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カンピロバクター感染症について

流行は?

 アメリカ合衆国では、細菌による下痢としては、カンピロバクターによる下痢がもっとも多いです。アメリカ合衆国では、毎年、総人口の1%にあたる200万人以上の人がカンピロバクターによる下痢にかかっていると推計されています。カンピロバクターによる下痢は、冬季よりは夏季に多いです。年齢的には、こどもと若い大人にカンピロバクターによる下痢は多いです。女性より男性に、カンピロバクターによる下痢は多いです。カンピロバクターによる感染症は通常は死因とはなりませんが、アメリカ合衆国では、毎年500人の人がカンピロバクター感染症で亡くなっていると推計されています。厚生労働省の「食中毒事件発生状況(平成12年)」によれば、2000年の日本では、一年間に、カンピロバクターによって、469件の食中毒事件が発生し、患者1784人、死者0人が発生しています。

どんな病気?

 カンピロバクター感染症は、カンピロバクター属( genus Campylobacter )の細菌によって起こされる感染症です。カンピロバクター属( genus Campylobacter )の細菌を摂取してから、2-5日後に下痢、腹痛、発熱といったカンピロバクター感染症を起こします。下痢は血液を混じることがあり、嘔気・嘔吐が見られる場合もあります。症状は1週間程度持続します。しかし、中には、不顕性感染と言って、感染しても何の症状もない人もいます。また、免疫が弱まった人では、敗血症を起こし、命にかかわるような重症になってしまう場合もあります。

 カンピロバクター感染症は、特別な治療なしに回復することが多いです。患者は、下痢で失う水分を充分に補っていく必要があります。重症の場合などには、エリスロマイシンやfluoroquinolone系の抗生物質が使われることがあります。早めに使えば、症状の持続期間が短くなります。

 カンピロバクター感染症は、2-5日で治ってしまう場合が多いのですが、治るまでに10日間もかかるような場合もあります。まれに、カンピロバクター感染症の後、長期にわたる続発症が起こることがあります。カンピロバクター感染症の後、関節炎になる人がいます。下痢症状の数週間後に始まるまれな神経の病気となる人もいます。ギラン・バレー症候群( Guillain-Barr syndrome )と呼ばれる神経の病気で、免疫システムが自分自身の神経を襲うように引き金を引かれて起こり、数週間持続する麻痺となり、入院治療を必要とします。アメリカ合衆国では、1000人のカンピロバクター感染症の報告例に対して約1人の割合でギラン・バレー症候群になっています。アメリカ合衆国では、ギラン・バレー症候群の患者の40%が、カンピロバクター感染症がきっかけとなっています。

 カンピロバクター感染症の大部分は、生の鶏肉を扱うこと、あるいは生や加熱が不充分な鶏肉を食べることと関係しています。500個未満といったたいへん少量のカンピロバクター属( genus Campylobacter )の細菌でも、人に病気を起こすことができます。生の鶏肉からのしずく一滴でも、人に病気を起こすことができます。まな板の上で生の鶏肉を切り、まな板を洗わずに、まな板をつかってサラダを用意したような場合にカンピロバクター感染症となることがあります。カンピロバクター属( genus Campylobacter )の細菌が、生の肉から他の食物へと広がってしまうことがあります。カンピロバクター属( genus Campylobacter )の細菌が人から人へと広がることはあまりないのですが、患者が小さなこどもであったり、下痢症状がひどい場合には、起こりえます。生の牛乳や水がカンピロバクター属( genus Campylobacter )の細菌に汚染されてカンピロバクター感染症が集団発生することがあります。動物も感染することがあるので、犬や猫から感染する人もいます。

 なお、日本の厚生労働省によれば、2003年に発生したカンピロバクター食中毒のうち、原因食品として鶏肉が疑われるものが89件、牛生レバーが疑われるものが10件認められているとのことです。また、厚生労働科学研究食品安全確保研究事業「食品製造の高度衛生管理に関する研究」主任研究者:品川邦汎(岩手大学教授)において、健康な牛の肝臓及び胆汁中のカンピロバクター汚染調査を行ったところ、胆嚢内胆汁236検体中60検体(25.4%)、胆管内胆汁142検体中31検体(21.8%)、肝臓236検体中27検体(11.4%)がカンピロバクター陽性だったとのことです。これらのことを踏まえて、厚生労働省ホームページに「牛レバーによるカンピロバクター食中毒予防について(Q&A)」が掲載されていますので参照してください。

 ニワトリがカンピロバクター属( genus Campylobacter )の細菌に感染していても何の症状もありません。汚染した糞あるいは汚染した水のみ場の水との接触で鳥から鳥へとカンピロバクター属( genus Campylobacter )の細菌は、簡単に広がっていきます。そして感染している鳥が処分されたとき、腸から肉へとカンピロバクター属( genus Campylobacter )の細菌が移ります。アメリカ合衆国では、市場における生の鶏肉の半数以上にカンピロバクター属( genus Campylobacter )の細菌が付着しています。カンピロバクター属( genus Campylobacter )の細菌は、肝臓のようなトリの臓物にも付着しています。

 感染した野鳥や動物の糞との接触により、カンピロバクター属( genus Campylobacter )の細菌によって河川や泉の水が汚染していることがありえます。カンピロバクター感染症は、発展途上国ではよりありふれた病気であり、発展途上国への旅行もカンピロバクター感染症になる機会といえます。

病原体は?

 カンピロバクター( Campylobacter )のカンピロは「曲がった」という意味のギリシャ語に由来します。「カンピロバクター」では、「曲がった細菌」ということになります。カンピロバクター属( genus Campylobacter )の細菌は、らせん形をした細菌で、人および動物に感染し病気を起こします。人のカンピロバクター感染症の内の大部分は、一つの種である Campylobacter jejuni によって起こされます。人のカンピロバクター感染症の内の1%程度は、他の種であるCampylobacter coli Campylobacter hyointestinalis などによって起こされます。鳥は病気になることなく、その腸内にCampylobacter jejuni をもっていることがあります。カンピロバクター属( genus Campylobacter )の細菌は、乾燥に弱く、通常の大気の酸素濃度のもとではだんだんと死滅していきます。微好気といって希薄な酸素濃度のもとで増殖する性質を持っています。

予防のためには・・・

1. 鶏肉は、徹底的に加熱しましょう。中の肉がビンク色でなくなり、肉汁が出なくなるまで加熱しましょう。

2. レストラン・食堂で加熱不充分な鶏肉を出されたら、さらに加熱するようにさせましょう。

3. 動物の生の肉を扱う前後には石鹸を使って手をよく洗いましょう。また、動物の生の肉を扱った後は、すぐにまな板や包丁等を洗剤等を使ってよく洗いましょう。洗うことなしに続けて他の食物を調理してはいけません。肉用のまな板は別にした方がよいです。

4. 生の牛乳や生水を飲むことは控えましょう。

5. 下痢症状のある人は、トイレの後の手洗いを石鹸を用いてしっかりしましょう。

6. 動物やペットの糞を扱った後は、手洗いを石鹸を用いてしっかりしましょう。

7. 牛レバーはよく加熱して食べましょう。

2001年8月8日初掲載
2005年2月21日増補

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横浜市衛生研究所 感染症・疫学情報課 - 2008年4月1日作成
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