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伝染性紅斑について

流行は?

  世界中で見られる感染症です。春に主に流行します。こどもや思春期の人たちの間で、限られた地域や集団の中での流行となる場合が多いです。

  横浜市の場合、春から夏にかけて流行が見られることがあります。

  日本においては、伝染性紅斑は、感染症法での5類の小児科定点把握疾患であり、全国約3000の小児科定点医療機関で患者発生が把握されています。届出基準はこちら(PDF版)です。2000-2006年の全国の小児科定点医療機関あたり伝染性紅斑患者年間年齢別発生報告数は、下のグラフのとおりです。年齢別では5歳が最も多いです。0歳から発生は見られます。0歳では生後6か月以降の発生が多いです。0歳以降5歳まで、小児では年齢を重ねるとともに発生は増加します。6歳以降、小児では年齢を重ねるとともに発生は減少します。一方、少ないですが20歳以上の発生報告もあります。

グラフ(2000-2006年の全国の小児科定点医療機関あたり伝染性紅斑患者年間年齢別発生報告数)

どんな病気?

  こどもたちによく見られる発疹の病気です。かかったこどもは、典型的には、発疹のため、赤いリンゴのような頬(米国では「平手打ちされた跡のような頬(slapped-cheek)」と言います。日本の方がロマンチックな表現です。)となり、そのため、日本では、リンゴ病と言われることもあります。その後1、2日の内に、レースをかけたような、あるいは、網状の赤い発疹が体幹部および四肢に出現します。発疹は、腕の露出した部分で一番強く出て、手のひらや足の裏には、ほとんど出ません。発疹がかゆい場合もあります。微熱や気分不快、あるいは、カゼ症状が、発疹が出る2、3日前にある場合もあります。こどもは、通常、それほど具合は悪くなく、発疹は7-10日で消えます。但し、数週間たってから、日光や運動、熱や発熱、精神的なストレスなどをきっかけに、発疹が再燃する場合もあります。

  伝染性紅斑の病原体であるパルボウイルスB19に対して免疫を持っていない大人も、伝染性紅斑にかかる可能性があります。大人がかかった場合には、何にも症状が出ない場合もありますが、伝染性紅斑の典型的な発疹が出たり、さらには関節の腫れ・痛みが出る場合もあります。関節としては、手の関節・腕の関節・膝の関節が多いです。関節の腫れ・痛みは、通常1、2週間でおさまりますが、数ヶ月続く場合もあります。

  パルボウイルスB19は、感染した人の呼吸器系の分泌物(例えば、唾液・痰・鼻の粘液)中に、発疹が出る前の「カゼをひいたようだ」という時期に見られます。これらの分泌物との直接の接触によって人から人へと広がります。感染した人の咳からの飛沫を吸い込んだり、感染した人と同じカップで飲んだり、感染した人と同じ道具を使ったりして、ウイルスを自分の口や鼻の粘膜に運ぶことにより感染します。手によってウイルスを運んでしまう場合もあるので、よく手を洗うことは伝染性紅斑の予防のために有効です。家庭では、感染した人と接触した人の約50%が感染します。学校での流行では、感染した人とおなじクラスの10-60%の生徒が感染します。通常、ウイルスに感染した4-14日後に発病します。但し、20日後に発病する場合もあり、潜伏期は4-20日です。パルボウイルスB19に感染した人は、発疹が現れる前の、初期の段階では、感染源となりえます。しかし、パルボウイルスB19に感染した人が赤いリンゴのような頬になった段階では、もはや感染源とはなりえないので、学校へは登校可能です。

  伝染性紅斑の流行中にパルボウイルスB19に感染しても、何の症状も示さない大人やこどもが、約20%います。また、感染しても典型的な症状を示さずカゼのような症状だけの人もいます。しかし、症状の有無にかかわらず、感染すれば、ちゃんとした免疫が獲得されます。

  パルボウイルスB19による感染は、鎌状赤血球症あるいはこれと近似のタイプの慢性貧血症の人たちでは、急性の重い貧血を起こす場合があります。このような患者では、典型的な発疹が見られない場合が多く、患者は青ざめ息切れが強くなるので、早急に主治医の治療を受ける必要があります。

  免疫システムに問題がある人たちでは、パルボウイルスB19の感染により、治療が必要な慢性の貧血となる場合もあります。白血病あるいは癌がある人、先天性免疫不全の人、臓器移植を受けた人、HIV感染症の人などは、パルボウイルスB19の感染により、深刻な合併症に陥る可能性があります。

  伝染性紅斑は、健康な妊娠・出産のために注意したい感染症の一つです。
  妊娠中は、パルボウイルスB19の感染により重大な合併症が起きる可能性があります。風疹と同様に、伝染性紅斑では、パルボウイルスB19は胎盤を通過して胎児に感染を起こし、流産・死産や胎児の浮腫と貧血(胎児水腫)を起こすことがあります。妊娠前期の母親のパルボウイルスB19の感染による胎児死は、10%未満です。妊娠後期の母親のパルボウイルスB19の感染による胎児死は、もっと低い確率です。

  伝染性紅斑は、英語では、fifth disease(第五病)とも呼ばれます。第一病が麻疹、第二病がしょう紅熱、第三病が風疹、第四病がこれらに似た赤い発疹が現れる今となっては実体がはっきりしない病気というような分類が以前からあり、比較的最近認識された伝染性紅斑は、これらにつぐ5番目の赤い発疹が現れる病気というわけです。なお、第六病は、突発性発疹です。

病原体は?

  病原体は、(ヒト)パルボウイルスB19です。ヒト以外の動物に感染するパルボウイルスも知られていますが、(ヒト)パルボウイルスB19はヒト以外には感染しませんし、ヒト以外の動物に感染するパルボウイルスはヒトには感染しません。

  パルボウイルス(parvovirus)は、大きさが20ナノ・メーターと小さなウイルスの仲間です。「小さい」を意味するラテン語のparvusから名前は由来します。

予防のためには・・・

  伝染性紅斑に対するワクチン(予防接種)は、ありません。

  予防法としては、よく手を洗うことが、一番です。

  発疹が出る前が、他の人にうつす可能性がある時期です。発疹が出ている人を休ませてもパルボウイルスB19の広がりを防ぐことにはならないので、伝染性紅斑は学校での出席停止の対象にはなりません。

2000年9月4日初掲載
2008年8月6日増補

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横浜市衛生研究所 感染症・疫学情報課 - 2008年4月1日作成
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