横浜市トップページ > 健康福祉局 > 横浜市衛生研究所 > 横浜市感染症情報センター > 疾患別情報 > クロストリジウム-ディフィシル感染症について
クロストリジウム-ディフィシル(あるいはクロストリジウム-ディフィシレ)感染症(Clostridium difficile infection:CDI)については、病院・老人施設等における入院患者・入居者等での集団発生が見られることがあります。院内感染を起こす菌としてMRSA(methicillin-resistant Staphylococcus aureus : メチシリン耐性黄色ブドウ球菌。マーサ)等とともに注意する必要があります。
クロストリジウム-ディフィシル感染症は、すべての年齢層で見られますが、65歳以上の老人での発生が多いです。また、老人に限らず、免疫機能が低下している人たちでの発生が多いです。他の感染症を治療するために抗生物質を使用することが、クロストリジウム-ディフィシル感染症を誘発する最も主要な要因です。クロストリジウム-ディフィシルは、多くの抗生物質が無効です。抗生物質や抗がん剤等の使用が、人間がもともと持っているクロストリジウム-ディフィシル感染症に対しての防御の仕組み(人間の腸内では、種々の腸内細菌がバランスをとって共存してクロストリジウム-ディフィシルの増殖を抑制している)を弱めます。正常な腸内細菌叢が損なわれて、増殖したクロストリジウム-ディフィシルがA毒素(Toxin A) 、B毒素(Toxin B) などの毒素を産生し、下痢などの症状を発症します。感染した人の便中にクロストリジウム-ディフィシルは出てきます。便中に出てきたクロストリジウム-ディフィシルで汚染された器物や手などを介して、人の口や粘膜に到達して、他の人も感染していく可能性があります。病院・老人施設等において、医療従事者や介護者が、クロストリジウム-ディフィシルで汚染された器物や手などを介して、入院患者・入居者の感染を広げて行く可能性もあります。
病院・老人施設等の施設内での感染ではないクロストリジウム-ディフィシル感染症も少ないですが知られていて重症例もあります。そのような場合の感染源はよくわかりませんが、他の健康な保菌者(健康人の2-15%からクロストリジウム-ディフィシルが検出されます)との接触や、クロストリジウム-ディフィシルを含む食物の摂取、病院・老人施設等への出入りなどが可能性として考えられます。そのような場合の患者は、病院・老人施設等の施設内での患者に比較すると、より若く、もともとがより健康で、抗生物質の使用もより少ないです。
健康な保菌者については、抗毒素-IgG抗体の抗体価が高値のため発症しないこと等が考えられます。
クロストリジウム-ディフィシルが腸内に定着している病院内の患者の50%以上が下痢症状の見られない保菌者であったとの調査研究もあります。
クロストリジウム-ディフィシルで汚染された器物が病院・老人施設等の施設内で感染を広げた例としては、ポータブルトイレ(参考文献3; 二人の成人が共用して)、新生児用の風呂桶、電話機、直腸用電子体温計の持ち手部分などがあります。
クロストリジウム-ディフィシル感染症については、クロストリジウム-ディフィシル関連疾患(Clostridium difficile ‐associated disease [CDADあるいはCDD])とも呼ばれます。
新聞報道等によれば、2010年2月、埼玉県内のX病院で入院患者12人(31−91歳)がクロストリジウム-ディフィシルに集団感染し、うち1人(71歳男性)が死亡しました。死亡した男性は脳出血で入院中で、抗生物質の投与を受けていましたが、2月17日に下痢発症、18日午前に重症化、18日夜に敗血症で死亡したとのことです。下痢等が見られた他の患者については重症化は見られなかったとのことです。なお、感染した12人のうち、死亡した男性を含む60−91歳の男女10人から検出された菌を国立感染症研究所で遺伝子検査を行った結果、毒性の強い株ではなかったとのことです。
