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サルモネラ感染症(食中毒)について

はじめに

 サルモネラ( Salmonella )は、人に下痢症状を起こす細菌ですが、数多くの種類があります。感染症法の3類感染症の腸チフスの病原体であるSalmonella typhi(チフス菌)や同じく感染症法の3類感染症のパラチフスの病原体であるSalmonella paratyphi A(パラチフスA菌)も、サルモネラの仲間です。ただし、感染症法の3類感染症のこれらのチフスの病原体は、人から人への感染が多いこと、潜伏期の長さや、症状、重症が多いことなどの点で、他のサルモネラとはかなり異なります。ここでは、感染症法の3類感染症のこれらのチフスの病原体以外のサルモネラの感染症(食中毒)について話題とします。
 なお、腸チフスやパラチフスについては、当・横浜市衛生研究所ホームページ「腸チフス・パラチフスについて 」をご覧ください。

流行は?

 アメリカ合衆国では、毎年、3万人−4万人のサルモネラ感染症(サルモネラ症)の患者の報告があります。軽い症状の患者は診断や報告がされていないと考えられるので、実際の患者数はこの数字の20倍−100倍あると推定されています。アメリカ合衆国では、年間、140万人のサルモネラ感染症の患者が発生し、その内、168,000人が受診し、15,000人が入院し、400人が死亡しているとする推計もあります(参考文献1)。

 サルモネラ感染症は、冬季より夏季に多いです。年齢的には、こどもたちがサルモネラ感染症になりやすいです。小さなこども(特に1歳未満の乳児)、老人、免疫が弱まった人、HIV感染者等でサルモネラ感染症は、重症となりやすいです。

 厚生労働省の「食中毒事件発生状況(平成12年)」によれば、2000年の日本では、1年間に、サルモネラ属菌により、518件の食中毒事件が発生し、6940人の患者が発生し1人が死亡しています。また、厚生労働省の「食中毒発生状況(平成22年)」によれば、2010年の日本では、1年間に、サルモネラ属菌により、73件の食中毒事件が発生し、2476人の患者が発生し0人が死亡しています。日本では、サルモネラ属菌による食中毒の年間発生件数は以前より減っています。日本における主な原因物質別の食中毒の年間発生件数推移(平成7年-平成22年)は下のグラフのとおりです。 日本においては、発生件数で見ると、平成11年(1999年)まで食中毒の二大原因物質はサルモネラ属菌と腸炎ビブリオでしたが、平成17年(2005年)からは、カンピロバクターノロウイルスが食中毒の二大原因物質となっています。

グラフ:日本における原因物質別の食中毒の年間発生件数推移(平成7年-平成22年)

どんな病気?

 サルモネラ感染症(サルモネラ症)は、サルモネラという細菌によって引き起こされます。サルモネラ( Salmonella )を摂取してから12-72時間後に大部分の人は、下痢、発熱、腹痛を起こします。下痢は血液を混じる場合もあります。症状は通常4-7日間続きます。軽い症状の患者は特別な治療なしに回復することがあります。しかし、激しい下痢によるひどい脱水のため、入院治療が必要となる場合もあります。敗血症となり、抗生物質で強力に治療しないと死亡の可能性がでてしまうような場合もあります。老人、乳幼児、免疫が弱まった人は、重症となりやすいです。

 家畜の病気を防ぐために、家畜に抗生物質を与えていた場合があり、その結果、家畜の腸内のサルモネラは、抗生物質が効きにくい耐性菌が増えているとされています。もともとは家畜の腸内にいたサルモネラで汚染された食物を食べたりして人が感染している場合もあります。抗生物質による治療の際は、耐性菌に注意する必要があります。

