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リトアニアのこどもの定期予防接種について

こどもの定期予防接種のリトアニアと日本との違いについて

 本稿では、リトアニア共和国のこどもの定期予防接種について触れます。まず、リトアニアのこどもの定期予防接種と日本のこどもの定期予防接種との違いを見てみましょう。

 両国で定期予防接種として実施している予防接種もありますが、一方の国でしか定期予防接種として実施していない予防接種もあります。表にまとめると、下の表1のとおりです。

表1. こどもの定期予防接種のリトアニアと日本との違い
  リトアニアのこどもの定期予防接種
実施 実施せず
日本のこどもの定期予防接種 実施 ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib)感染症
結核(BCG)、
ジフテリア・破傷風百日咳
ポリオ
麻疹風疹
肺炎球菌感染症
B型肝炎、
ヒトパピローマウイルス16型・18型による子宮頸部癌、外陰癌、膣癌、肛門癌および
6型・11型による尖圭コンジローマ
()
日本脳炎
水痘
実施せず 流行性耳下腺炎(ムンプス) 髄膜炎菌感染症
ロタウイルスによる感染性胃腸炎
A型肝炎
インフルエンザ
: HPVワクチンについて、日本、リトアニアとも女子のみ対象。

 こどもの定期予防接種として、リトアニアで実施されず日本で実施されているものとしては、日本脳炎水痘があります。反対に、こどもの定期予防接種として、日本で実施されずリトアニアで実施されているものとしては、流行性耳下腺炎(ムンプス)があります。

 なお、日本国外務省は、日本からのリトアニア長期滞在予定者にダニ媒介脳炎の予防接種を勧めています(参考文献4)。日本ではワクチンの入手が困難としてリトアニア現地での接種を勧めています[合計3回(2回目:初回接種の1-3ヶ月後,3回目:2回目接種の9-12ヶ月後)。

 多数のワクチンを混合したワクチン製剤がリトアニアでは見られます。たとえば、ジフテリア・破傷風・百日咳のワクチン(DTaP)、ポリオの不活化ワクチン(IPV)、ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib)のワクチン(Hib)を混合したワクチン(DTaP-IPV-Hib)があります。三つのワクチンが混合されたワクチンがあれば、個々のワクチンではそれぞれ1回ずつだと 3回の接種が必要なところ、三つのワクチンが混合されたワクチンでは1回の接種で済むことになります。接種回数が少なくなれば、こどもが注射で痛い思いをする回数も少なくなります。また、接種スケジュールの設定も容易になります。

 日本でも混合ワクチンが使われてきました。ジフテリア・破傷風・百日咳の三種混合ワクチン(DTaP)、麻疹・風疹のMRワクチンなどです。ポリオの不活化ワクチン(IPV)についても、ジフテリア・破傷風・百日咳・ポリオの、四種混合ワクチン(DTaP/IPV)が2012年11月から日本でも新たに使われるようになりました。同様の四種混合ワクチン(DTaP/IPV)がリトアニアでも使われています。

リトアニアのこどもの定期予防接種スケジュールについて

 リトアニアのこどもの定期予防接種の標準的なスケジュール(2016年9月1日から)は、下の表2-1のとおりです。
 2014年から、こどもの定期予防接種として、肺炎球菌結合型ワクチンが導入されました。2016年9月1日には、HPVワクチンが女子の定期予防接種として、導入されました。

表2-1. リトアニアのこどもの定期予防接種の標準的なスケジュール(2016年9月1日から)
接種時期 予防する感染症 接種するワクチン(英字略語表記等)
出生時 B型肝炎 HepB(1回目:誕生から24時間以内に接種)
結核 BCG(1回接種:生後2-3日で接種)
生後1ヶ月 B型肝炎 HepB(2回目)
生後2ヶ月 ジフテリア・破傷風百日咳 DTaP(1回目)*
ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib) Hib(1回目)*
ポリオ不活化ワクチン IPV(1回目)*
肺炎球菌結合型ワクチン PCV13(1回目)
生後4ヶ月 ジフテリア・破傷風百日咳 DTaP(2回目)*
ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib) Hib(2回目)*
ポリオ不活化ワクチン IPV(2回目)*
肺炎球菌結合型ワクチン PCV(2回目)
生後6ヶ月 ジフテリア・破傷風百日咳 DTaP(3回目)*
ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib) Hib(3回目)*
ポリオ不活化ワクチン IPV(3回目)*
B型肝炎 HepB(3回目)
生後12-15ヶ月 肺炎球菌結合型ワクチン PCV(3回目)***
生後15ヶ月-16ヶ月半 麻疹流行性耳下腺炎(ムンプス)風疹 MMR(1回目)***
生後18ヶ月 ジフテリア・破傷風百日咳 DTaP(4回目)*
ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib) Hib(4回目)*
ポリオ不活化ワクチン IPV (4回目)*
6-7歳 ジフテリア・破傷風百日咳 DTaP(5回目)**
ポリオ不活化ワクチン IPV (5回目)**
麻疹流行性耳下腺炎(ムンプス)風疹 MMR(2回目)
11歳(女子のみ) ヒトパピローマウイルス
16型・18型による子宮頸部癌、外陰癌、膣癌、肛門癌および
6型・11型による尖圭コンジローマ
HPV(1回目:女子のみ)
HPV(2回目:1回目の6ヶ月後)
15-16歳 ジフテリア・破傷風百日咳 dTap(1回接種:後は10年毎に1回接種繰り返し)
65歳以上 インフルエンザ IIV(毎年1回接種)
*:リトアニアでは、DTaP-Hib-IPVという5種混合ワクチンで接種されます。
**:リトアニアでは、DTaP-IPVという4種混合ワクチンで接種されます。
***:PCV(3回目)とMMR(1回目)とは同じ日に接種可能です。

