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24時間風呂を使っているのですが...

「24時間風呂(循環式浴槽)」は湯をろ過して再利用するため、一般家庭向けには「24時間いつでもお風呂に入れて、浴槽の清掃に手間がかからないうえ、水の節約になる」といううたい文句で急速に普及してきました。また、資源の効率化を図る等の理由から、公衆浴場や温泉地の旅館やスーパー銭湯にも大型の循環式浴槽が設置されています。
この一見いいこと尽くめの24時間風呂ですが、適切な管理を怠ると、浴槽水中にレジオネラ属菌などの微生物が繁殖する場合があります。


24時間風呂の外観

24時間風呂(循環式浴槽)の構造と水の流れ

24時間風呂(循環式浴槽)の構造と水の流れ

家庭用の24時間風呂の浴槽の湯は、まず、プレフィルターを通過し、大きなごみが取り除かれます。
次に、微生物膜を利用したろ過装置を通過する時に、微生物による生物浄化が行われます。これは、セラッミックボールなどの表面に微生物を繁殖させて、有機物などを分解するシステムです。
この微生物は初めから植え付けられているのではなく、それぞれの家庭で使われるうちに繁殖するので、同じ機種の24時間風呂であっても、みなさんのお宅とお隣のお宅では違う微生物が定着します。
この微生物膜の代わりに物理ろ過を使用している機種もあります。
つぎに、湯を殺菌装置で殺菌します。
現在、売られている24時間風呂に付属している殺菌方法は、「紫外線殺菌」、「オゾン殺菌」、「塩素殺菌」などがあります。
大きな機種になると2種類の殺菌装置が付属しているものもあります。
旧い機種では殺菌装置が付属していないものもありますから、注意が必要です。
それから、湯の温度を入浴に適した温度に加熱して浴槽に戻します。

大型循環式浴槽の構造

業務用の大型循環式浴槽は少し、構造が違います。ろ過装置の前に殺菌装置が組み込まれ、ろ過装置にレジオネラ属菌が繁殖しないように配慮されています。業務用の大型循環式浴槽の維持管理について「レジオネラ症を防止するために」(施設管理者向け) [pdf:8.14MKB] をご覧ください。

レジオネラ属菌とは

水質基準 [pdf:20KB]

レジオネラ属菌が知られるようになったのは最近のことです。1976年、アメリカのペンシルバニア州フィラデルフィアのホテルで米国在郷軍人の集会が開催され、この時、原因不明の肺炎が発生しました。患者は大会参加者やホテルの従業員、近くのブロード街通行人を含む221名にものぼり、死者34名、死亡率は15.4%に達しました。この原因を調査したアメリカCDCは、それまで全く知られていなかった棹状の細菌を剖検肺切片から発見しました。在郷軍人会(the Legion)にちなんで、この細菌はレジオネラ(Legionella)と呼ばれるようになりました。レジオネラ属菌は人工的に培養するために専用の特殊な培地が必要です。そのために、発見されるのが遅くなりました。
レジオネラ属菌は自然界の土壌)や淡水など、我々を取りまく生活環境水中に広く生息する好気性グラム陰性桿菌で、細菌、藻類、原生動物等の微生物と共生しています。特に、アメーバなどの細菌捕食性の原生動物に餌として取り込まれたレジオネラ属菌は、消化されずに増殖を続けます。その結果、アメーバの細胞を破壊して、外界へ多数のレジオネラ属菌が放出されます。これと同様に、レジオネラ属菌はヒトの好中球やマクロファージに取り込まれても殺菌、消化されずに増殖し、原生動物と同様の挙動を示します。
 レジオネラ属菌の発育可能温度は25〜43℃、至適温度は36℃前後です。レジオネラ属菌は酸や熱にも耐性を示しpH3、50-55℃でも耐えられます。50℃でも20分間、4℃では1年以上も生きていられます。しかし、70℃以上1分以上加熱すると死んでしまいます。人工培地を用いた培養は、L-システインを添加したBCYEα等の特殊な培地上にのみ可能で、発育は遅く、36±1℃で5〜7日間の培養が必要です。
レジオネラ属菌の顕微鏡像写真は培養したレジオネラ属菌を染色し、顕微鏡で覗いたところです。長時間培養すると菌体が長くなる特徴があります。
Legionellaは科Legionellaceaeの唯一の属で、現在41菌種が命名記載されています。現在、 41菌種のうち、22菌種がヒトに病原性を有することが確認されていますが、全ての菌種が肺炎の原因になる可能性があると考えられています。臨床分離株ではLegionella pneumophilaが代表的な菌種です。レジオネラ属の菌を総称してレジオネラ属菌と称します(名称の記載は「レジオネラ属菌」又は「レジオネラ」で、「レジオネラ菌」は誤りです)。