 サルモネラ感染症における下痢症状は、完全によくなりますが、消化管の消化・吸収の働きが完全に正常化するまでに数ヶ月かかる場合もあります。ごく少数の人々では、排尿時痛(尿道炎)から関節痛(関節炎)や眼の痛み(結膜炎)、微熱が出現して、数ヶ月から数年持続することもあります。これは、ライター症候群(1881年生まれのドイツの細菌学者H.Reiterに因む。性感染型と赤痢型がある。性感染型の原因菌は、クラミジア-トラコマティス。赤痢型の原因菌は、赤痢菌、サルモネラ、エルシニア、カンピロバクター。HLA-B27組織抗原を持つ人は、持っていない人と比較して、これらの原因菌に感染後、本症候群になりやすいです。)と呼ばれることがありますが、必ずしも全ての症状がそろうものではありません。そして、慢性の関節炎となることもあります。後に関節炎になるか、ならないかについて、抗生物質の使用の有無は関係がありません。サルモネラ感染症の患者の2%が慢性の関節炎となります。

 サルモネラは、人や鳥や動物の消化管に住んでいます。人は、動物の糞に汚染された食物を食べることにより、サルモネラに通常、感染します。サルモネラに汚染しても、通常の食物とにおいも見かけも何の変わりもありません。汚染された食物は、しばしば動物由来のもので、牛肉、鶏肉、牛乳や卵といったものが見られます。しかし、野菜を含めあらゆる食物が汚染される可能性があります。トイレの後手を洗うことを忘れた感染者が汚染された手で触れることにより食品はサルモネラに汚染することがあります。

 サルモネラは、ペットの糞にも見られることがあります。特に下痢をしているペットには注意が必要です。ペットの糞に触った後、手を洗わなかったような場合に、人がサルモネラに感染することがあります。爬虫類(はちゅうるい:カメ、ヘビ、イグアナ、トカゲ等)と両生類(カエル、イモリ、サンショウウオ等)は特にサルモネラを持ちやすい生物です。爬虫類と両生類は下痢症状もなくサルモネラを持っていることがあります。爬虫類や両生類を扱った後にはすぐに手をよく洗った方が良いです。爬虫類や両生類を扱った後でこどもたちが手をよく洗うように大人は注意する必要があります。

病原体は?

 サルモネラ( Salmonella )の名前の由来は、この細菌を今から100年以上前にアメリカ合衆国の病理学者D.E.Salmon(1850年生まれ)が発見したことによります。

 サルモネラ( Salmonella )は、人に下痢症状を起こす細菌です。感染している人や動物の便の中に出てきて、他の人や動物に感染します。サルモネラ( Salmonella )には、数多くの種類があります。アメリカ合衆国では、Salmonella typhimurium(ネズミチフス菌)と Salmonella enteritidis(腸炎菌)とがよく見られます。他にも、Salmonella arizonae(アリゾナ菌)などがあります。また、感染症法の3類感染症の腸チフスの病原体であるSalmonella typhi(チフス菌)や同じく感染症法の3類感染症のパラチフスの病原体であるSalmonella paratyphi A(パラチフスA菌)も、サルモネラの仲間です。感染症法の3類感染症の腸チフスおよびバラチフスは、敗血症となることもあり、重症となりやすいです。

 サルモネラは、O抗原(67種類)、H抗原(80種類)、K抗原といった3つの抗原の有無や種類の組み合わせにより、総計で約2300種類の血清型があります。

 アメリカ合衆国では、サルモネラ感染症(サルモネラ症)の患者の約半数は、二つの血清型によって生じています。 Salmonella enteritidis (S.E. : 腸炎菌)と Salmonella typhimurium (S.T. :ネズミチフス菌)とです。 Salmonella enteritidis の占める割合は、最近の20年間でどんどん増えています。 Salmonella typhimurium の発生に増減はありません。しかし、 Salmonella typhimurium では、抗生物質に対する耐性菌の割合がだんだんと増えています。また、アメリカ合衆国では、イグアナのペットとしての普及とともに、爬虫類に関係したサルモネラ感染症の割合が増えています。

