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アフガニスタンのこどもの定期予防接種について

こどもの定期予防接種のアフガニスタンと日本との違いについて

 本稿では、アフガニスタン・イスラム共和国(Islamic Republic of Afghanistan)のこどもの定期予防接種について触れます。アフガニスタン(亜富汗斯坦)は、南方・東方はパキスタン、西方はイラン、東方の一部で中国、北方は東からタジキスタン、ウズベキスタン、トルクメニスタンと国境を接します。
 まず、アフガニスタンのこどもの定期予防接種と日本のこどもの定期予防接種との違いを見てみましょう。
 両国で定期予防接種として実施している予防接種もありますが、一方の国でしか定期予防接種として実施していない予防接種もあります。表にまとめると、下の表1のとおりです。

表1. こどもの定期予防接種のアフガニスタンと日本との違い
  アフガニスタンのこどもの定期予防接種
実施 実施せず
日本のこどもの定期予防接種 実施 B型肝炎、
ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib)感染症
結核(BCG)、
ジフテリア・破傷風百日咳
ポリオ
麻疹
肺炎球菌感染症
日本脳炎
水痘風疹
ヒトパピローマウイルス16型・18型による子宮頸部癌、外陰癌、膣癌、肛門癌および
6型・11型による尖圭コンジローマ
(*)
実施せず ロタウイルスによる感染性胃腸炎 流行性耳下腺炎(ムンプス)
髄膜炎菌感染症
インフルエンザ
A型肝炎
*: HPVワクチンについては、日本では女子のみ対象。

 こどもの定期予防接種として、アフガニスタンで実施されず日本で実施されているものとしては、日本脳炎水痘風疹ヒトパピローマウイルス16型・18型による子宮頸部癌、外陰癌、膣癌、肛門癌および 6型・11型による尖圭コンジローマがあります。反対に、こどもの定期予防接種として、日本で実施されずアフガニスタンで実施されているものとしては、ロタウイルスによる感染性胃腸炎があります。

 多数のワクチンを混合したワクチン製剤がアフガニスタンでは見られます。たとえば、ジフテリア・破傷風・百日咳のワクチン(DTwP)、B型肝炎のワクチン(HepB)、ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib)のワクチン(Hib)を混合したワクチン(DTwP-HepB-Hib)があります。三つのワクチンが混合されたワクチンがあれば、個々のワクチンではそれぞれ1回ずつだと3回の接種が必要なところ、三つのワクチンが混合されたワクチンでは1回の接種で済むことになります。接種回数が少なくなれば、こどもが注射で痛い思いをする回数も少なくなります。また、接種スケジュールの設定も容易になります。

 日本でも混合ワクチンが使われてきました。ジフテリア・破傷風・百日咳の三種混合ワクチン(DTaP)、麻疹・風疹のMRワクチンなどです。ポリオの不活化ワクチン(IPV)についても、ジフテリア・破傷風・百日咳・ポリオの、四種混合ワクチン(DTaP/IPV)が2012年11月から日本でも新たに使われるようになりました。

 ポリオの常在国は、2014年において、パキスタン(306人)、アフガニスタン(28人)、ナイジェリア(6人)でした(計340人)。2015年において、パキスタン(51人)、アフガニスタン(20人)、ナイジェリア(0人)でした(計71人)。2016年において、パキスタン(20人)、アフガニスタン(13人)、ナイジェリア(4人)でした(計37人)。2017年において、パキスタン(8人)、アフガニスタン(13人)、ナイジェリア(0人)でした(計21人: 2017年12月31日現在)。今後もアフガニスタン・パキスタンナイジェリアにおけるポリオ患者発生の推移が注目されます(参考文献6)。

