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オウム病について

流行は?

 1996年以降、アメリカ合衆国では、オウム病(Psittacosis,Ornithosis, Parrot fever)の患者発生報告数は、毎年、50人未満です。しかし、実際のアメリカ合衆国におけるオウム病の患者の発生数は、もっと多いと考えられています。報告されない場合や正しく診断されていない場合がかなりあると考えられています。
 日本では、オウム病は、感染症法で4類感染症 [pdf:420KB] に定められています。診断した医師は、ただちに保健所(横浜市では福祉保健センター)に届け出なければなりません。1999年4月の感染症法の施行以後、日本国内の患者全数が把握されるようになりました。国立感染症研究所によれば、日本のオウム病患者発生報告数は1999年(4-12月)23人、2000年18人、2001年35人、2002年54人、2003年44人、2004年39人でした(文献3)。2002年の発生報告数が多いですが、この年の初めには島根県松江市の鳥展示施設での集団発生が見られました。来園者12人、職員3人、実習生2人の計17人が報告されています。集団発生としては、2001年の動物公園での集団発生(5人)も知られています。この動物公園での集団発生は、当初、ブルセラ症が疑われて報道されましたが、最終的にはオウム病と判明したものです。当・横浜市衛生研究所ホームページ「ブルセラ症について」をご覧ください(下線部をクリックしてください)。

どんな病気?

 人では、まず、発熱、悪寒、頭痛、筋肉痛、及び痰の少ない乾いた咳を起こします。しばしば、胸部X線撮影で肺炎(非定型肺炎)が明らかになります。心内膜炎、心筋炎、関節炎、角結膜炎、肝炎や、無気力・食欲不振・脳炎などの神経の異常などが合併することがあります。呼吸困難、重症の肺炎となり、集中的な治療が必要となる場合もあります。老人・妊婦などで死亡例もあります。抗菌剤がない時代には、患者の致死率は15-20%ありましたが、現在においては、適切な治療がなされれば、患者の致死率は1%未満であると考えられています。
 病原体の Chlamydia psittaci (クラミジア-シッタシ)という細菌に感染している鳥の乾燥した分泌物・排泄物などを吸いこむことにより、人が感染することがあります。口などの粘膜を介しての、感染している鳥との直接の接触により、人が感染する可能性があります。また、感染している鳥に噛まれて人が感染する可能性もあります。潜伏期間は、5-19日です。すべての鳥は、このChlamydia psittaci (クラミジア-シッタシ)という細菌に感染する可能性があります。感染している鳥は間欠的にChlamydia psittaci (クラミジア-シッタシ)という細菌を排出することもありますし、ときとして数週間から数ヶ月間持続的に排出することもあります。感染している鳥は、しばしば無症状です。普段は無症状であっても病原体を持っていて、船旅や混雑などのストレスで発病し病原体を排出するような場合もあります。人への感染は、主に、家の中で飼うオウム・インコなどのペットの鳥、アヒル・ニワトリ・七面鳥などの家禽類やハトなどによると考えられます。従って、鳥を飼っている人、鳥を扱うペット-ショップの従業員、獣医などが感染しやすいです。家禽類の食肉処理工場でオウム病の患者が集団発生したことがあります。哺乳類の家畜もオウム病に感染するので、哺乳類の家畜との接触で人が感染する可能性もあります。人から人への感染はまれです。しかし、咳がひどく未治療の場合などには病原体を含んだ飛沫・痰等による周囲の人の感染の可能性も否定できませんので、注意が必要です。
 治療には、テトラサイクリンやドキシサイクリンなどの抗生物質が使われます。9歳未満のこどもや妊婦にはエリスロマイシンが使われることがあります。再悪化を防ぐため、熱が下がってからも少なくとも10-14日間は抗生物質療法を続けるべきだとされています。
 なお、妊婦がChlamydia psittaci (クラミジア-シッタシ)という細菌に感染して、妊婦オウム病(gestational psittacosis)となることがあります。非定形肺炎、肝炎、敗血症、胎盤不全を起こし、早産・流産・胎児死等を起こすことがあります。この妊婦オウム病には、鳥から感染した例があります。また、イギリスなどでは、感染したヒツジやヤギなどの家畜の哺乳動物の出産時の羊水や胎盤により感染した例があります。このような哺乳動物では、Chlamydia psittaci (クラミジア-シッタシ)という細菌は生殖器官に生息していて、性行為や病原体に汚染されたものを食べることによって感染し、流産・早産の原因となります。病原体のChlamydia psittaci (クラミジア-シッタシ)という細菌に感染している動物や鳥との親密な接触は、妊婦は避けるべきです。オウム病は、健康な妊娠・出産のために注意したい感染症の一つです。なお、Q熱ブルセラ症の場合も感染した動物の出産時の羊水や胎盤により人に感染して発熱を起こしますが、妊婦に対して直接の流産・早産の原因とはならないとされています。
 Chlamydia psittaci (クラミジア-シッタシ)という細菌には、ネコに角結膜炎や鼻炎を起こす株もあります。しかし、この株が人に感染することは、まれだとされています。
 Chlamydia psittaci (クラミジア-シッタシ)という細菌は、鳥に鳥クラミジア症(avian chlamydiosis : AC)を起こします。鳥が、Chlamydia psittaci (クラミジア-シッタシ)に接触してから発病するまでの期間(潜伏期間)は、3日から数週間とされています。しかし、明らかな症状は何年もたってから見られることがあります。症状としては、無気力・食欲不振・体重減少・羽のけばだち・鼻や目からの分泌物・下痢等ですが、感染していても症状が見られない場合が多いです。感染が心配される鳥がいる場合には獣医に相談しましょう。鳥の鳥クラミジア症(avian chlamydiosis : AC)の治療には、クロルテトラサイクリンなどの抗生物質が使われます。
 感染症法に基づき1999年4月から2004年第53週までに報告されたオウム病213例について国立感染症研究所がまとめています(文献3)。推定感染源として、「動物等からの感染あり」とされたものが190例でした。この190例について、鳥類90%、ヘラジカ3%、不明7%でした。インコ(セキセイインコ、オカメインコ、コザクラインコ、ルリコシボタンインコを含む)単独54%、ハト単独10%、オウム単独3%でした。併記されている場合も含めるとインコ59%、ハト12%、オウム6%でした。インコ、ハト、オウム以外の鳥類は15%でした。
 オウムやオウムに類する鳥以外の鳥類でも感染源となる可能性があるため、オウム病には、鳥類病(ornithosis)という呼称もあります。ギリシア語で鳥を意味するornisにornithosis は由来します。
 3週間の家禽処理工場監督訓練コースに参加した獣医46人中15人が鳥類病(ornithosis)となった集団発生が1980年に英国でありました(文献4)。訓練コースには、七面鳥処理工場やニワトリ処理工場等も含まれていましたがアヒル処理工場で感染したと考えられました。アヒル処理工場を訪問した獣医における発病率は44%(15/34)でした。アヒルの羽については、摂氏70度以上で短くとも20分加熱処理することでクラミジアを不活化できると考えられました。

