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人間への感染が見られたA型インフルエンザウイルスの亜型について

  A型インフルエンザウイルスの亜型(subtype)については、A型インフルエンザウイルスのH抗原とN抗原との組み合わせによって決められます。人間への感染が見られたA型インフルエンザウイルスの亜型について、下の表にまとめました。
 近年、冬季に流行の見られるA型インフルエンザウイルスは、主に、A香港 (ホンコン)型(H3N2)とAソ連型(H1N1)とでした。それ以外には、H3N2型(亜型)ウイルスとH1N1型(亜型)ウイルスの遺伝子再集合の結果生じたと考えられているH1N2型(亜型)が、2001-2002年冬季から、流行が見られることがありました。
 2002年2月上旬には、横浜市泉区内の中学校の集団かぜで、日本国内で初めて横浜市衛生研究所がH1N2型(亜型)インフルエンザウイルスの分離をしました。
 H1N2型(亜型)については、Aソ連型(H1N1)からH1抗原を、A香港(ホンコン)型(H3N2)からN2抗原を受け継いでいるため、免疫を持っている人が多く、世界的大流行(パンデミック)は起こさないと考えられています。
 最近では、2004年以来東南アジア等で患者が発生しているH5N1型(亜型)ウイルスが、世界的大流行(パンデミック)を起こさないかと心配されています。
 2009年には、H1N1型豚インフルエンザウイルス由来の新型インフルエンザウイルス(H1N1型)が世界的大流行(パンデミック)を起こしました。

 N1N2N3N7
H1 H1N1:1918年に世界的大流行を起こしスペインかぜと呼ばれました。
 米国では50万人以上が死亡。全世界では2千万から5千万人が死亡。1957年以降流行が見られなくなりましたが、1977年にソ連かぜとして流行。
 Aソ連型として近年も流行を起こしていました。
 なお、1976年1-2月に米国ニュージャージー州のFort DixでH1N1型豚インフルエンザウイルスにより13人の患者が発生し内1人が死亡しました。豚インフルエンザウイルスの人から人への感染が起こったと考えられました。
 パンデミック[世界的大流行]が起こる可能性を考えて、米国政府は1976年秋に豚インフルエンザウイルス株のワクチンの米国国民への接種を始めました。ところが、接種を受けた人でギランバレー症候群の発生の増加が見られ、また、感染の拡がりも見られなかったため、接種中止となりました。
 2009年には、H1N1型豚インフルエンザウイルス由来の新型インフルエンザウイルス(H1N1型)が世界的大流行(パンデミック)を起こしました。
H1N2:2001-2002年冬季から流行が見られるようになりました。
 Aソ連型(H1N1)とA香港(H3N2)型のウイルスの遺伝子再集合の結果生まれたウイルスと考えられています。
   