 リトアニアのこどもの定期予防接種の標準的なスケジュール(2014年)は、下の表2-2のとおりでした。

表2-2. リトアニアのこどもの定期予防接種の標準的なスケジュール(2014年)
接種時期 予防する感染症 接種するワクチン(英字略語表記等)
出生時 B型肝炎 HepB(1回目:誕生から24時間以内に接種)
結核 BCG(1回接種:生後2-3日で接種)
生後1ヶ月 B型肝炎 HepB(2回目)
生後2ヶ月 ジフテリア・破傷風百日咳 DTaP(1回目)*
ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib) Hib(1回目)*
ポリオ不活化ワクチン IPV(1回目)*
生後4ヶ月 ジフテリア・破傷風百日咳 DTaP(2回目)*
ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib) Hib(2回目)*
ポリオ不活化ワクチン IPV(2回目)*
生後6ヶ月 ジフテリア・破傷風百日咳 DTaP(3回目)*
ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib) Hib(3回目)*
ポリオ不活化ワクチン IPV(3回目)*
B型肝炎 HepB(3回目)
生後15ヶ月-16ヶ月半 麻疹流行性耳下腺炎(ムンプス)風疹 MMR(1回目)
生後18ヶ月 ジフテリア・破傷風百日咳 DTaP(4回目)*
ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib) Hib(4回目)*
ポリオ不活化ワクチン IPV (4回目)*
6-7歳 ジフテリア・破傷風百日咳 DTaP(5回目)**
ポリオ不活化ワクチン IPV (5回目)**
麻疹流行性耳下腺炎(ムンプス)風疹 MMR(2回目)
12歳(B型肝炎ワクチン未接種の児のみ) B型肝炎 HepB(3回接種:0-1-6ヶ月)
12歳(6-7歳でMMRの2回目を未接種の児のみ) 麻疹流行性耳下腺炎(ムンプス)風疹 MMR(2回目)
15-16歳 ジフテリア・破傷風 dT(1回接種:後は10年毎に1回接種繰り返し)
65歳以上 インフルエンザ IIV(毎年1回接種)
*:リトアニアでは、DTaP-Hib-IPVという5種混合ワクチンで接種されます。
**:リトアニアでは、DTaP-IPVという4種混合ワクチンで接種されます。

 複数のワクチン製剤を同じ日に接種する場合には、複数のワクチン製剤を同じ注射器に吸い上げて混合して用いるようなことをしては、いけません。それぞれのワクチン製剤を別々の注射器に吸い上げて、できるだけ離れた部位に接種します。たとえば、一方のワクチンを右腕に接種したら、もう一方のワクチンを左腕に接種するというように接種します。限られた部位に接種しなければならない場合でも、接種部位は2.5cm以上離します。複数のワクチン製剤を同じ日に接種する場合には、接種部位が区別できるように、それぞれの接種部位について、接種の記録に、より詳細な記述が必要です。

リトアニアにおけるリトアニア語によるワクチン等の表記について

 リトアニアは、北をラトビア、南東をベラルーシ、南西をポーランド、西をバルト海とロシアの飛び地(カリーニングラード州)とに囲まれた国です。このリトアニアにおける公用語は、リトアニア語です。リトアニアのこどもの定期予防接種のワクチン等のリトアニア語による表記については、下の表3、表4、表5のとおりです。日本語の表記も併記しました。

表3 リトアニアのこどもの定期予防接種のワクチン等(リトアニア語・日本語対照表記)

表4 リトアニアのこどもの定期予防接種のワクチン等(リトアニア語・日本語対照表記)

表5 リトアニアのこどもの定期予防接種のワクチン等(リトアニア語・日本語対照表記)

参考文献

  1. WHO Vaccine-Preventable Diseases: Monitoring System. global summary.
     全世界の国々の予防接種(WHO):(英語)。
  2. 欧州CDC(ECDC)Vaccine schedule platform(欧州各国の定期予防接種スケジュール) :(英語).
  3. リトアニア感染症・エイズセンター(ULAC[Uzkreciamuju ligu ir AIDS centras: Centre for Communicable Diseases and AIDS]);
    予防接種のページ:
    定期予防接種スケジュール(2008-2014年) [pdf:27KB] (PDF版):(リトアニア語).
  4. 外務省;渡航関連情報在外公館医務官情報リトアニア共和国」:(日本語).
  5. Grigiskiuヘルスケアセンター:リトアニア定期予防接種スケジュール:(リトアニア語).
  6. 立法法規記録:リトアニア定期予防接種スケジュール(リトアニア健康大臣指令)2016年:(リトアニア語).

2014年3月26日初掲載
2017年1月23日増補改訂

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横浜市衛生研究所 感染症・疫学情報課 - 2014年3月26日作成
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