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フィリピンのこどもの定期予防接種について

こどもの定期予防接種のフィリピンと日本との違いについて

 本稿では、フィリピン(比律賓)のこどもの定期予防接種について触れます。まず、フィリピンのこどもの定期予防接種と日本のこどもの定期予防接種との違いを見てみましょう。

 日比両国で定期予防接種として実施している予防接種もありますが、一方の国でしか定期予防接種として実施していない予防接種もあります。表にまとめると、下の表1のとおりです。

表1. こどもの定期予防接種のフィリピンと日本との違い
  フィリピンのこどもの定期予防接種
実施 実施せず
日本のこどもの定期予防接種 実施 ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib)感染症
結核(BCG)、
ジフテリア・破傷風百日咳
ポリオ
麻疹風疹
肺炎球菌感染症
日本脳炎
B型肝炎、
水痘
ヒトパピローマウイルス16型・18型による子宮頸部癌、外陰癌、膣癌、肛門癌および
6型・11型による尖圭コンジローマ
(*)
該当なし
実施せず 流行性耳下腺炎(ムンプス)
ロタウイルスによる感染性胃腸炎
A型肝炎
インフルエンザ
髄膜炎菌感染症
デング熱・デング出血熱
*: HPVワクチンについては、日本、フィリピンとも女子のみ対象です。

 こどもの定期予防接種として、フィリピンで実施されず日本で実施されているものとしては、特にありません。反対に、こどもの定期予防接種として、日本で実施されずフィリピンで実施されているものとしては、流行性耳下腺炎(ムンプス)A型肝炎インフルエンザロタウイルスによる感染性胃腸炎があります。デング熱・デング出血熱については、2017年から9-18歳で4価デングウイルスワクチン(1,2,3,4型)(Den)が0-6-12ヶ月の3回接種されるようになりましたが、2018年から4価デングウイルスワクチン(1,2,3,4型)(Den)は接種スケジュールから外されました。

 多数のワクチンを混合したワクチン製剤がフィリピンでは見られます。たとえば、ジフテリア・破傷風・百日咳のワクチン(DTwP)、B型肝炎ワクチン(HepB)、ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib)のワクチン(Hib)を混合したワクチン(DTwP-HepB-Hib)があります。三つのワクチンが混合されたワクチンがあれば、個々のワクチンではそれぞれ1回ずつだと3回の接種が必要なところ、三つのワクチンが混合されたワクチンでは1回の接種で済むことになります。接種回数が少なくなれば、こどもが注射で痛い思いをする回数も少なくなります。また、接種スケジュールの設定も容易になります。

 日本でも混合ワクチンが使われてきました。ジフテリア・破傷風・百日咳の三種混合ワクチン(DTaP)、麻疹・風疹のMRワクチンなどです。ポリオの不活化ワクチン(IPV)についても、ジフテリア・破傷風・百日咳・ポリオの、四種混合ワクチン(DTaP/IPV)が2012年11月から日本でも新たに使われるようになりました。

フィリピンのこどもの定期予防接種スケジュールについて

 フィリピンのこどもの定期予防接種の標準的なスケジュール(2018年)は、下の表2-1のとおりです。2017年から9-18歳で4価デングウイルスワクチン(1,2,3,4型)(Den)が0-6-12ヶ月の3回接種されるようになりましたが、2018年から4価デングウイルスワクチン(1,2,3,4型)(Den)は接種スケジュールから外されました。
 なお、ワクチンではなく、下の表2-1にも含まれていませんが、この他、ビタミンAが、乳幼児のビタミンA欠乏症対策としてワクチンに準じて乳幼児に投与されることがあります。