 アメリカ合衆国では、1970年代にいたるまでの卵によるサルモネラ感染症は、卵の外側がサルモネラに感染したニワトリや動物の糞によって汚染しているのが原因と考えられていました。しかし、アメリカ合衆国では、1970年代に卵を清潔にし観察を徹底することで、そのような卵によるサルモネラ感染症は、きわめてまれなことになっています。アメリカ合衆国における今日の卵によるサルモネラ感染症の大部分は、外見上、清潔で異常のない卵が原因で起こっています。 Salmonella enteritidis (S.E. :腸炎菌)が、症状もなくメスのニワトリの卵巣に感染し、卵の殻(から)が形成される前に卵を汚染してしまっているのです。アメリカ合衆国では、そのような卵の内部が汚染された卵は北東部で多く、北東部では一万個に一個の卵が内部が Salmonella enteritidis (S.E. :腸炎菌)によって汚染していると推計されています。そのような感染を起こしているメスのニワトリは少数であり、感染を起こしているメスのニワトリも産む卵の多くは正常な卵でときどき Salmonella enteritidis (S.E. :腸炎菌)によって汚染している卵を産むのだと考えられています。

 健康な大人やこどもも卵によるサルモネラ感染症になります。しかし、重症になりやすいのは、老人・乳幼児・免疫が弱まった人々です。これらの人々では、サルモネラのごく少数の菌を摂取しただけで重症のサルモネラ感染症になる可能性があります。アメリカ合衆国では、 Salmonella enteritidis (S.E. :腸炎菌)が原因のサルモネラ感染症による死亡の大部分は、介護施設の老人たちです。多くの卵の中の一つだけが Salmonella enteritidis (S.E. :腸炎菌)によって汚染している場合でも、多くの卵を割ってまとめて一つの容器に入れておくと被害を受ける人の数は多くなることになります。しかし、卵をよく加熱することでサルモネラを殺すことができます。卵はよく加熱してから食べましょう。

 アメリカ合衆国では、小さなカメから感染したと考えられるサルモネラ感染症の死亡例が報告されています(参考文献2)。

 2007年2月20日、前日から哺乳が低下し意識状態も悪化した生後3週間の女児がフロリダ州のある病院の救急部に搬入されました。女児は直ちに三次救急の小児科病院に転送されました。女児は発熱し敗血症によるショック状態でした。抗生物質等による治療が行われましたが、女児は3月1日に亡くなりました。女児の脳脊髄液と血液からは、 Salmonella Pomona というサルモネラが分離されました。

 フロリダ州衛生局が、女児の両親から話を聞きました。2006年11月中旬、フロリダ州北中央部の古物市場で、両親の友人が甲羅(こうら)の長さが1.25インチ(3.18cm)の小さなカメをペットとして購入しました。この友人が、この小さなカメを2007年1月下旬に両親にペットとして贈りました。フロリダ州衛生研究所の検査では、この小さなカメの便から、 Salmonella Pomona が分離されました。分離された Salmonella Pomona については、女児から分離されたものも、小さなカメから分離されたものも、PFGE(パルスフィールド電気泳動)法で調べたところ、同一の菌株と考えられました。PFGE法は、遺伝子型の違いを見る検査で、同一の菌株かどうか推定するために行われます。

 アメリカ合衆国では、ヘビから感染したと考えられるサルモネラ感染症の症例も報告されています(参考文献4)。

 2001年12月、前日から血液の混じった下痢と発熱が見られた生後3ヶ月の乳児がカリフォルニア州のある病院の救急部に搬入されました。乳児は帰宅し二日間で軽快しました。乳児の便からは、 Salmonella Nima というサルモネラが分離されました。乳児の家には爬虫類は居ませんでしたが、乳児の父親は学校の生物学の教師で、教室で大蛇を自分の肩によく掛けていました。大蛇の便から Salmonella Nima が分離されました。父親は大蛇を扱った後、手をよく洗っていましたが、家に帰って乳児を抱きしめる前に着替えていませんでした。父親の服を介しての大蛇から乳児への感染が考えられました。

