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手足口病について

流行は?

  手足口病は、初夏から初秋にかけて流行の見られる感染症です。流行のピークは夏季ですが、秋から冬にかけても発生の増加が見られることがあります。

  横浜市では、1995年の夏に定点医療機関あたり週間患者発生12.4人に達する大きな流行があり、2000年の夏もピークが定点あたり6.5人と比較的大きな流行となりました(報告定点あたりの患者数の1995-2005年の経年変化【別窓:図】については、ここをクリックしてください)。2011年の夏には、定点医療機関あたり週間患者発生12.3人(第30週[7 月25〜31 日])に達する16年ぶりの大きな流行がありました。2011年の夏の日本における手足口病の大流行については、主に、これまで日本で大きな流行を起こしたことがなかったコクサッキーウイルスA6(CVA6)によるものでした。コクサッキーウイルスA6(CVA6)は、2008年秋にはフィンランドで手足口病の流行を起こしています(参考文献1)。

横浜市の最近の発生状況

全国の過去10年間との比較グラフ

どんな病気?

  乳幼児やこどもでよく見られる病気です。発熱、口の中の痛み、水疱を伴った発疹が特徴です。軽い発熱と食欲不振・気分不快で始まり、しばしばのどの痛みを伴います。発熱が始まってから1日か2日で口の中の痛みが出現します。口の中に小紅斑が出現し、水疱性発疹となり、しばしば小さな潰瘍となります。それらは通常、舌や歯茎、頬の内側の部分に出現します。皮膚の発疹は、1日から2日で小紅斑から盛り上がり、水疱を伴うこともあります。発疹は、かゆくなく、通常手のひらや足の裏に出現します。発疹はおしりにも出現することがあります。口の中の潰瘍だけの場合や、皮膚の発疹だけの場合もあります。だからといって「手足口おしり病」、「口病」、「手足病」などとは言いません。「手足口病」は、確固たる病名で、英語では、hand,foot,and mouth disease(HFMD)と言います。英語でfoot-and-mouth disease(FMD)というまぎらわしい病名の病気(口蹄疫)がありますが、これは、違うウイルスによる家畜の病気で、手足口病とは全く何の関係もありません。

  2011年の夏の日本における手足口病の大流行については、主に、これまで日本で大きな流行を起こしたことがなかったコクサッキーウイルスA6(CVA6)によるものでした。コクサッキーウイルスA6(CVA6)による手足口病については、発疹・水疱が腕や脚、口の周囲にも認められることもありました。また、発病から1-2か月後に爪が浮き上がり脱落する爪甲脱落症(onychomadesis)が認められることもありました(参考文献1、2)。
  コクサッキーウイルスA6(CVA6)による手足口病で見られた爪甲脱落症(onychomadesis)で、脱落した爪からコクサッキーウイルスA6(CVA6)が検出されています(参考文献1、2)。爪は外部から見える爪甲と皮膚に被われて見えない爪根とからなります。爪根の爪母基(nail matrix)という部分で爪が生産され続けていて、爪が外部に押し出され爪の成長が見られます。コクサッキーウイルスA6(CVA6)による感染が爪母基での爪の生産を一時的に止めて、爪甲脱落症を起こすと考えられます。

  手足口病は、重症になることは少なく、多くの場合7日から10日で治ります。まれに、髄膜炎を伴うことがあり、発熱、頭痛、首のこわばり、背部通等が出現し、数日間の入院を必要とすることがあります。また、極めてまれに、急性脳炎等を起こし死亡する場合もあります。(*1997年にマレーシアで、1998年に台湾で脳炎による急死例が多発しています)。 高熱や頭痛・嘔吐がひどい場合等には、早めに医師の診察を受けましょう。