表2-1. フィリピンのこどもの定期予防接種の標準的なスケジュール(2018年)
接種時期 予防する感染症 接種するワクチン(英字略語表記等)
出生時 B型肝炎 HepB(1回目:出生から12時間以内に接種。HBs抗原陽性の母から生まれた児にはB型肝炎免疫グロブリン[HBIG]も出生から12時間以内に投与)
結核 BCG(1回接種:生後2ヶ月以内にできるだけ早く接種)
生後6週 ジフテリア・破傷風百日咳 DTwP(1回目)*
B型肝炎 HepB(2回目)*
ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib) Hib(1回目)*
ポリオ生ワクチン OPV(1回目)
肺炎球菌結合型ワクチン PCV(1回目)
ロタウイルスワクチン RV(1回目)
生後10週 ジフテリア・破傷風百日咳 DTwP(2回目)*
B型肝炎 HepB(3回目)*
ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib) Hib(2回目)*
ポリオ生ワクチン OPV(2回目)
肺炎球菌結合型ワクチン PCV(2回目)
ロタウイルスワクチン RV(2回目)
生後14週 ジフテリア・破傷風百日咳 DTwP(3回目)*
B型肝炎 HepB(4回目)*
ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib) Hib(3回目)*
ポリオ生ワクチン OPV(3回目)
ポリオ不活化ワクチン IPV(1回目)
肺炎球菌結合型ワクチン PCV(3回目)
ロタウイルスワクチン RV(3回目:製剤によっては不要)
生後6ヶ月〜18歳 インフルエンザ IIV(8歳までで初年度は1ヶ月以上の間隔で2回、次年度からは毎冬1回接種)
生後9ヶ月 麻疹 Measles(1回接種:衛生当局により宣言された麻疹流行時には生後6ヶ月から接種される場合もあります。MMRワクチンでも代用が可能です)
生後9ヶ月〜17歳 日本脳炎 JEV(12-24ヶ月の間隔で2回接種)
生後12-15ヶ月 麻疹流行性耳下腺炎(ムンプス)風疹 MMR(1回目)****
水痘 Var(1回目)****
肺炎球菌結合型ワクチン PCV(4回目)
生後12-18ヶ月 ジフテリア・破傷風百日咳 DTaP(1回目)**
ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib) Hib(4回目)**
ポリオ不活化ワクチン IPV (2回目)**
生後12ヶ月〜2歳 A型肝炎 HepA(6ヶ月以上の間隔で2回接種)
4-6歳 麻疹流行性耳下腺炎(ムンプス)風疹 MMR(2回目)****
4-6歳 水痘 Var(2回目)****
4-6歳 ジフテリア・破傷風百日咳 DTaP(2回目:後は10年毎にTdapあるいはTdの一回接種繰り返し)***
ポリオ不活化ワクチン IPV (3回目)***
9-10歳(女子のみ) ヒトパピローマウイルス
16型・18型による子宮頸部癌、外陰癌、膣癌、肛門癌および
6型・11型による尖圭コンジローマ
HPV4(1回目:女子のみ対象)
HPV4(2回目:1回目の6ヶ月後)
妊婦 ジフテリア・破傷風百日咳(減量) Tdap(妊娠27-36週に1回接種)
生活困窮の60歳以上の市民 インフルエンザ IIV(毎年1回接種)
23価肺炎球菌ポリサッカライドワクチン PPV23(1回接種)
*:フィリピンでは、DTwP-HepB-Hibという5種混合ワクチンで接種されることがあります。
**:フィリピンでは、DTaP-IPV-Hibという5種混合ワクチンで接種されることがあります。
***:フィリピンでは、DTaP-IPVという4種混合ワクチンで接種されることがあります。
****:フィリピンでは、MMRVという4種混合ワクチンで接種されることがあります。

 フィリピンのこどもの定期予防接種の標準的なスケジュール(2017年)は、下の表2-2のとおりでした。2017年から、9-18歳で、4価デングウイルスワクチン(1,2,3,4型)(Den)が0-6-12ヶ月の3回接種されるようになりました。
 なお、ワクチンではなく、下の表2-2にも含まれていませんが、この他、ビタミンAが、乳幼児のビタミンA欠乏症対策としてワクチンに準じて乳幼児に投与されることがあります。