クロストリジウム-ディフィシルは、多くは抗生物質の長期使用時に、下痢症・腸炎を起こすことがあります(抗生物質の使用が見られない場合もあります)。抗生物質の使用に関連して見られる下痢症の20-30%をクロストリジウム-ディフィシルが起こしています。下痢症は水様の下痢あるいは泥状便で、発熱、食欲不振、吐き気、腹痛、脱水などが見られることもあります。消化管に偽膜が形成される偽膜性大腸炎(pseudomembranous colitis : PMC)を起こすこともあります(偽膜性大腸炎では大腸内視鏡検査により、結腸の部分にほぼ円形に隆起した白色あるいは黄白色の偽膜が認められます)。軽い下痢症状に留まる場合もあれば、重症となり、腸閉塞・消化管穿孔・敗血症を起こしたり、死亡する場合もあります。
治療としては、誘因となっていると思われる抗生物質や抗がん剤等の使用を中止します。抗生物質の中止後2、3 日以内に23%の患者でクロストリジウム-ディフィシル感染症の症状が改善するとされています。中止後2、3 日で下痢等の症状が改善しない場合や重篤な場合は、メトロニダゾール(metronidazole)やバンコマイシン(vancomycin)といったクロストリジウム-ディフィシルに有効な抗生物質による内服治療を行います。バンコマイシンの使用は他の腸内の細菌の耐性を強めてしまう恐れもあるとしてメトロニダゾールの使用を推奨する考え方もあります。ただし、メトロニダゾールには神経毒性があり、再発時に繰り返し使用することや長期に使用することは避ける必要があります。消化管穿孔の場合等、外科手術が必要な場合もあります。
クロストリジウム-ディフィシルの曝露を受けてから、クロストリジウム-ディフィシルが腸内に定着しクロストリジウム-ディフィシル感染症を発病するまでの潜伏期間は中位数で2-3日程度です。
クロストリジウム-ディフィシル感染症については、6-25%の患者で再発が見られることがあります。再発を繰り返す患者もいます。再発については、以前からの株による再燃もありますが、別の株による新たな感染もあります。再発の危険因子としては、新たな抗生物質の使用や、クロストリジウム-ディフィシルが産生するA毒素に対する不完全な免疫などがあります。
メトロニダゾール(metronidazole)やバンコマイシン(vancomycin)による治療終了後、3-28日後に下痢・大腸炎を発症し、数年にわたり下痢・大腸炎を繰り返す人もいます。
アメリカ合衆国のHIV感染者において、クロストリジウム-ディフィシルは、細菌性の下痢症を起こす主要な病原体となっています。
クロストリジウム-ディフィシル(Clostridium difficile :CD)という細菌が病原体です。菌名の内、ディフィシル(difficile )については、クロストリジウム-ディフィシルが空気に大変弱い偏性嫌気性菌であるため分離・培養が難しい(difficult)ことに由来します。アルコール消毒が無効な芽胞も形成します。クロストリジウム-ディフィシルの産生する主な毒素として、A毒素(Toxin A ;TcdA ; 以前はenterotoxin[腸毒素]とも呼称。TcdAで、TはToxin[毒素]、cdはClostridium difficileの略) とB毒素(Toxin B ;TcdB ; 以前はcytotoxin[細胞毒素]とも呼称。組織培養で強い細胞毒性を示します) とがあり、クロストリジウム-ディフィシルは、A毒素陽性・B毒素陽性株、A毒素陰性・B毒素陽性株、A毒素陰性・B毒素陰性株に分類できます。A毒素陽性・B毒素陽性株、A毒素陰性・B毒素陽性株が下痢症・腸炎を起こすことがあります。A毒素が検出されないA毒素陰性・B毒素陽性株の存在にも注意する必要があります。A毒素とB毒素とを糞便から検出する簡易検査キットがあります。近年では、クロストリジウム-ディフィシルの産生する毒素として、A毒素とB毒素の他に、第三の毒素として、クロストリジウム-ディフィシル二元毒素(Clostridium difficile binary toxin)あるいは二元毒素CDT(binary toxin CDT[Clostridium difficile transferase])が知られています。CDTの表記については、他の細菌によって産生される"cytolethal distending toxins"と混同される恐れがあるため、単独で"CDT"とは表記せず、混同を避けるため"binary toxin CDT(二元毒素CDT)"と表記する方が良い(参考文献15)ともされていますが、クロストリジウム-ディフィシル関係の論文では略称としてよく単独で"CDT"と表記されていることがあります。二元毒素は、ADP-ribosyltransferase活性があり、二つの構成部分からなります。A毒素・B毒素・二元毒素のいずれも産生しない株を、毒素非産生株(nontoxigenic strains)と呼びます。
