただ、定期購読が必要な雑誌や古い資料、絶版などで購入できない資料は他の図書館に頼るしか方法はありません。
利用者の求めに応じて、大学・専門図書館や研究機関を紹介したり、県外や国立国会図書館から取り寄せることもあります。ただし、この場合は有料になる場合があるので、あくまでも利用者から要望があった場合に限ります。すべてのリクエストに応えられればよいのですが、残念ながら最終的にご用意ができずにお断りをすることもあります。 ごくまれに、読みたい本は予約をせずに棚に戻ってくるのを待つというかたがいらっしゃいますが、必要な資料の場合、それはお勧めできません。次に来館したときまでに貸出されてしまうかもしれないですし、すでに順番待ちの人がいて、棚に戻ることがしばらくないかもしれないからです。
3)予約の方法とお願い