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大人のカゼの2分の1から3分の1は、ライノウイルスが原因だとされています。このため欧米では、ライノウイルスのことを(鼻)カゼウイルス( common cold virus )と一般では呼ぶ場合もあります。ライノウイルスによるカゼは、一年中見られますが、特に春と秋に多く見られます。RSウイルスやインフルエンザウイルスが暴れまわる冬には比較的少ないです。
ライノウイルスは、鼻、のどといった上気道の炎症をおこします。ライノウイルスは33度でしか増殖しないとされ、そのため通常ライノウイルスによる炎症は上気道に限局されます。潜伏期は短く1-3日です。頭痛・のどの痛み、鼻詰まり、くしゃみが起こります。水のような鼻水が出始めますが、次第にそれは濃いねばっこい黄色あるいは緑色のものへと変化し、量も少なくなります。通常、発熱はありません。軽い咳が少し遅れて出始め2週間近く続くこともあります。通常、1-2週間以内に軽快します。獲得される免疫は、感染したライノウイルスの血清型に特異的なもので、他のライノウイルスの血清型による感染防止にはあまり役立ちません。ライノウイルスの血清型は百以上、おそらく数百種類あるだろうとされています。そのため、ライノウイルスによるカゼをすべて防ぐためのワクチンを作ることは絶望的です。
ライノウイルスを特異的にやっつけるような治療薬(特効薬)はありません。治療としては、症状を和らげる薬を症状に応じて使います。カゼでは、一時的に気道の粘膜がいたんだ状態になり、そのため、二次的に病原体(特に細菌)による感染を起こしやすくなり、気管支炎、肺炎、副鼻腔炎などになることがあります。。そのような場合には、抗生物質がつかわれることがあります。
ライノウイルスは、ピコルナウイルス( Picornavirus=pico[スペイン語で、小さい] rna[RNA] virus[ウイルス])科に属します。ピコルナウイルス科には、5つの属がありますが、ヒトに感染症を起こすウイルスは、エンテロウイルス属、ライノウイルス属、ヘパトウイルス属(A型肝炎ウイルス。以前エンテロウイルス72型とされたが、現在はエンテロウイルス属から独立して一つの属を形成している。)に限られます。エンテロウイルス属、ヘパトウイルス属が胃酸のような酸に強く消化管から感染するのに対し、ライノウイルス属は酸に弱く、上気道から感染します。
ライノウイルス( rhinovirus )は、ライノ( rhino )とウイルス( virus )がくっついた言葉です。ライノ( rhino )は、ギリシア語で「鼻」の意味のrhinに由来します。
鼻カゼ症状の最初の二日間に他の人を感染させる可能性が強いです。患者の咳によって生じた飛沫を吸い込んで感染したり、患者の鼻水中のウイルスが付着したものに触れた手で自分の鼻の中、口の中、眼に触れて感染します。手をよく洗うことが予防のために有効です。
2001年2月6日掲載