  手足口病に対する特効薬はありません。また、特別な治療を要しないことがほとんどです。発熱、のどの痛み、口の中の痛み等に対して、症状を和らげる薬が使われます。

  口の中に潰瘍ができて痛みがある場合、口の中に食物を入れると、食物が潰瘍部分を刺激して痛みを増強するので、患児が食物を食べようとしなくなることがあります。著しいときは、脱水・栄養不良のため、医療機関での点滴が必要になることもあります。このようなときは、熱いものは人肌までさます、濃い味(特に刺激物や酸味、塩味)のものは避ける、あまり噛まなくて良い消化の良いものを与える、水分をよく補給する等の食事面での配慮が必要です。何よりも水分不足にならないようにすることが最も重要ですので、薄いお茶類、スポーツ飲料などで水分を少量頻回に与えるように努めましょう。

  元気がない、頭痛・嘔吐を伴う、高熱を伴う、発熱が2日以上続く、などが見られた場合は、医師に相談しましょう。

病原体は?

  何種類かのウイルスが病原体となります。コクサッキーウイルスA16(CVA16)あるいは他の種類のコクサッキーウイルスA(CVA10、CVA6など)、あるいはエンテロウイルス71(EV71)です。なお、エンテロウイルス71(EV71)やコクサッキーウイルスA10(CVA10)・コクサッキーウイルスA6(CVA6)などは、ヘルパンギーナの病原体でもあります。

  手足口病に1度かかったことがあっても、その原因となったウイルス以外のウイルスには免疫を持っていないので、他の種類のウイルスによる手足口病に再びかかってしまう可能性があります。手足口病は、4歳位までの幼児を中心とした感染症ですが、学童でも流行が見られることがあり、大人でもかかる可能性があります。横浜市では、1〜4歳の各年令で多く、合わせて全体の約70%を占めています
(横浜市の年齢層別患者割合を参照)。

  EV71感染の方が、CVA16感染より中枢神経系への親和性が高く、無菌性髄膜炎等中枢神経合併症の発生率が高いです。CVA16感染では、心筋炎合併例の報告があります。

  なお、コクサッキーウイルス(coxsackievirus: CV)は、ポリオウイルスやエコーウイルスと同じく、エンテロウイルスの仲間です。エンテロウイルスには、腸の中で増えて、便に1か月ほど出て来る特徴があります。

  2011年の夏の日本における手足口病の大流行については、主に、これまで日本で大きな流行を起こしたことがなかったコクサッキーウイルスA6(CVA6)によるものでした。
  2011年12月2日現在、全国の地方衛生研究所からの分離・検出報告をまとめた国立感染症研究所「病原微生物検出情報」によれば、2011年については、手足口病と診断された1579例(100.0%)中、コクサッキーウイルスA6(CVA6)779例(49.3%)、コクサッキーウイルスA16(CVA16)327例(20.7%)、コクサッキーウイルスA10(CVA10)59例(3.7%)、エンテロウイルス71(EV71)9例(0.6%)、コクサッキーウイルスA5(CVA5)2例(0.1%)、コクサッキーウイルスA4(CVA4)1例(0.1%)、その他402例(25.5%)でした。
  また、2011年12月2日現在、全国の地方衛生研究所からの分離・検出報告をまとめた国立感染症研究所「病原微生物検出情報」によれば、2011年については、ヘルパンギーナと診断された579例(100.0%)中、コクサッキーウイルスA10(CVA10)184例(31.8%)、コクサッキーウイルスA6(CVA6)169例(29.2%)、コクサッキーウイルスA4(CVA4)8例(1.4%)、コクサッキーウイルスA5(CVA5)7例(1.2%)、エンテロウイルス71(EV71)1例(0.2%)、コクサッキーウイルスA2(CVA2)0例(0.0%)、その他210例(36.3%)でした。2011年のヘルパンギーナでは、コクサッキーウイルスA10(CVA10)とコクサッキーウイルスA6(CVA6)の分離・検出報告が多かったです。
  なお、2011年12月2日現在、全国の地方衛生研究所からの分離・検出報告をまとめた国立感染症研究所「病原微生物検出情報」によれば、2011年の コクサッキーウイルスA6(CVA6)の報告1104例(100.0%)中、診断名について、手足口病779例(70.6%)、ヘルパンギーナ169例(15.3%)、発疹症・不明発疹症32例(2.9%)、その他・不明124例(11.2%)でした。コクサッキーウイルスA6(CVA6)の分離・検出については、2011年はヘルパンギーナより手足口病が多かったです。

