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咽頭結膜熱について

流行は?

 世界的に夏に流行が見られます。集団生活の中でこどもや若者が一時に多数感染してしまう場合があり、欧米では、寄宿学校での集団発生や夏のキャンプで湖・プールに泳ぎに行っての集団発生が知られています。プールで感染したと思われる場合、特に「プール熱(swimming pool conjunctivitis : 水泳プール結膜炎)」と呼ばれる場合があります。15歳までのこどもがかかる場合が大部分です。横浜市でも夏になると流行が見られます。

 日本においては、咽頭結膜熱は、感染症法での5類の小児科定点把握疾患であり、全国約3000の小児科定点医療機関で患者発生が把握されています。届出基準はこちら(PDF版) [pdf:185KB] です。2000-2006年の全国の小児科定点医療機関あたり咽頭結膜熱患者年間年齢別発生報告数は、下のグラフのとおりです。年齢別では1-5歳が多いです。0歳では生後6か月以降の発生が多いです。6歳以降、小児では年齢を重ねるとともに発生は減少します。一方、少ないですが20歳以上の発生報告もあります。

グラフ(2000-2006年の全国の小児科定点医療機関あたり咽頭結膜熱患者年間年齢別発生報告数)

どんな病気?

 第一に、4、5日続く高(39-40度)。第二に、のどの痛み(咽頭炎。この咽頭炎に続き咳を伴う下気道炎が起こる場合もあります。)。第三に、結膜炎(眼の充血・痛み。最初片方の眼から始まり、やがて両眼とも炎症を起こす。)。この三つが三大徴候と言われます。咽頭結膜熱という病名は咽頭炎・結膜炎・高の三大徴候を連ねて作られたものです。先に触れたような集団発生事例の観察によると、咽頭結膜熱にかかった場合、50%以上で三大徴候の全てが見られますが、残りの患者については、三大徴候の内の一つか二つしか見られません。患者によってかなり症状に差があるのです。というわけで、1週間で良くなる患者もいれば、2週間で良くなる患者もいます。他の症状に比べ、目の症状が一番最後に好転してくる場合が多いです。

病原体は?

 アデノウイルスの3型が主ですが、1、4、7、14型も知られています。ウイルスが、口・鼻の中やのどの粘膜あるいは眼の結膜から体の中に入りこんで感染します。潜伏期間は5日間から10日間です。発症(発熱)してから、眼・呼吸器系からは7日間から14日間、便からは30日間ウイルスが検出されます。

 アデノウイルスの7型では、重症肺炎等、重篤な合併症を起こすことがあることが、知られています。

予防のためには・・・

 手指を介してウイルスを運んでしまうことがあるので、普段から手指が何らかのウイルスで汚染している可能性を考えて、手を良く洗うことを習慣付けることが大切です。食事や鼻をほじくる前には特に手を良く洗いましょう。鼻をほじくることは、鼻の中にウイルスをはこんでしまう可能性があるので、鼻をほじくるよりは、鼻をかむほうが良いです。目にウイルスをはこんでしまう可能性があるので、目はこすらないようにしましょう。

 プールを介しての流行が知られているので、プールの前後はシャワーをよく浴びるようにしましょう。

 患者は、学校や仕事を休んで、医療機関への通院以外は、外出しないようにしましょう。重症の場合入院が必要な場合もあります。学校保健安全法上は、第二種の学校感染症に分類され、出席停止の対象となっていて、登校基準は「主要症状が消退した後2日を経過するまで出席停止とする。ただし、病状により伝染のおそれがないと認められたときはこの限りではない。」とされています。登校するようになっても、しばらくはプールはやめておいた方が良いでしょう。

 家庭では、患者と、道具や眼鏡・タオル・寝具等を共用しない。洗濯物については、患者のものと他の家族のものとを、一緒に洗わない。風呂は、患者が一番最後に入る等の注意も必要です。

 消毒法としては、90%エタノール、次亜塩素酸ソーダ、煮沸などが有効とされています。

 ワクチンとしては、アメリカ合衆国で、4、7型のアデノウイルスの経口生ワクチンが開発され、米軍の新兵たちがワクチン接種を受けています。
 アメリカ合衆国では、新兵たちの基礎訓練施設において、急性気道炎のため多数の入院患者が出るようなことがあることが、第二次世界大戦のころから知られていました。このような急性気道炎による新兵の入院の60%が、4、7型のアデノウイルスによる急性気道炎が原因でした。1960年代に4、7型のアデノウイルスの経口生ワクチンが開発されました。急性気道炎が秋と冬に多かったため、10月1日から3月31日までの間の基礎訓練に参加する男性の新兵に経口生ワクチンが1971年から接種され始めました。妊娠中の接種の可能性も考えられるため、女性の新兵には接種されませんでした。1984年には、春と夏の発生も防ぐため、接種対象となる基礎訓練期間を限定せず接種するようになりました。ワクチン接種が行われることで、新兵たちの急性気道炎は50-60%減少し、アデノウイルスによる急性気道炎については95%以上減少しました。
 ところが、1997年にワクチン生産業者が生産を停止したため、1999年初めには米軍の新兵たちのワクチン接種も中止となりました。このため、新兵たちの基礎訓練施設において、急性気道炎のため多数の入院患者が出るようなことが再び起こるようになりました。米軍の新兵たちのワクチン接種の再開が要請され、別のワクチン生産業者が生産を始めることとなりました。この別のワクチン生産業者の製造によるアデノウイルス4型・7型ワクチン(経口・生ワクチン) が、2011年3月16日水曜日、アメリカ合衆国で認可されました。

 アデノウイルス4、7型のワクチンについては、当・横浜市衛生研究所ウェブページ「アデノウイルス感染症について」でも触れていますので、ご覧ください。

パンフレット

  • 咽頭結膜熱(プール熱)に注意!(A4版1枚) [pdf:82KB]
    咽頭結膜熱(プール熱)について説明した資料です。啓発等にご利用ください。
  • 上記以外にも、種々の話題について説明した電子パンフレット(PDF版)があります。当・横浜市衛生研究所ホームページ「電子パンフレット」をご覧下さい(下線部をクリックして下さい)。

参考文献

  1. Shellie A. Kolavic-Gray, et al. ; Large Epidemic of Adenovirus Type 4 Infection among Military Trainees: Epidemiological, Clinical, and Laboratory Studies. ; Clinical Infectious Diseases 2002; 35 (1 October);808-18.

2000年8月22日初掲載
2004年7月15日改訂
2008年8月5日増補
2011年4月4日増補改訂
2015年8月14日増補改訂

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横浜市衛生研究所 感染症・疫学情報課 - 2008年4月1日作成
ご意見・問合せ:kf-eiken@city.yokohama.jp - 電話:045-370-9237 - FAX:045-370-8462
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