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イタリアのこどもの定期予防接種について

こどもの定期予防接種のイタリアと日本との違いについて

 本稿では、イタリア(伊太利亜:伊)のこどもの定期予防接種について触れます。まず、イタリアのこどもの定期予防接種と日本のこどもの定期予防接種との違いを見てみましょう。

 日伊の両国ともこどもの定期予防接種として実施している予防接種もありますが、一方の国でしかこどもの定期予防接種として実施していない予防接種もあります。表にまとめると、下の表1のとおりです。

表1. こどもの定期予防接種のイタリアと日本との違い
  イタリアのこどもの定期予防接種
実施 実施せず
日本のこどもの定期予防接種 実施 ジフテリア・破傷風百日咳
ポリオ
麻疹風疹
水痘
ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib)感染症
肺炎球菌感染症
B型肝炎、
ヒトパピローマウイルス16型・18型による子宮頸部癌、外陰癌、膣癌、肛門癌および
6型・11型による尖圭コンジローマ
(*)
結核(BCG)、
日本脳炎
実施せず 髄膜炎菌感染症(MenC等)、
流行性耳下腺炎(ムンプス)
ロタウイルスによる感染性胃腸炎
A型肝炎
インフルエンザ
*: HPVワクチンについては、日本では女子のみ対象ですが、イタリアでは男女とも対象です。イタリアも以前は女子のみ対象でしたが、男子も対象とする地域が増え、2017-2019年の計画では全国で男女とも対象とされました。実際にイタリア全域で男女とも対象となるのは2018年頃になるかもしれません。

 こどもの定期予防接種として、イタリアで実施されず日本で実施されているものとしては、結核(BCG)、日本脳炎(JapEnc)があります。反対に、こどもの定期予防接種として、日本で実施されずイタリアで実施されているものとしては、髄膜炎菌感染症(MenC等)、流行性耳下腺炎(ムンプス)ロタウイルスによる感染性胃腸炎があります。

 多数のワクチンを混合したワクチン製剤がイタリアでは見られます。たとえば、ジフテリア・破傷風・百日咳のワクチン(DTaP)、ポリオの不活化ワクチン(IPV)、ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib)のワクチン(Hib)、B型肝炎のワクチン(HepB)を混合したワクチン(DTaP-IPV-Hib-HepB:[伊語]DTPa-IPV-Hib-EpB)があります。四つのワクチンが混合されたワクチンがあれば、個々のワクチンではそれぞれ1回ずつだと4回の接種が必要なところ、四つのワクチンが混合されたワクチンでは1回の接種で済むことになります。接種回数が少なくなれば、こどもが注射で痛い思いをする回数も少なくなります。また、接種スケジュールの設定も容易になります。

 日本でも混合ワクチンが見られます。ジフテリア・破傷風・百日咳の三種混合ワクチン(DTaP)、麻疹・風疹のMRワクチンなどです。ポリオの不活化ワクチン(IPV)についても、ジフテリア・破傷風・百日咳・ポリオの、四種混合ワクチン(DTaP/IPV)が2012年11月から新たに使われるようになりました。