予防のためには・・・

  ウイルスに感染してから症状が出るまでの期間(潜伏期)は、通常3日〜7日です。手足口病の最初の症状は、しばしば発熱です。

  感染経路としては、咽頭から排泄されるウイルスによる飛沫感染、便中に排泄されたウイルスによる経口感染、水疱内容物からの感染などがあります。患者ののどや鼻の分泌物あるいは便の中のウイルスが、手などによって、口や鼻の中に運ばれて、感染します。ウイルスは咽頭から1〜2週間、便からは3〜5週間排泄されます。予防のためには、患者もその周囲の人たちも、手をよく洗うことです。患者の便には1か月ほど病原体のウイルスが出ている可能性があるので、特に患児のおしめを替えた後などは、よく手を洗いましょう。患者はトイレの後に、周囲の人たちは食事や鼻をほじくる前に、特に注意して手を洗いましょう。おしりをふいたときなどにウイルスが付着する可能性があるので、患者のタオルは別にしましょう。

  手足口病のワクチン(予防接種)はありません。

  手足口病は学校において予防すべき感染症(学校感染症)の第1種〜第3種には含まれていません。主症状から回復した後もウイルスが長期にわたって排泄されることがあるので、登校登園については、流行阻止の目的というよりも、患者本人の状態によって判断すればよいと考えられます。主治医に相談しましょう。

学校感染症について

感染症法における取り扱い

  日本においては、手足口病は、感染症法での5類の小児科定点把握疾患であり、全国約3000の小児科定点医療機関で患者発生が把握されています。届出基準はこちら(PDF版) [pdf:186KB]  です。2000-2006年の全国の小児科定点医療機関あたり手足口病患者年間年齢別発生報告数は、下のグラフのとおりです。年齢別では1歳が最も多いです。0歳では生後6か月以降の発生が多いです。1歳以降、小児では年齢を重ねるとともに発生は減少します。一方、少ないですが20歳以上の発生報告もあります。

グラフ(2000-2006年の全国の小児科定点医療機関あたり手足口病患者年間年齢別発生報告数)

  *1997年、マレーシアのサワラクで、手足口病の大流行があり、急性脳炎などにより、34人の小児が死亡しました。死亡例からはEV71が分離されています。

  1998年、台湾で手足口病の大流行があり、やはり急性脳炎などにより、78人の小児が死亡しました。EV71が分離されています。

  2000年9-10月、シンガポールでEV71による手足口病の流行がありました。患者の大部分は6歳未満の小児でした。4人が死亡しました。流行の沈静化のために、保育園等の閉鎖が行われました。

  日本でも、1997年、大阪で、手足口病あるいはEV71感染と関連が濃厚な小児の死亡例が3例報告されました。

参考ウェブページ

  1. 国立感染症研究所  感染症情報センター
      ・感染症の話  手足口病
      ・疾患別情報  手足口病とは?
      ・病原微生物検出情報
  2. 米国疾病対策センター  CDC
      ・Hand,Foot,& Mouth Disease

参考文献

  1. Riikka Oesterback, Tytti Vuorinen, Mervi Linna, Petri Susi, Timo Hyypiae, and Matti Waris; Coxsackievirus A6 and Hand, Foot, and Mouth Disease, Finland; Emerging Infectious Diseases, Vol. 15, No. 9, September 2009, p. 1485-1488.
  2. 柏井健作、仲浩臣、寺杣文男、青木一人、玉置三朗、島田美昭;手足口病後に脱落した爪からのコクサッキーウイルスA6型の検出―和歌山県;病原微生物検出情報月報(IASR):2011年11月号, Vol. 32 p. 339-340.

2006年9月15日掲載
2008年8月5日改訂増補
2011年12月5日改訂増補

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横浜市衛生研究所 感染症・疫学情報課 - 2008年4月1日作成
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