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ミャンマー(ビルマ)のこどもの定期予防接種について

こどもの定期予防接種のミャンマー(ビルマ)と日本との違いについて

 本稿では、ミャンマー連邦共和国(Republic of the Union of Myanmar)のこどもの定期予防接種について触れます。まず、ミャンマー(ビルマ)のこどもの定期予防接種と日本のこどもの定期予防接種との違いを見てみましょう。

 両国で定期予防接種として実施している予防接種もありますが、一方の国でしか定期予防接種として実施していない予防接種もあります。表にまとめると、下の表1のとおりです。

表1. こどもの定期予防接種のミャンマーと日本との違い
  ミャンマーのこどもの定期予防接種
実施 実施せず
日本のこどもの定期予防接種 実施 ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib)感染症
結核(BCG)、
ジフテリア・破傷風百日咳
ポリオ
麻疹
肺炎球菌感染症
風疹
日本脳炎
ヒトパピローマウイルス16型・18型による子宮頸部癌、外陰癌、膣癌、肛門癌および
6型・11型による尖圭コンジローマ
(*)
実施せず B型肝炎 流行性耳下腺炎(ムンプス)
髄膜炎菌感染症
ロタウイルスによる感染性胃腸炎
水痘
A型肝炎
インフルエンザ
腸チフス
コレラ
*: HPVワクチンについて、日本では女子のみ対象。

 こどもの定期予防接種として、ミャンマーで実施されず日本で実施されているものとしては、日本脳炎ヒトパピローマウイルス16型・18型による子宮頸部癌、外陰癌、膣癌、肛門癌および6型・11型による尖圭コンジローマがあります。反対に、こどもの定期予防接種として、日本で実施されずミャンマーで実施されているものとしては、B型肝炎があります。

 日本国外務省では、日本からのミャンマーへの赴任者に対して、A型肝炎、B型肝炎、破傷風の免疫の保持を勧めています(参考文献1)。また、ミャンマーでも地方に出張することが多い方には、さらに、狂犬病日本脳炎の免疫の保持も勧めています(参考文献1)。

 多数のワクチンを混合したワクチン製剤がミャンマーでは見られます。たとえば、ジフテリア・破傷風・百日咳のワクチン(DTwP)、B型肝炎のワクチン(HepB)、ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib)のワクチン(Hib)を混合したワクチン(DTwP-HepB-Hib)があります。2012年11月からミャンマーの定期予防接種に導入されました。このような三つのワクチンが混合されたワクチンがあれば、個々のワクチンではそれぞれ1回ずつだと3回の接種が必要なところ、三つのワクチンが混合されたワクチンでは1回の接種で済むことになります。接種回数が少なくなれば、こどもが注射で痛い思いをする回数も少なくなります。また、接種スケジュールの設定も容易になります。

 日本でも混合ワクチンが使われてきました。ジフテリア・破傷風・百日咳の三種混合ワクチン(DTaP)、麻疹・風疹のMRワクチンなどです。ポリオの不活化ワクチン(IPV)についても、ジフテリア・破傷風・百日咳・ポリオの、四種混合ワクチン(DTaP-IPV)が2012年11月から日本でも新たに使われるようになりました。

ミャンマー(ビルマ)のこどもの定期予防接種スケジュールについて

 ミャンマー(ビルマ)のこどもの定期予防接種の標準的なスケジュール(2016年)は、下の表2のとおりです。なお、ワクチンではなく、下の表2にも含まれていませんが、この他、ビタミンAが、乳幼児のビタミンA欠乏症対策としてワクチンに準じて乳幼児に投与されることがあります。

表2. ミャンマーのこどもの定期予防接種の標準的なスケジュール(2016年)
接種時期 予防する感染症 接種するワクチン(英字略語表記等)
出生時 結核 BCG(1回接種)
B型肝炎 HepB(1回目)*
生後2ヶ月 ジフテリア・破傷風百日咳 DTwP(1回目)*
B型肝炎 HepB(2回目)*
ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib) Hib(1回目)*
10価肺炎球菌結合型ワクチン PCV10(1回目)
ポリオ経口生ワクチン OPV(1回目)
生後4ヶ月 ジフテリア・破傷風百日咳 DTwP(2回目)*
B型肝炎 HepB(3回目)*
ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib) Hib(2回目)*
10価肺炎球菌結合型ワクチン PCV10(2回目)
ポリオ不活化ワクチン IPV(1回接種)
ポリオ経口生ワクチン OPV(2回目)
生後6ヶ月 ジフテリア・破傷風百日咳 DTwP(3回目)*
B型肝炎 HepB(4回目)*
ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib) Hib(3回目)*
10価肺炎球菌結合型ワクチン PCV10(3回目)
ポリオ経口生ワクチン OPV(3回目)
生後9ヶ月 麻疹風疹 MR(1回接種)
生後18ヶ月 麻疹 Measles(1回接種)
妊婦 破傷風トキソイド TT(4週間間隔で2回接種)
*:ミャンマーでは、DTwP-HepB-Hibという5種混合ワクチン(Penta)で接種されます。