 アメリカ合衆国では、イグアナから感染したと考えられるサルモネラ感染症の症例も報告されています(参考文献4)。

 2002年6月、血液の混じった下痢と発熱、腹痛が見られた生後21ヶ月の幼児がコネチカット州のある病院に入院しました。幼児は翌日に退院しました。幼児の血液と便からは、 Salmonella Poona というサルモネラが分離されました。幼児の6歳の兄も血液の混じった下痢と発熱があり、便から、 Salmonella Poona が分離されました。兄弟の家では約一ヶ月前にイグアナを購入していました。発病の二日前に兄弟はイグアナの檻を掃除しイグアナに触っていました。イグアナの便から、 Salmonella Poona が分離されました。分離された Salmonella Poona については、兄弟から分離されたものも、イグアナから分離されたものも、PFGE(パルスフィールド電気泳動)法で調べたところ、同一の菌株と考えられました。PFGE法は、遺伝子型の違いを見る検査で、同一の菌株かどうか推定するために行われます。

 アメリカ合衆国では、家きん(にわとり、あひる、七面鳥、が鳥等)から感染したと考えられるサルモネラ感染症の症例も報告されています(参考文献6)。

 アメリカ合衆国では、2011年夏、サルモネラの二つの菌株による感染症の多発がありました。2011年2月25日から10月10日までで、 Salmonella Altonaで68例、 Salmonella Johannesburgで28例の多発が24州で認められました。これらの患者の内、 Salmonella Altonaで32%、Salmonella Johannesburgで75%が、5歳以下でした。また、 Salmonella Altonaで74%、Salmonella Johannesburgで71%が、発病の前の週に生きている家きんとの接触がありました。その大部分は、患者あるいは患者の親が、ペットとして、あるいは家の裏庭で飼うために、ひよこや、あひるの子などの家きんを購入したものでした。購入場所は、ある農産飼料店チェーンに属する多くの店で、仕入先はオハイオ州の郵便申込のふ卵所でした。アメリカ合衆国では、年間5千万羽のひよこが販売されています。1990年以来、郵便申込のふ卵所から出荷された生きている家きんとの接触で、約35件のサルモネラ感染症の集団発生が報告されています。

 アメリカ合衆国や英国では、爬虫類(はちゅうるい:カメ、ヘビ、イグアナ、トカゲ等)や両生類(カエル、イモリ、サンショウウオ等)などの動物のえさ用にネズミが販売されています。2009年に英国で、2010年にアメリカ合衆国で、Salmonella I 4,[5],12:i:-というサルモネラの株による人間のサルモネラ感染症の多発が起こりました。英国での調査では、えさ用冷凍ネズミをえさとしているヘビと接触している者が患者には多かったです。アメリカ合衆国のある業者のえさ用冷凍ネズミのこのサルモネラの株による汚染が原因と考えられ、商品回収(リコール)が行われました(参考文献7)。

 2012年、アメリカ合衆国では、ペットのハリネズミ(hedgehog)から感染したと考えられるサルモネラ感染症の症例の報告が増えています(参考文献8)。2012年1月から2013年1月まででは、Salmonella typhimurium(ネズミチフス菌)の多発株について、20人の患者から分離されています。20人の患者は8州から報告されていて、患者発生が7人と多いワシントン州で、1人が死亡しています。患者の年齢は1-91歳で中位数は13歳です。患者の55%は女性です。15人の患者(あるいは近親者)の内、14人がサルモネラ感染症発病の前の週に、患者とハリネズミとの間に直接あるいは間接の接触があったことを報告しています。ハリネズミの仕入先は数州の様々なハリネズミ飼養家でした。ハリネズミとの接触後には、直後に最低でも20秒間、石けんと水とで手を洗うことをCDC(米国疾病管理センター)は勧告しています。