近年、アメリカ合衆国・カナダ・欧州では、027型(PCR ribotype 027)という毒性の強い株の検出が増えていて、集団発生の原因ともなっています。この027型は、二元毒素を産生し、より多くのA毒素(16倍)・B毒素(23倍)を産生し、フルオロキノロン系の抗生物質により耐性があり、より重症化が見られます。フルオロキノロン系の抗生物質が良く使われる病棟では、フルオロキノロン系の抗生物質に強い耐性がある株の方が広がりやすいです。日本においても、027型クロストリジウム-ディフィシルが分離されたことが報告されています(参考文献1)。2005年に偽膜性大腸炎の30歳女性患者の便から分離されたのが、日本における初めての027型の分離として報告されています。
027型の株については、BI/NAP1/027あるいはNAP1/BI/027と記述されることもあります。BI/NAP1/027については、異なる検査法による分類を羅列したもので、"restriction endonuclease analysis[REA] pattern: BI, North American pulsed-field gel electrophoresis[PFGE] pattern: type 1, PCR ribotype: 027"の略です。
ヨーロッパでは、027型以外にも、018型(PCR ribotype 018)、056型(PCR ribotype 056)などが毒性の強い株として認められています(参考文献11)。
アメリカ合衆国・カナダでは、近年、人間でクロストリジウム-ディフィシル感染症を起こす可能性があるクロストリジウム-ディフィシルの株(027型・078型)が、牛肉・豚肉・七面鳥肉などの小売の肉(挽き肉やソーセージなど)で見られることがあります(参考文献16)。どうして小売の肉(挽き肉やソーセージなど)で見られるのかは、よくわかっていません。また、クロストリジウム-ディフィシルを含む食物を食べて多くの人がクロストリジウム-ディフィシル感染症となった例は知られていません。人間が動物の肉を食べることによって動物から人間への感染があるとしても、発病はまれで、人間のクロストリジウム-ディフィシル感染症の内のほんのわずかな部分にすぎないと考えられます。また、馬や、犬・猫等の健康な愛玩動物からもクロストリジウム-ディフィシルが検出されることがあります。愛玩動物から人が感染してクロストリジウム-ディフィシル感染症となった例は報告されていません。但し、医療施設・介護施設の入所者を訪問する犬から027型クロストリジウム-ディフィシルが分離されたことがあり、027型によるクロストリジウム-ディフィシル感染症が多発した医療施設を訪問した際に犬が感染したのではないかと考えられました(参考文献17)。この犬は4歳のトイ・プードルで、カナダのオンタリオで週一回、医療施設・介護施設の入所者を訪問していましたが、2004年夏の検便でA毒素・B毒素・二元毒素を産生する027型クロストリジウム-ディフィシルが分離されました。この犬が訪問していた医療施設の感染症管理医によれば、当時、病棟でクロストリジウム-ディフィシル感染症が多発していたとのことでした。
なお、クロストリジウム-ディフィシルは、生まれて間もない豚で病気(下痢)を起こすことがあります。
クロストリジウム-ディフィシルは、多くの健康なこどもの便から検出されます。1935年、クロストリジウム-ディフィシルは、健康な乳幼児の腸内で見られる細菌として、最初に記述されました。その後、1970年台半ばまで注目を集めることはありませんでした。
1970年台半ば、クリンダマイシンという抗生物質で治療した患者の10%で大腸炎が起こることが報告されました。抗生物質の使用の増加とともに、抗生物質が関連した大腸炎が増加し、クロストリジウム-ディフィシルと大腸炎との関わりが明らかになっていきました。抗生物質が関連した下痢の15-25%にクロストリジウム-ディフィシルが関与しているとされています。