イタリアの定期予防接種スケジュールについて

 イタリアの定期予防接種の標準的なスケジュール(2017-2019年)は、下の表2のとおりです。

表2. イタリアの定期予防接種の標準的なスケジュール(2017-2019年)
接種時期 予防する感染症 接種するワクチン(英字略語表記等)
出生時 B型肝炎 HepB(HBs抗原陽性の母親から生まれた乳児にのみ生後12-24時間以内に接種。抗B型肝炎ウイルス免疫グロブリンも注射。2回目は生後4週間、3回目は生後8週間、4回目は生後11-12か月で接種。他の乳児は生後2ヶ月から接種開始)
生後2ヶ月(61日目) ジフテリア・破傷風百日咳 DTaP(1回目)*
ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib)感染症 Hib(1回目)*
ポリオ IPV(1回目)*
B型肝炎 HepB(1回目)*
肺炎球菌感染症 PCV13(肺炎球菌結合型ワクチン、1回目)
生後2-7ヶ月 ロタウイルスによる感染性胃腸炎 Rota(製剤により2,3回接種)
生後2ヶ月半(76日目) B群髄膜炎菌感染症 MenB(B群髄膜炎菌ワクチン、1回目)
生後3ヶ月半(106日目) B群髄膜炎菌感染症 MenB(B群髄膜炎菌ワクチン、2回目)
生後4ヶ月(121日目) ジフテリア・破傷風百日咳 DTaP(2回目)*
ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib)感染症 Hib(2回目)*
ポリオ IPV(2回目)*
B型肝炎 HepB(2回目)*
肺炎球菌感染症 PCV13(肺炎球菌結合型ワクチン、2回目)
生後5ヶ月(151日目) B群髄膜炎菌感染症 MenB(B群髄膜炎菌ワクチン、3回目)
生後10ヶ月 ジフテリア・破傷風百日咳 DTaP(3回目:2回目から6ヶ月以上の間隔で接種)*
ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib)感染症 Hib(3回目)*
ポリオ IPV(3回目)*
B型肝炎 HepB(3回目)*
肺炎球菌感染症 PCV13(肺炎球菌結合型ワクチン、3回目)
生後12ヶ月 B群髄膜炎菌感染症 MenB(B群髄膜炎菌ワクチン、4回目)
生後12-14ヶ月 C群髄膜炎菌感染症 MenC(C群髄膜炎菌結合型ワクチン、1回接種)
麻疹流行性耳下腺炎(ムンプス)風疹 MMR(1回目)****
水痘 Varicella(1回目)****
5歳 ジフテリア・破傷風百日咳 DTaP(4回目:7歳以上ではTdapを接種)
ポリオ IPV (4回目)
麻疹流行性耳下腺炎(ムンプス)風疹 MMR(2回目)****
水痘 Varicella(2回目)****
11-17歳 ジフテリア・破傷風百日咳 dTap(1回接種:DTaPの4回シリーズを完了してから10年後に接種。後は十年毎にdTap[ジフテリア・破傷風百日咳]を接種)*****
ポリオ IPV (5回目)*****
A,C,W,Y群髄膜炎菌感染症 MenACWY(A,C,W,Y群髄膜炎菌結合型ワクチン)
11-17歳(男女とも)** ヒトパピローマウイルス
16型・18型による子宮頸部癌、外陰癌、膣癌、肛門癌および
6型・11型による尖圭コンジローマ
HPV(1回目:男女とも)
HPV(2回目:1回目の1-2ヶ月後)**
HPV(3回目:1回目の6ヶ月後)**
妊婦 ジフテリア・破傷風百日咳 dTap(1回接種:妊娠第3四半期[妊娠28週頃]に接種)
65歳以上 インフルエンザ IIV(毎年一回)
*:イタリアでは、DTaP-IPV-Hib-HepB([伊語]DTPa-IPV-Hib-EpB)という6価ワクチン([伊語]Esavalente)で接種されます。
**:以前は全て3回接種でしたが、2014年4月24日から、HPV2(2価ワクチン)は9-14歳、HPV4(4価ワクチン)は9-13歳であれば3回の接種は必要なく、0-6か月の2回接種。それより年齢が高ければ3回接種。標準的には11歳で0-6か月の2回接種。
****:四種混合ワクチン(MMRV)で接種される場合もあります。
*****:四種混合ワクチン(dTap-IPV)で接種されます。

 複数のワクチン製剤を同じ日に接種する場合には、複数のワクチン製剤を同じ注射器に吸い上げて混合して用いるようなことをしては、いけません。それぞれのワクチン製剤を別々の注射器に吸い上げて、できるだけ離れた部位に接種します。たとえば、一方のワクチンを右腕に接種したら、もう一方のワクチンを左腕に接種するというように接種します。限られた部位に接種しなければならない場合でも、接種部位は2.5cm以上離します。複数のワクチン製剤を同じ日に接種する場合には、接種部位が区別できるように、それぞれの接種部位について、接種の記録に、より詳細な記述が必要です。

イタリア語のワクチンの略語表記について

 イタリア語(伊語)のワクチンの略語表記については、下の表3のとおりです。英語のワクチンの略語表記と一致するものもあれば一致しないものもあり、イタリア語の接種の記録を見るときなどには注意が必要です。

表3. イタリア語のワクチンの略語表記
伊語略称 伊語表記 日本語表記 英語略称
D vaccino antidifto ジフテリア(乳幼児用) D
d vaccino antidifto per adolescenti e adulti ジフテリア(思春期・成人用) d
T vaccino antitetanico 破傷風 T
Pa vaccino antipertossico acellulare 百日咳(無菌体、乳幼児用) aP
pa vaccino antipertossico acellulare per adolescenti e adulti 百日咳(無菌体、思春期・成人用) ap
IPV vaccino antipolio inattivato ポリオ(不活化) IPV
Hib vaccino contro le infezioni invasive da Haemophilus influenzae tipo b ヘモフィルス-インフルエンザb型菌 Hib
Ep B, HBV vaccino antiepatite B B型肝炎 Hep B
PCV vaccino antipneumococcico coniugato 肺炎球菌(結合型) PCV
Men C vaccino antimeningococco C coniugato C群髄膜炎菌 Men C
HPV vaccino antipapilloma virus ヒト-パピローマウイルス HPV
MPR vaccino antimorbillo-parotite-rosolia 麻疹流行性耳下腺炎(ムンプス)風疹 MMR
V, Var vaccino antivaricella(vaccino contro la varicella) 水痘 V, Var
MPRV vaccino tetravalente per morbillo, parotite, rosolia e varicella 麻疹流行性耳下腺炎(ムンプス)風疹水痘 MMRV

参考文献

  1. WHO Vaccine Preventable Diseases Monitoring System: Immunization schedules by antigen.
     全世界の国々の予防接種スケジュール(WHO):英語。
  2. イタリア保健省:
     予防接種:
      国民保健サービスによる予防接種 :(イタリア語).
  3. 欧州CDC(ECDC); Vaccine schedule platform(欧州各国の定期予防接種スケジュール) :(英語).

2013年8月14日初掲載
2014年12月22日改訂増補
2016年11月24日改訂増補
2017年4月12日改訂増補

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横浜市衛生研究所 感染症・疫学情報課 - 2013年8月14日作成
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