 2012年8月23日、アメリカ合衆国CDC(疾病管理センター)は、PFGE法で同一の菌株と考えられるSalmonella Bredeneyによる14人の感染の多発を感知しました。ここで見られたPFGE(パルスフィールド電気泳動)法での型は珍しく、年間で5-8例しかCDCに報告されません。2012年以前ではアメリカ合衆国でのSalmonella Bredeneyという血清型による感染多発は一例しか文献での記述はありません。2012年6月11日から2012年11月8日までに20州から41人のSalmonella Bredeneyによる感染を認めました。年齢は1歳から79歳までで中位数は6歳でした。10歳未満が63%でした。死亡は報告されていません。32人の患者から情報を得ましたが、25人(78%)がSunland社製造のTrader Joe印のバレンシアピーナツバター製品を食べていました。三人の別々の患者の家から回収された開封済みのTrader Joe印の塩入クリーミーバレンシアピーナツバターからSalmonella Bredeneyの多発株が分離されました。2012年9月17日から、製品を製造したニューメキシコ州のSunland社にアメリカ合衆国FDA(食品医薬品局)が立ち入りました。ナッツバター生産工場でSalmonella Bredeneyの多発株が分離されました。2012年9月24日から、ナッツバター生産工場の製品についてSunland社は商品回収を始めました(参考文献9)。

予防のためには・・・

 サルモネラ感染症(サルモネラ症)を予防するワクチン(予防接種)はありません。

 動物由来の食物は、サルモネラに汚染していることがあるので、生や加熱不充分な卵・鶏肉・肉などを食べないようにしましょう。生の卵が入っていても、そうとは気づきにくい食物がありますので、注意が必要です。シーザー・サラダなどの自家製サラダ・ドレッシング、自家製アイスクリーム、自家製マヨネーズ、ティラミス、生焼きのクッキーなどです。鶏肉や肉、ハンバーガーの肉は、肉の中がピンク色でなくなるまで良く焼きましょう。生の牛乳を飲むのは控えましょう。農作物は食べる前に良く洗いましょう。特に、乳幼児、老人、免疫が弱まった人の食事を準備する際にはよく注意しましょう。

 特に、サルモネラによる食中毒を予防するための家庭での卵の取り扱い方については、「家庭における卵の衛生的な取扱いについて」をご覧ください(下線部をクリックしてください)

 生の鶏肉や肉・卵を扱いながら、乳幼児に食事をあたえたりオシメを替えたりすることは、控えましょう。

 卵・鶏肉・肉は冷蔵しましょう。冷蔵することによりサルモネラの増殖するスピード(速度)を抑えることができます。

 汚い卵・割れた卵は、食べずに捨てましょう。

 食堂やレストランで、加熱が不充分な鶏肉・肉・卵が出されたら、もっと充分に加熱してもらってから食べましょう。

 食品から食品へと病原体を移してしまうことは避けましょう。まだ加熱していない肉は、野菜や調理済の食品、後は食べるばかりの食品とは、別にしましょう。加熱していない食物を扱った後は、手・まな板・包丁などは、よく洗いましょう。違った食物を扱うときには、そのたびに手をよく洗いましょう。

 サルモネラ( Salmonella )が体内から消えるまで、サルモネラ( Salmonella )に感染している人は、食事を準備したり給仕したりすることは、控えましょう。