表2-2. フィリピンのこどもの定期予防接種の標準的なスケジュール(2017年)
接種時期 予防する感染症 接種するワクチン(英字略語表記等)
出生時 B型肝炎 HepB(1回目:出生から12時間以内に接種。HBs抗原陽性の母から生まれた児にはB型肝炎免疫グロブリン[HBIG]も出生から12時間以内に投与)
結核 BCG(1回接種:生後2ヶ月以内にできるだけ早く接種)
生後6週 ジフテリア・破傷風百日咳 DTwP(1回目)*
B型肝炎 HepB(2回目)*
ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib) Hib(1回目)*
ポリオ生ワクチン OPV(1回目)
肺炎球菌結合型ワクチン PCV(1回目)
ロタウイルスワクチン RV(1回目)
生後10週 ジフテリア・破傷風百日咳 DTwP(2回目)*
B型肝炎 HepB(3回目)*
ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib) Hib(2回目)*
ポリオ生ワクチン OPV(2回目)
肺炎球菌結合型ワクチン PCV(2回目)
ロタウイルスワクチン RV(2回目)
生後14週 ジフテリア・破傷風百日咳 DTwP(3回目)*
B型肝炎 HepB(4回目)*
ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib) Hib(3回目)*
ポリオ生ワクチン OPV(3回目)
ポリオ不活化ワクチン IPV(1回目)
肺炎球菌結合型ワクチン PCV(3回目)
ロタウイルスワクチン RV(3回目:製剤によっては不要)
生後6ヶ月〜18歳 インフルエンザ IIV(8歳までで初年度は1ヶ月以上の間隔で2回、次年度からは毎冬1回接種)
生後9ヶ月 麻疹 Measles(1回接種:衛生当局により宣言された麻疹流行時には生後6ヶ月から接種される場合もあります。MMRワクチンでも代用が可能です)
生後9ヶ月〜17歳 日本脳炎 JEV(12-24ヶ月の間隔で2回接種)
生後12-15ヶ月 麻疹流行性耳下腺炎(ムンプス)風疹 MMR(1回目)
水痘 Var(1回目)
肺炎球菌結合型ワクチン PCV(4回目)
生後12-18ヶ月 ジフテリア・破傷風百日咳 DTaP(1回目)**
ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib) Hib(4回目)**
ポリオ不活化ワクチン IPV (2回目)**
生後12ヶ月〜2歳 A型肝炎 HepA(6ヶ月以上の間隔で2回接種)
4-6歳 麻疹流行性耳下腺炎(ムンプス)風疹 MMR(2回目)
4-6歳 水痘 Var(2回目)
4-6歳 ジフテリア・破傷風百日咳 DTaP(2回目:後は10年毎にTdapあるいはTdの一回接種繰り返し)***
ポリオ不活化ワクチン IPV (3回目)***
9-10歳(女子のみ) ヒトパピローマウイルス
16型・18型による子宮頸部癌、外陰癌、膣癌、肛門癌および
6型・11型による尖圭コンジローマ
HPV4(1回目:指定地域[20県]の女子のみ対象)
HPV4(2回目:1回目の6ヶ月後)
9-18歳 4価デングウイルスワクチン(1,2,3,4型) Den(0-6-12ヶ月の3回接種)
妊婦 ジフテリア・破傷風百日咳(減量) Tdap(妊娠20週以後に1回接種)
生活困窮の60歳以上の市民 インフルエンザ IIV(毎年1回接種)
23価肺炎球菌ポリサッカライドワクチン PPV23(1回接種)
*:フィリピンでは、DTwP-HepB-Hibという5種混合ワクチンで接種されることがあります。
**:フィリピンでは、DTaP-IPV-Hibという5種混合ワクチンで接種されることがあります。
***:フィリピンでは、DTaP-IPVという4種混合ワクチンで接種されることがあります。

 複数のワクチン製剤を同じ日に接種する場合には、複数のワクチン製剤を同じ注射器に吸い上げて混合して用いるようなことをしては、いけません。それぞれのワクチン製剤を別々の注射器に吸い上げて、できるだけ離れた部位に接種します。たとえば、一方のワクチンを右腕に接種したら、もう一方のワクチンを左腕に接種するというように接種します。限られた部位に接種しなければならない場合でも、接種部位は2.5cm以上離します。複数のワクチン製剤を同じ日に接種する場合には、接種部位が区別できるように、それぞれの接種部位について、接種の記録に、より詳細な記述が必要です。

フィリピンにおけるワクチンの表記について

 フィリピンでは、タガログ語(フィリピン語)・英語が公用語となっています。フィリピンのこどもの定期予防接種のワクチン等のタガログ語(Tagalog)による表記については、下の表3、表4、表5のとおりです。日本語の表記も併記しました。

