横浜市トップページ > 健康福祉局 > 横浜市衛生研究所 > 横浜市感染症情報センター > 疾患別情報 > アメリカ合衆国のこどもの定期予防接種について
本稿では、アメリカ合衆国のこどもの定期予防接種について触れます。まず、アメリカ合衆国のこどもの定期予防接種と日本のこどもの定期予防接種との違いを見てみましょう。
日米の両国とも定期予防接種として実施している予防接種もありますが、一方の国でしか定期予防接種として実施していない予防接種もあります。表にまとめると、下の表1のとおりです。
| 表1. こどもの定期予防接種のアメリカ合衆国と日本との違い | |||
|---|---|---|---|
| アメリカ合衆国のこどもの定期予防接種 | |||
| 実施 | 実施せず | ||
| 日本のこどもの定期予防接種 | 実施 | ジフテリア・破傷風・百日咳、 ポリオ(*1)、 麻疹・風疹、 |
結核(BCG)、 日本脳炎 |
| 実施せず | ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib)感染症、 肺炎球菌感染症、 A・C・Y・W-135群髄膜炎菌感染症、 流行性耳下腺炎(ムンプス)、 ヒトパピローマウイルス16型・18型による子宮頸部癌、外陰癌、膣癌、肛門癌および 6型・11型による尖圭コンジローマ、 A型肝炎、B型肝炎、 ロタウイルスによる感染性胃腸炎、 水痘、 インフルエンザ |
||
| (*1) : ポリオについては、日米の両国でこどもの定期予防接種として実施されているものの、アメリカ合衆国では不活化ワクチン(IPV)、日本では生ワクチン(OPV)という違いがあります。 | |||
こどもの定期予防接種としてアメリカ合衆国で実施されず日本で実施されているもの実施されているものとしては結核(BCG)、日本脳炎(JapEnc)と少数あります。反対に、こどもの定期予防接種として日本で実施されずアメリカ合衆国で実施されているものとしては、ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib)感染症、肺炎球菌感染症(PCV)、A・C・Y・W-135群髄膜炎菌感染症(MCV4)、流行性耳下腺炎(ムンプス)、ヒトパピローマウイルス16型・18型による子宮頸部癌、外陰癌、膣癌、肛門癌および6型・11型による尖圭コンジローマ、A型肝炎、B型肝炎、ロタウイルスによる感染性胃腸炎、水痘、インフルエンザ と多数あります。
多数のワクチンを混合したワクチン製剤がアメリカ合衆国では見られます。たとえば、ジフテリア・破傷風・百日咳のワクチン(DTaP)、ポリオの不活化ワクチン(IPV)、ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib)のワクチン(Hib)を混合したワクチン(DTaP-IPV/Hib、商品名Pentacel)があります。三つのワクチンが混合されたワクチンがあれば、個々のワクチンではそれぞれ1回ずつだと3回の接種が必要なところ、三つのワクチンが混合されたワクチンでは1回の接種で済むことになります。接種回数が少なくなれば、こどもが注射で痛い思いをする回数も少なくなります。また、接種スケジュールの設定も容易になります。
日本でも混合ワクチンが見られます。ジフテリア・破傷風・百日咳の三種混合ワクチン、麻疹・風疹のMRワクチンなどです。ポリオの生ワクチンについても、ポリオウイルスの1型、2型、3型の弱毒ウイルスを使った生ワクチンですので、三種混合ワクチンと見ることもできます。
アメリカ合衆国のこどもの定期予防接種の標準的なスケジュール(2012年版:2011年12月23日から)は、下の表2のとおりです。アメリカ合衆国において、18歳以下のこどもたちに対して、ACIP(予防接種勧告委員会)・小児科学会・家庭医学会が推奨しているものです。 毎年、更新されます。
| 表2. アメリカ合衆国のこどもの定期予防接種の標準的なスケジュール(2012年版:2011年12月23日から) | |||
|---|---|---|---|
| 接種時期 | 予防する感染症 | 接種するワクチン(英字略語表記等) | |
| 誕生時 | B型肝炎 | HepB(1回目) | |
| 生後1-2ヶ月 | B型肝炎 | HepB(2回目:1回目の4週間以上後) | |
| 生後2ヶ月 | ジフテリア・破傷風・百日咳 | DTaP(1回目:生後6週から) | |
| ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib)感染症 | Hib(1回目:生後6週から) | ||
| ポリオ(*1) | IPV(1回目:生後6週から) | ||
| 肺炎球菌感染症 | PCV(結合型肺炎球菌ワクチン、1回目:生後6週から) | ||