クロストリジウム-ディフィシルが健康なこどもの便から検出される率は、1歳未満の乳児期に高く、1歳を過ぎると明らかに低下します。クロストリジウム-ディフィシルがこどもの便から検出される率は、生後1か月未満の新生児期で高くすべての新生児の67%にも達することがありますが、生後1か月を過ぎるとその検出率は減少しクロストリジウム-ディフィシル感染症にもかかりやすくなります。クロストリジウム-ディフィシルが多く検出される乳児で下痢を起こさない理由としては、乳児の未熟な腸管ではクロストリジウム-ディフィシルの毒素の受容体がまだ表出していないためではないかと考えられています。クロストリジウム-ディフィシルが健康な成人の便から検出される率は、スウェーデンの2%から日本の15%まで国により差があります。
病棟において、病室内の表面のクロストリジウム-ディフィシルによる汚染は、病室の入院患者の状態によって違います。便の培養検査で陰性の患者の病室で8%未満、便の培養検査で陽性だが下痢症状がない患者の病室で8-30%、クロストリジウム-ディフィシル感染症患者の病室で9-50%とされています。
クロストリジウム-ディフィシル(Clostridium difficile )は、Clostridium 属に属する細菌です。Clostridium 属に属する細菌は、酸素が少なくても増殖する嫌気性菌であり、過酷な環境でも生き残る芽胞を形成します。Clostridium 属に属する細菌としては、他に、破傷風菌( Clostridium tetani : tetanus bacillus )、ウエルシュ菌( Clostridium perfringens )、ボツリヌス菌( Clostridium botulinum )、 Clostridium sordellii、 Clostridium novyiなどがあります。
病院・老人施設等における入院患者・入居者等での集団発生を防ぐためには、手洗いの徹底により、患者・医療従事者・介護者がクロストリジウム-ディフィシルを他の人へと運ばないことが大切です。医療従事者・介護者は入院患者・入居者等との接触の前後で石ケンと流水での手洗いを徹底しましょう。アルコールによる手の消毒は、クロストリジウム-ディフィシルの芽胞には無効です。特に排泄物の処理には気をつけましょう。近年多用されているアルコールによる手の消毒は、特に下痢症の原因となるクロストリジウム-ディフィシルやノロウイルスなどには無効である点に留意する必要があります。環境の消毒には次亜塩素酸ナトリウムが有効です。環境の消毒用の次亜塩素酸ナトリウムとしては、有効塩素濃度が1000ppm以上(理想的には5000ppm)が推奨されますが、高濃度になると刺激性・腐食性が強まる等の有害性にも注意する必要があります。内視鏡等の医療器具の殺菌消毒として、2%グルタルアルデヒドが使用されることもあります。また、病院・老人施設内において抗生物質の使用を必要最少限にする努力も大切です。
アメリカ合衆国のある病院において、病棟・外来でのアルコール(62.5%エチルアルコール)による手の消毒の導入前の3年間(1998-2000年)と導入後の3年間(2001-2003年)で、新たな院内感染でのMRSA(メシチリン耐性黄色ブドウ球菌)とVRE(バンコマイシン耐性腸球菌)とクロストリジウム-ディフィシルの分離状況を比較した調査研究があります(参考文献13)。平均年間発生について、MRSAは90例から71例へと21%の減少、VREは41例から24例へと41%の減少でしたが、クロストリジウム-ディフィシルの分離は実質的に増減はなく不変でした。
病棟においては、他の入院患者に感染を広げないように、クロストリジウム-ディフィシル感染症の患者は個室での管理が原則となります。あるいは、クロストリジウム-ディフィシル感染症の患者だけを集めた病室とします(患者のコホーティング[cohorting : 集団隔離])。聴診器・血圧計・体温計・車椅子・便器もクロストリジウム-ディフィシル感染症の患者専用のものとします。クロストリジウム-ディフィシル感染症の患者との接触には手袋とガウンを着用し、一回限りの使い捨ての医療器具、あるいは、使い捨てでなければ違う患者に使用のたびに消毒しなおして医療器具を使います。