表3 フィリピンのこどもの定期予防接種のワクチン等(タガログ語・日本語対照表記)

表4 フィリピンのこどもの定期予防接種のワクチン等(タガログ語・日本語対照表記)

表5 フィリピンのこどもの任意予防接種のワクチン等(タガログ語・日本語対照表記)

参考文献

  1. WHO Vaccine Preventable Diseases Monitoring System: Immunization schedules by antigen.
     全世界の国々の予防接種スケジュール(WHO):(英語)。
  2. 欧州CDCVaccine schedule platform(欧州各国の定期予防接種スケジュール) :(英語).
  3. 予防接種のためのフィリピン財団(Philippine Foundation for Vaccination); フィリピンのこどもの定期予防接種スケジュール等
    フィリピンのこどもの定期予防接種スケジュール(2017年)(PDF版)
    フィリピンのこどもの定期予防接種スケジュール(2018年)(PDF版) :(英語).
  4. 世界保健機関(WHO)フィリピン代表事務所(Philippine Representative Office); 予防接種:(英語).
  5. フィリピン健康省(Department of Health, Philippine. :DOH); Expanded Program on Immunization:(英語).
  6. "Smart Parenting Philippines"ウェブサイト;
    フィリピンのこどもの定期予防接種スケジュール(2017年)
    フィリピンのこどもの定期予防接種スケジュール(2018年):(英語).
  7. PIDSP, PPS and PFV Committee on Immunization; Childhood Immunization Schedule 2016; PIDSP(PEDIATRIC INFECTIOUS DISEASE SOCIETY OF THE PHILIPPINES) Journal, July-December 2015 Vol.16 No.2, p. 46-49.:(英語).
  8. PIDSP, PPS and PFV Committee on Immunization; Childhood Immunization Schedule 2017; PIDSP(PEDIATRIC INFECTIOUS DISEASE SOCIETY OF THE PHILIPPINES) Journal, July-December 2016 Vol.17 No.2, p. 57-60.:(PDF版)(英語).
  9. Dengue vaccine: WHO position paper --- July 2016,WER(Weekly epidemiological record), 29 JULY 2016, 91th YEAR / No 30, p.349-364(PDF版).:(英語).:2018年9月に改定版が出される予定です。
  10. Global Advisory Committee on Vaccine Safety(GACVS), 6-7 June 2018,Weekly Epidemiological Record(WER), 20 July 2018, vol. 93, 29/30 (pp. 389-396).:(英語).:"Safety of dengue vaccine in the Philippines"(「フィリピンにおけるデングワクチンの安全性」)(pp. 391-393)の項目があります。
  11. WHO, Revised SAGE(Strategic Advisory Group of Experts on Immunization) recommendation on use of dengue vaccine, 19 April 2018.:(英語).
  12. Saranya Sridhar, Alexander Luedtke, Edith Langevin, Ming Zhu, Matthew Bonaparte, Tifany Machabert, Stephen Savarino, Betzana Zambrano, Annick Moureau, Alena Khromava, Zoe Moodie, Ted Westling, Cesar Mascarenas, Carina Frago, Margarita Cortes, Danaya Chansinghakul, Fernando Noriega, Alain Bouckenooghe, Josh Chen, Su-Peing Ng, Peter B. Gilbert, Sanjay Gurunathan, and Carlos A. DiazGranados, et al. Effect of Dengue Serostatus on Dengue Vaccine Safety and Efficacy. July 26, 2018, N Engl J Med 2018; 379:327-340.
     DOI: 10.1056/NEJMoa1800820. :(英語).
  13. Sanofi社: Dengvaxia(商品名): Protective value for people with at least one prior dengue infection confirmed; vaccinating people without prior infection not recommended, June 14, 2018.(Dengvaxia[商品名]: 少なくとも一回のデング感染が確定されている人々には防御効果があり、感染したことがない人々への接種は推奨されない)

2014年2月5日初掲載
2017年4月21日増補改訂
2018年8月7日増補改訂

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横浜市衛生研究所 感染症・疫学情報課 - 2014年2月5日作成
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