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クリプトスポリジウムについて

クリプトスポリジウム感染症関連の事件

 1996年6月埼玉県越生町で小中学校を中心にした約10,000人の集団下痢症の発生があっ た。
以下は平成8年6月19日付けの朝日新聞(埼玉版)の記事である。

 町内小中学校の7割が感染症状 越生町の感染性胃腸炎感染性胃腸炎と見られる症状の患者が多く出ている入間郡越生町で、町内小中学校の児童・生徒の約7割が感染しているとみられることが21日までに、県衛生部に入った報告で分かった。
 同部は、全町民を対象にアンケート調査を行い、感染源の特定などに努めることを決めた。
 これまでの調査では、下痢や腹痛の症状がある41人中、26人の便から胞子虫の一種「クリプトスポリジウム」が検出されている。
町内の小中学校の水道水や、町浄水場の原水など六ヶ所の水質調査からも、同じ原虫が検出されており、同部は、これが原因との見方を強めている。
街などは、なま水やなま物の摂取を避けるとともに、トイレから出た後などの手洗いの徹底を呼びかけている。

クリプトスポリジウム症(Cryptospolidiosis)とは

 本虫は1907年、マウスの胃に発見されて以来、種々の動物から見出され、その度に別種とされ79種に達したが、すべてが独立種とは言い難い。ヒトに寄生するのはCryptosporidium parvumと考えられている。

1.臨床的特徴

症状:
胞子虫類の一種による原虫感染症。不顕性感染から嘔吐、食欲不振、腹痛を伴う水様性下痢や粘液便が3〜14日間以上持続するものまで多様である。患者の免疫機構が正常であれば通常数日間で自然治癒するが、AIDSを含む各種の免疫不全患者に日和見感染を起こした場合は下痢が長期間持続したり、1日10リットルを超える下痢によって体重が急激に減少し、衰弱死する例もある。
病原体:
クリプトスポリジウム属原虫Cryptospolidium spp.。 自然界にはヒト、哺乳類、爬虫類、魚類寄生種が知られているが、これまでの人体症例はすべてC.parvumによるものとされている。本種の胞嚢体(オーシスト)は類円形で、直径が4.5〜5.0μmと小さく、壁は薄く、中に4個のスポロゾイトと1個の残体を有 し、小腸粘膜上皮細胞の微絨毛に寄生胞を形成し、その中で無性及び有性生殖を繰り返して急速に増殖し、細胞を破壊する。すなわち、無性生殖によりメロゾイトを形成し、有性生殖過程で形成されたオーシストは微絨毛内で成熟して糞便とともに体外に排出されるか、スポロゾイトを放出して自家感染を起こす。

2.疫学的特徴

発生状況:
これまでの患者発生状況から世界的に分布していると考えられている。1976年に最初の人体症例、82年以降には米国でAIDS患者の重篤な併発例が確認されて注目されるようになり、わが国では86年以降3例の報告がある。比較的患者発生数の多い欧米諸国の報告を見ると、ときに突発的流行が見られる小児下痢症や海外旅行者下痢症の原因、あるいは免疫不全患者に重篤な日和見感染を起こす可能性が高いと示唆されている。男性同性愛のAIDS患者に多いのは oral-anal sexにより糞便中のオーシストが口に入るためである。
感染源:
ウシ、そのほかの家畜、野生動物が保虫宿主であるほか、オーシストを排出する患者が感染源である。
伝播様式:
汚染飲食物や手指を介するオーシストの経口感染。
潜伏期:
4〜5日ないし10日間程度と考えられている。
伝染期間:
患者や感染動物が糞便中にオーシストを排出する期間。すなわち、発症から症状消失後数週間に及ぶ。また、自然界に放出されたオーシストは湿環境下では2〜6ヶ月感染性を保持するといわれる。
ヒトの感受性:
普遍的で成人よりも小児の方が感受性が高い。ただし、免疫能が正常であれば不顕性感染、または発症しても自然治癒する傾向が高い。免疫不全患者、特にAIDS患者では重篤な感染を起こし、AIDS患者の26%に本症による下痢がみられたとする報告がある。

3.予防対策

方針:
清潔保持ならびにオーシストによる飲食物の汚染防止に努める。 ただし、オーシストは乾燥や60℃以上の高熱には弱いが、病院内で常用されている消毒薬では死滅しない。また、本種の自然感染がみられる家畜、ペット動物、ネズミなどの糞は感染源になるので、特に免疫不全患者との接触をさけさせる。
防疫:
1.個人衛生および感染防止に関する衛生教育の徹底。 2.患者糞便および動物排泄物の衛生処理。 3.下痢症状をみるウシなどの動物に接触した場合は手洗いの励行。
流行時対策:
感染源とその伝播経路を確定し、清潔保持と糞便の衛生処理により、感染防止を図る以外に方策はない。
国際的対策:
特別なものはない。
治療方針:
特効薬は知られていないが、スピラマイシンがある程度有効とされている。

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横浜市衛生研究所 感染症・疫学情報課 - 2008年4月1日作成
ご意見・問合せ:kf-eiken@city.yokohama.jp - 電話:045-370-9237 - FAX:045-370-8462
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