 動物の糞に触れた後は、手をよく洗いましょう。爬虫類や両生類はとくにサルモネラ( Salmonella )をよく持っているので、爬虫類や両生類に触れた後は、すぐに手を洗いましょう。爬虫類や両生類は、小さな子供たちにとって、不適切なペットです。乳幼児がいる家の中で、爬虫類や両生類を飼うことは控えましょう。アメリカ合衆国では、1970年代初めに小さなペットのカメがこどもたちのサルモネラ感染症の主たる感染源となったことがあり、1975年から、科学研究・教育を目的とする場合を除き、小さなペットのカメ(甲羅の長さが4インチ[10.2cm]未満)の販売や配布が禁止されています。
 しかしながら、小さなペットのカメ(甲羅の長さが4インチ[10.2cm]未満)の販売や配布が禁止されて30年以上経った2011年でも、アメリカ合衆国では、小さなペットのカメが原因と思われるサルモネラ感染症の多発が報告されています(参考文献5)。
 Salmonella enterica 血清型 paratyphi B var. L (+) tartrate + というサルモネラの株による人間の感染症について、アメリカ合衆国では、2010年8月5日から2011年9月26日までに、18州から132人の患者発生が報告されています。年齢は、0-75歳で中位数は6歳でした。66%が10歳未満でした。63%が女性でした。死亡した患者はいませんでした。56人の患者に面接調査したところ、36人(64%)にカメとの接触歴がありました。接触したカメの種類を覚えていた15人の患者中、14人の患者の接触したカメは甲羅の長さが4インチ[10.2cm]未満でした。患者の家のカメの水槽の水から採取した5検体について、多発が見られたサルモネラの株が検出されました。サルモネラ感染症の多発の原因となったと思われるカメの出所は、カメの売り手がすぐに移動してしまう行商人であり、よくわかりませんでした。アメリカ合衆国では、不法に販売された小さなカメが、小さなこどもたちにおもちゃのように扱われ、サルモネラ感染症を引き起こすことがあります。 

 生きている家きん(にわとり、あひる、七面鳥、が鳥等)との接触によりサルモネラに感染する可能性があります。家きんがサルモネラを持っていても、元気であり、見た目では分かりません。ひよこや、あひるの子などの小さな家きんは、かわいくて、思わず手で触れがちですが、家きんに接触したら、直後に水と石けんで20秒以上かけて手をよく洗いましょう。5歳未満のこどもを家きんに近づけないようにしましょう。こどもが手をきちんと洗うのを大人は見届けましょう。

 ネズミ・ハエ・ゴキブリは駆除しましょう。

参考文献

  1. Andrew C. Voetsch, Thomas J. Van Gilder, Frederick J. Angulo, et al. ; FoodNet Estimate of the Burden of Illness Caused by Nontyphoidal Salmonella Infections in the United States. ; Clinical Infectious Diseases(CID) 2004; 38 (Suppl 3); S127-134.
  2. CDC; Turtle-Associated Salmonellosis in Humans --- United States, 2006-2007.; MMWR, July 6, 2007, Vol. 56, No. 26, p. 649-652.
  3. Jonathan Mermin, Lori Hutwagner, Duc Vugia, et al. ; Reptiles, Amphibians, and Human Salmonella Infection: A Population-Based, Case-Control Study. ; Clinical Infectious Diseases(CID) 2004; 38 (Suppl 3); S253-261.
  4. CDC; Reptile-Associated Salmonellosis --- United States, 1998-2002.; MMWR, December 12, 2003, Vol. 52, No. 49, p. 1206-1209.
  5. CDC; Outbreak of Salmonellosis Associated with Pet Turtle Exposures --- United States, 2011.; MMWR, February 3, 2012, Vol. 61, No. 4, p. 79.
  6. CDC; Multistate Outbreak of Salmonella Altona and Johannesburg Infections Linked to Chicks and Ducklings from a Mail-Order Hatchery --- United States, February-October 2011.; MMWR, March 23, 2012, Vol. 61, No. 11, p. 195.
  7. CDC; Notes from the Field: Infections with Salmonella I 4,[5],12:i:- Linked to Exposure to Feeder Rodents --- United States, August 2011-February 2012.; MMWR, April 20, 2012, Vol. 61, No. 15, p. 277.
  8. CDC; Notes from the Field: Multistate Outbreak of Human Salmonella Typhimurium Infections Linked to Contact with Pet Hedgehogs --- United States, 2011-2013.; MMWR, February 1, 2013, Vol. 62, No. 4, p. 73.
  9. CDC; Notes from the Field: Salmonella Bredeney Infections Linked to a Brand of Peanut Butter --- United States, 2012.; MMWR, February 15, 2013, Vol. 62, No. 6, p. 107.

2001年8月20日初掲載
2006年9月15日増補
2007年7月17日改訂増補
2012年3月14日改訂増補
2012年3月28日増補
2012年5月2日増補
2013年2月1日増補
2013年2月19日増補

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