 複数のワクチン製剤を同じ日に接種する場合には、複数のワクチン製剤を同じ注射器に吸い上げて混合して用いるようなことをしては、いけません。それぞれのワクチン製剤を別々の注射器に吸い上げて、できるだけ離れた部位に接種します。たとえば、一方のワクチンを右腕に接種したら、もう一方のワクチンを左腕に接種するというように接種します。限られた部位に接種しなければならない場合でも、接種部位は2.5cm以上離します。複数のワクチン製剤を同じ日に接種する場合には、接種部位が区別できるように、それぞれの接種部位について、接種の記録に、より詳細な記述が必要です。

ミャンマー(ビルマ)におけるワクチン等のビルマ語表記について

 ミャンマー(ビルマ)は、東南アジアのインドシナ半島西部に位置し、北東に中華人民共和国、東にラオス、南東にタイ、西にバングラデシュ、北西にインドと国境を接します。このミャンマーにおける公用語は、ビルマ語です。ミャンマーのこどもの定期予防接種のワクチン等のビルマ語表記は、下の表3 、表4、表5のとおりです。なお、ミャンマーにおいて、ビルマ語は教育される第一言語ですが、教育される第二言語は英語です。ミャンマー政府のホームページでは英語表記のページも見られます(例えば、ミャンマー政府保健省[Ministry of Health])。

表3 ミャンマーのこどもの定期予防接種のワクチン等[その1](ビルマ語・日本語対照表記)

表4 ミャンマーのこどもの定期予防接種のワクチン等[その2](ビルマ語・日本語対照表記)

表5 ミャンマーのこどもの定期予防接種のワクチン等[その3](ビルマ語・日本語対照表記)

参考文献

  1. 外務省;渡航関連情報在外公館医務官情報ミャンマー」:(日本語).
  2. 欧州CDCVaccine schedule platform(欧州各国の定期予防接種スケジュール) :(英語).
  3. WHO vaccine-preventable diseases: monitoring system. Global summary.
     全世界の国々の予防接種スケジュール(WHO):(英語)。
  4. 世界保健機関(WHO)ミャンマー国事務所
    ミャンマーの予防接種
    ;   EPI Fact Sheet: Myanmar 2014; World Health Organization(WHO), SEARO/FHR/IVD, 22 July 2015.(PDF版)
    ;   Hibワクチンと麻疹の2回目のワクチンとがミャンマーの定期予防接種に(2012年11月):(英語).
  5. ミャンマー 保健省(Ministry of Health) ; ミャンマーの予防接種計画 [pdf:572KB] (PDF版): (英語).
  6. 予防接種活動提携(Immunization Action Coalition: IAC)
    言語別米国ワクチン情報(PDF版): (英語).
  7. GAVI Alliance(ワクチンと予防接種のための世界同盟[The Global Alliance for Vaccines and Immunization])
    ミャンマー
    :  ミャンマーが五種混合ワクチンと麻疹のワクチンを定期予防接種に導入(2012年11月6日): (英語).
  8. ユニセフ(UNICEF)-ミャンマー事務所
    :  ミャンマーが妊産婦・新生児破傷風を排除(2010年5月31日)
    :  ミャンマーが五種混合ワクチンを定期予防接種に導入(2012年11月6日)
    :  ミャンマーの国連4機関[the United Nations Human Settlements Programme (UN-Habitat), the United Nations High Commissioner for Refugees (UNHCR), the United Nations Children’s Fund (UNICEF), and the United Nations World Food Programme (WFP)]に日本が23億6200万円(2015年3月): (英語).

2014年6月6日初掲載
2014年6月13日増補
2016年4月22日改訂

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横浜市衛生研究所 感染症・疫学情報課 - 2014年6月6日作成
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