病原体は?

 病原体は、Chlamydia psittaci (クラミジア-シッタシ)という細菌です。オウム病クラミジアとも呼ばれます(文献3)。Chlamydia psittaci (クラミジア-シッタシ)は、酸・アルカリ・乾燥に強く、体外でも数ヶ月間は感染力があるとされています。1%の次亜塩素酸ナトリウム(:30分間以上の接触時間が必要です。)や70%エタノールなどによる消毒が有効です。

 ギリシア語で、オウム(parrot)のことをpsittakosといいます。英語での病名のPsittacosisも、病原体の名前のChlamydia psittaci もこのpsittakosに由来します。

予防のためには・・・

 感染している鳥をテトラサイクリンで治療することは、人のオウム病の予防につながります。感染が心配される鳥がいる場合には獣医に相談しましょう。

参考文献

  1. Daniel M. Jorgensen.: Gestational Psittacosis in a Montana Sheep Rancher. :Emerging Infectious Diseases, Vol.3 No.2, April-June 1997. CDC. : URL:http://www.cdc.gov/ncidod/EID/vol3no2/jorgen.htm
  2. Compendium of Measures To Control Chlamydia psittaci Infection Among Humans (Psittacosis) and Pet Birds(Avian Chlamydiosis), 2000. :MMWR. Recommendations and Reports. July 14,2000/Vol.49/No.RR-8. CDC. : p.1-18.
  3. 速報「オウム病」;感染症週報:2005年第5週(1月31日-2月6日)、通巻第7巻第5号、厚生労働省/国立感染症研究所、p.8-10.
  4. S. R. Palmer, B. E. Andrews, and R. Major ;A COMMON-SOURCE OUTBREAK OF ORNITHOSIS IN VETERINARY SURGEONS; THE LANCET, OCTOBER 10, 1981, 2(8250):p.798-799.

2002年1月25日初掲載
2005年3月11日増補改訂

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横浜市衛生研究所 感染症・疫学情報課 - 2008年4月1日作成
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