| ロタウイルスによる感染性胃腸炎 | RV(1回目:生後6週から生後14週6日まで) | ||
| 生後4ヶ月 | ジフテリア・破傷風・百日咳 | DTaP(2回目) | |
| ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib)感染症 | Hib(2回目) | ||
| ポリオ(*1) | IPV(2回目) | ||
| 肺炎球菌感染症 | PCV(結合型肺炎球菌ワクチン、2回目) | ||
| ロタウイルスによる感染性胃腸炎 | RV(2回目:RV1[商品名Rotarix]は生後8か月0日まで) | ||
| 生後6ヶ月 | ジフテリア・破傷風・百日咳 | DTaP(3回目) | |
| ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib)感染症 | Hib(3回目:PRP-OMP[商品名PedvaxHIB]、および、PRP-OMPとB型肝炎ワクチンとの混合ワクチン[HepB-Hib、商品名Comvax]では不要) | ||
| 肺炎球菌感染症 | PCV(結合型肺炎球菌ワクチン、3回目) | ||
| ロタウイルスによる感染性胃腸炎 | RV(3回目:RV5[商品名Rota Teq]のみ。RV1[商品名Rotarix]では不要。RV5[商品名Rota Teq]は生後8か月0日まで) | ||
| 生後6-18ヶ月 | B型肝炎 | HepB(3回目:2回目の8週間以上後。1回目の16週間以上後) | |
| ポリオ(*1) | IPV(3回目) | ||
| 生後6ヶ月以上 (毎冬) |
インフルエンザ | TIVあるいはLAIV(1回目:LAIVは2歳以上) | |
| TIVあるいはLAIV(2回目:1回目の4週間以上後。9歳以上は不要。生後6ヶ月から8歳まででは、2011-12年冬季インフルエンザシーズンについては、2010-11年冬季インフルエンザシーズンに一度もインフルエンザ予防接種を受けていないこどもが必要。2012-13年冬季インフルエンザシーズンについては、2012年のACIP[米国予防接種勧告委員会]によるインフルエンザ予防接種勧告に従ってください) | |||
| 12-15ヶ月 | ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib)感染症 | Hib(4回目) | |
| 麻疹・流行性耳下腺炎(ムンプス)・風疹 | MMR(1回目) | ||
| 水痘 | VAR(1回目) | ||
| 肺炎球菌感染症 | PCV(結合型肺炎球菌ワクチン、4回目) | ||
| 12-23ヶ月 | A型肝炎 | HepA(1回目) | |
| 15-18ヶ月 | ジフテリア・破傷風・百日咳 | DTaP(4回目) | |
| 18ヶ月以上 | A型肝炎 | HepA(2回目:1回目の6-18ヶ月後) | |
| 4-6歳 | ジフテリア・破傷風・百日咳 | DTaP(5回目) | |
| ポリオ(*1) | IPV (4回目) | ||
| 麻疹・流行性耳下腺炎(ムンプス)・風疹 | MMR(2回目) | ||
| 水痘 | VAR(2回目) | ||
| 11-12歳 | 破傷風・ジフテリア・百日咳 | Tdap | |
| ヒトパピローマウイルス 16型・18型による子宮頸部癌、外陰癌、膣癌、肛門癌および 6型・11型による尖圭コンジローマ |
HPV (1回目:9歳から。女子はHPV4[商品名Gardasil]またはHPV2[商品名Cervarix]。男子はHPV4) | ||
| HPV (2回目:1回目の1-2ヶ月後) | |||
| HPV (3回目:1回目の6ヶ月後) | |||
| A・C・Y・W-135群髄膜炎菌感染症 | MCV4(1回目) | ||
| 16歳 | A・C・Y・W-135群髄膜炎菌感染症 | MCV4(2回目:1回目の8週間以上後) | |
| (*1) : ポリオについては、日本では生ワクチン(OPV)ですが、アメリカ合衆国では不活化ワクチン(IPV)です。 | |||
複数のワクチン製剤を同じ日に接種する場合には、複数のワクチン製剤を同じ注射器に吸い上げて混合して用いるようなことをしては、いけません。それぞれのワクチン製剤を別々の注射器に吸い上げて、できるだけ離れた部位に接種します。たとえば、一方のワクチンを右腕に接種したら、もう一方のワクチンを左腕に接種するというように接種します。限られた部位に接種しなければならない場合でも、接種部位は2.5cm以上離します。複数のワクチン製剤を同じ日に接種する場合には、接種部位が区別できるように、それぞれの接種部位について、接種の記録に、より詳細な記述が必要です。
2010年1月12日初掲載
2010年2月2日増補
2012年2月22日改訂増補