病棟においては、クロストリジウム-ディフィシル感染症の頻度や重篤度が上昇しないか、監視を継続することが必要です。頻度や重篤度の上昇が見られた場合には、早急な対策が必要です。
健康体の人は、通常、クロストリジウム-ディフィシル感染症にはなりにくいです。健康体を保つようにしましょう。また、特に、トイレの後や食事の前には、石ケンと流水とで手をよく洗いましょう。
クロストリジウム-ディフィシルに対するトキソイドワクチンが開発途上にあります。A毒素とB毒素とをホルマリンで不活化したトキソイドワクチンです。クロストリジウム-ディフィシル感染症については再発が見られることがあるため、再発予防の効果も開発途上のワクチンに期待されています。
プロバイオティクス(probiotics)とは、口腔内や腸内の細菌叢を改善して健康に役立つ微生物、及び、その微生物の増殖を促進する物質です。ヨーグルト、納豆などが身近です。様々なプロバイオティクスがクロストリジウム-ディフィシル感染症の予防のために試みられています。微生物としては、Streptococcus thermophilus、Lactobacillus casei、Lactobacillus bulgaricus、Saccharomyces boulardiiなどです。
アメリカ合衆国では酵母のSaccharomyces boulardii の経口摂取がクロストリジウム-ディフィシル感染症の発症予防に用いられることがあります。クロストリジウム-ディフィシル感染症をメトロニダゾール(metronidazole)やバンコマイシン(vancomycin)で治療する際に、酵母のSaccharomyces boulardii の経口摂取を併用することでクロストリジウム-ディフィシル感染症の再発予防の効果があるかどうかを見た研究があります(参考文献5)。初回のクロストリジウム-ディフィシル感染症の治療では効果が見られませんでしたが、再発のクロストリジウム-ディフィシル感染症の治療では効果が見られました。Saccharomyces boulardii 以外に再発のクロストリジウム-ディフィシル感染症の治療・予防に有益とされるプロバイオティクスは、今のところありません。しかしながら、免疫が抑制された患者や中心静脈路が確保された患者で菌血症が見られたことがあり、重篤な状態の患者へのSaccharomyces boulardii の投与は避けるべきでしょう。
Saccharomyces boulardii は、ライチーの実で見つけられた酵母で、人間の腸内には通常は存在しません。生菌を服用すると、胃酸には強く、生きたまま腸内に到達します。薬物動態的には、Saccharomyces boulardii の腸内での半減期は6時間であり、3日間の経口投与の継続で腸内での定常状態(最大値)に達します。しかし、服用の中止により2-5日で便中から検出されなくなります。
米国医療疫学学会・米国感染症学会の2010年改訂版「成人クロストリジウム-ディフィシル感染症診療指針」(参考文献12)によれば、初回のクロストリジウム-ディフィシル感染症の予防のためのプロバイオティクスの投与は推奨されていません。菌血症・敗血症を起こす可能性もあり、評価のためには更なる調査研究が必要としています。
生来の腸内細菌叢の破壊がクロストリジウム-ディフィシル感染症の発病、特に再発の主たる危険因子と考えて、クロストリジウム-ディフィシル感染症の予防のために、胃チューブや浣腸によって健康な提供者の便を腸内に注入する試みが行われています(参考文献14)。このような「便移植(stool transplantation)」では、提供者から病原体が伝播しないよう、提供者の十分な検査も必要です。血液検査で、肝炎ウイルス(A型・B型・C型)、HIV(1型・2型)、Treponema pallidum(梅毒の病原体)などの感染について調べます。便検査で、寄生虫、クロストリジウム-ディフィシル、その他の腸管感染症の病原体などの感染について調べます。
2010年3月24日掲載
2010年4月15日増補
2011年12月16日改訂増補