レジオネラ症とは

レジオネラ属菌を含む微細な水滴を直接肺に吸入したり、菌を含んだ水を誤飲して気管に入ったりして、感染し発症します。症状には急性肺炎に似たレジオネラ肺炎と、インフルエンザに似たポンティアック熱があります。

レジオネラ肺炎(肺炎型)ポンティアック熱(非肺炎型)
・2〜8日の潜伏期
・全身倦怠、筋肉痛、頭痛
・悪寒を伴った高熱(39〜41℃)
・乾いた咳、呼吸困難、腹痛、下痢
・死亡例あり
・悪寒を伴った発熱
・倦怠感、筋肉痛、頭痛
・5日以内に無治療で回復
・死亡例の報告なし
・集団発生しなければ、発見されにくい

ポンティアック熱は大規模な集団発生事例でなければ、風邪と区別がつきにくく、散発例はほとんど見逃されています。多くの患者は7日以内に自然治癒し、死亡例の報告はされていません。
一方、発熱を主な特徴とするレジオネラ肺炎は急性肺炎の病型をとり、進行は速く重篤な場合は呼吸不全をきたし死亡します。一般の肺炎に有効なβ-ラクタム系抗菌薬の効果がないため、初期に的確な診断を下し、有効な抗菌薬を選択しないと死に至る可能性があります。レジオネラ属菌はヒトのマクロファージや好中球に捕食されますが、細胞内殺菌能を抑制するため、免疫が機能し始めるまでマクロファージ内で増殖します。従って、抗菌薬は細胞内に移行性の良いマクロライド系、ニューキノロン系、リファンピシンなどを選択します。
レジオネラ症は日和見感染症で、高齢者や新生児、及び免疫力の低下をきたす基礎疾患を有する人がハイリスクグループです。しかし、「健康な抵抗力のある人は罹らない」と誤解する向きがあるので、誰しも注意が必要です。
現在、人から人への感染は報告されていません。

24時間風呂(循環式浴槽)の問題点

24時間風呂の浴槽水に微生物が繁殖する大きな原因は、

  1. 常に微生物の繁殖に適した水温
  2. 低い加熱温度
  3. 長い浴槽水の循環路
  4. 微生物膜によるろ過・浄化機構

などにあります。
人が入浴するのに快適な水温というのは、多くの微生物の繁殖・増殖にとっても格好の条件になります。レジオネラ属菌は70℃に加温すると短時間で死滅しますが、24時間風呂の場合、40度前後までの加温しか行われません。
「長い浴槽水の循環路」は、浴槽水を運ぶ配管が長く、それだけで清掃が徹底されにくくなります。清掃が行き届かない配管壁面は微生物が付着して増殖しやすくなります。ここにアメーバなどが定着すると、レジオネラ属菌を増殖させる温床になります。
「微生物膜によるろ過・浄化機構」からこぼれ落ちた微生物は、配管壁面や浴槽表面などでも増殖します。
レジオネラ属菌は土壌に含まれるため、直接土埃が浴槽に入ったり、人がからだに付着させて浴槽水に入ったりします。
24時間風呂の循環路に入り込んだレジオネラ属菌は、増殖できる場所が無数にあるのです。
しかし、24時間風呂の総ての浴槽水中に、微生物が大量繁殖しているわけではありません。
同じ機種であっても家庭ごとに状況が異なります。ご自分が利用している24時間風呂の衛生状況を知るには、検査を受けることをお勧めします。

24時間風呂への対応

浴槽水は毎日接触するものであり、高齢者・乳幼児・患者等抵抗力の弱い人も入浴するため、レジオネラ属菌の生息を防止する必要があります。
それには、

  1. 短い間隔で浴槽水を換水する
  2. フィルターをこまめに洗浄する
  3. 紫外線やオゾンによる殺菌装置の稼働時間を可能な限り長く設定する

などが考えられます。
また、暴露の危険を少なくするためには、

  1. シャワーには浴槽水を使用しない
  2. 浴槽水中のバブルジェット(気泡発生器)は使用しない

など、使用上・管理上の注意を払う必要があります。
公衆浴場等では、浴場水のレジオネラ属菌は「検出されないこと」とされています。
それには、

  1. 毎日の換水
  2. 浴槽をはじめとするヘアキャッチャー等の毎日の清掃
  3. 殺菌装置の適正管理(ろ過器の逆洗等)
  4. 一定期間ごとの配管の殺菌高圧洗浄

などが必要です。

レジオネラ症かな、と思ったら・・・

肺炎に似た症状があらわれたら、急いで医療機関にかかってください。そして、「自宅に24時間風呂がある」「温泉/スーパー銭湯に行った」などの情報を医師に伝えてください。そうすれば、レジオネラ症を考慮に入れた適正な治療が行われます。

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横浜市衛生研究所 検査研究課 - 2008年4月1日作成
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