H2 H2N2:1957-1958年に世界的大流行を起こしアジアかぜと呼ばれました。
 米国では約7万人が死亡。1968年以後、患者発生が見られなくなりました。
   
H3   H3N2:1968-1969年に世界的大流行を起こし香港かぜと呼ばれました。
 米国では約3万4千人が死亡。A香港型として現在も流行を起こしています。
   
H5 H5N1:1997年、家きん市場での暴露により鳥から人への感染が起こり、香港で18人が入院し、うち6人が死亡。
 2003年香港の家族が中国に訪問後、入院、33歳男性が死亡。
 2004年、タイとベトナムで患者発生。2005年にはカンボジア、インドネシア、中国、2006年にはトルコ、イラク、アゼルバイジャン、エジプト、ジブチ、2007年にはナイジェリア、ラオス、ミャンマー、パキスタン、2008年にはバングラデシュでも患者発生。
H5N2:2006年1月10日、国立感染症研究所「茨城県・埼玉県における高病原性鳥インフルエンザ血清抗体調査結果中間報告」によれば、「平成17(2005)年6月に初発として報告された茨城県・埼玉県における一連のA/H5N2型の鳥インフルエンザウイルスの養鶏場での流行においてヒトへの感染の有無を確認することを目的として、血清中の中和抗体価の測定を実施した。全数の調査は終了していないが、暫定的な基準に基づく現時点の結果によると、感染鶏に接触した者のうち血清学的調査では抗体陽性者の存在が判明し、A/H5N2型のウイルスに感染した可能性のある者がいたと考えられる。詳細は更なる検討が必要である。」とのことです。    
H7   H7N2:2002年、米国バージニア州で家きんでの集団発生に続き1人が呼吸器症状で発病しましたが、軽快しました。
 2003年11月、ニューヨークで、 1人が呼吸器症状で入院、軽快しました。感染源は不明。
 2007年5月、英国の北ウェールズの小農場での鳥インフルエンザの発生に伴いインフルエンザ様症状の患者4人発生しましたが、軽快しました。
H7N3:2004年、カナダの家きん農場で2人の従事者が発病。
 2006年4月、英国東イングランドの家きん農場で、1人の従事者が結膜炎を発病しました。
H7N7:1978-1979年、米国でアザラシから感染し結膜炎を起こし軽快した症例があります。
 1996年、英国でペットのアヒルの飼い主が結膜炎となりましたが、軽快しました。
 2003年、オランダで89人が眼症状あるいはかぜ症状を起こしました。大部分は家きん農場の労働者。家きん農場を訪れた獣医が1人死亡。
H9   H9N2:1999年、香港で子ども2人が発病。家きんが感染源かと考えられました。
 2003年、香港で1人の子ども(5歳)がインフルエンザ様症状(発熱・咳・脱水)で入院し、軽快しました。
   
H10       H10N7:2004年、エジプトの幼児2人が発病。一人の父親は家きん商。

参考文献

  1. 川上千春、2001/2002シーズンのインフルエンザの流行について、横浜市衛生研究所検査情報月報2002年8月号 p.8-9.
  2. National Institute of Allergy and Infectious Diseases (NIAID) . Timeline of human pandemics. Focus on the Flu.
  3. K. M. Butt, Gavin J. D. Smith, Honglin Chen, L. J. Zhang, Y. H. Connie Leung,K. M. Xu, Wilina Lim, Robert G. Webster, K. Y. Yuen, J. S. Malik Peiris, and Yi Guan ; Human Infection with an Avian H9N2 Influenza A Virus in Hong Kong in 2003, JOURNAL OF CLINICAL MICROBIOLOGY, Vol. 43, No. 11, Nov. 2005, p. 5760‐5767.
  4. Nguyen-Van-Tam J, Nair P, Acheson P, Baker A, Barker M, Bracebridge S, Croft J, Ellis J, Gelletlie R, Gent N, Ibbotson S, Joseph C, Mahgoub H, Monk P, Reghitt T, Sundkvist T, Sellwood C, Simpson J, Smith J, Watson J, Zambon M, Lightfoot N. Outbreak of low pathogenicity H7N3 avian influenza in UK, including associated case of human conjunctivitis. Euro Surveill 2006;11(5):E060504.2.
     : http://www.eurosurveillance.org/ew/2006/060504.asp#2
  5. Editorial team. Avian influenza A/(H7N2) outbreak in the United Kingdom. Euro Surveill 2007;12(5):E070531.2.
     : http://www.eurosurveillance.org/ew/2007/070531.asp#2
  6. European Centre of Disease Prevention and Control (ECDC). Human infections associated with outbreaks of low pathogenicity avian influenza virus type A/H7N2 in poultry in the UK. 28 May 2007.

2005年11月24日初掲載
2006年1月16日増補
2007年6月12日増補改訂
2011年2月1日増補改訂

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横浜市衛生研究所 感染症・疫学情報課 - 2008年4月1日作成 - 2011年5月13日更新
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