アフガニスタンのこどもの定期予防接種スケジュールについて

 アフガニスタンのこどもの定期予防接種の標準的なスケジュール(2018年1月27日から)は、下の表2のとおりです。2018年1月27日からロタウイルスワクチンが導入されました。生後6週間と10週間との二回接種です。なお、将来、MRワクチン(麻疹風疹混合ワクチン)を導入する計画があります。
 なお、ワクチンではありませんが、ビタミンAが、乳幼児のビタミンA欠乏症対策としてワクチンに準じて乳幼児に投与されています。生後6-11か月の乳児に対してビタミンAを一回投与します。生後12-59か月の乳幼児に対して、6か月毎に、ビタミンA(カプセル)が配布されます。母親に対しても、出産後8週間以内にビタミンAが投与されます。地域によっては、生後6か月以後に定期予防接種を受ける際にビタミンAを投与されるようになっている場合もあります。

表2. アフガニスタンのこどもの定期予防接種の標準的なスケジュール(2018年1月27日から)
接種時期 予防する感染症 接種するワクチン(英字略語表記等)
出生時 結核 BCG(1回接種: 一歳未満で、右上腕に)
ポリオ経口・生ワクチン OPV(1回目: 生後14日までにできるだけ早く)
生後6週間 ジフテリア・破傷風百日咳 DTwP(1回目)*
B型肝炎 HepB(1回目)*
ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib) Hib(1回目)*
13価肺炎球菌結合型ワクチン PCV13(1回目)
1価ロタウイルスワクチン RV1(1回目: 2018年1月27日から導入されました)
ポリオ経口・生ワクチン OPV(2回目)
生後10週間 ジフテリア・破傷風百日咳 DTwP(2回目)*
B型肝炎 HepB(2回目)*
ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib) Hib(2回目)*
13価肺炎球菌結合型ワクチン PCV13(2回目)
1価ロタウイルスワクチン RV1(2回目: 2018年1月27日から導入されました)
ポリオ経口・生ワクチン OPV(3回目)
生後14週間 ジフテリア・破傷風百日咳 DTwP(3回目)*
B型肝炎 HepB(3回目)*
ヘモフィルスインフルエンザb型菌(Hib) Hib(3回目)*
ポリオ不活化ワクチン IPV(1回接種: 2015年9月30日から導入されました)
13価肺炎球菌結合型ワクチン PCV13(3回目)
ポリオ経口・生ワクチン OPV(4回目)
生後9ヶ月 麻疹 Measles(1回目)
ポリオ経口・生ワクチン OPV(5回目)
生後18ヶ月 麻疹 Measles(2回目)
15-45歳の女性 破傷風トキソイド TT(1回目:受診時あるいは妊娠中できるだけ早く)
TT(2回目:1回目の4週間後)
TT(3回目:2回目の6ヶ月後)
TT(4回目:3回目の1年後)
TT(5回目:4回目の1年後)
*:アフガニスタンでは、DTwP-HepB-Hibという5種混合ワクチンで接種されます。

 複数のワクチン製剤を同じ日に接種する場合には、複数のワクチン製剤を同じ注射器に吸い上げて混合して用いるようなことをしては、いけません。それぞれのワクチン製剤を別々の注射器に吸い上げて、できるだけ離れた部位に接種します。たとえば、一方のワクチンを右腕に接種したら、もう一方のワクチンを左腕に接種するというように接種します。限られた部位に接種しなければならない場合でも、接種部位は2.5cm以上離します。複数のワクチン製剤を同じ日に接種する場合には、接種部位が区別できるように、それぞれの接種部位について、接種の記録に、より詳細な記述が必要です。

 なお、アフガニスタンにおける公用語はパシュトー語、ダリー語です。しかし、英語も使われていて、アフガニスタン政府のホームページには、英語表記のページがあります。

参考文献

  1. WHO vaccine-preventable diseases: monitoring system. Global summary.
     全世界の国々の予防接種スケジュール(WHO):(英語)。
  2. 欧州CDCVaccine schedule platform(欧州各国の定期予防接種スケジュール) :(英語).
  3. 日本国外務省:世界の医療事情アフガニスタン:(日本語).
  4. GAVI Alliance(ワクチンと予防接種のための世界同盟[The Global Alliance for Vaccines and Immunization])
    アフガニスタン
    :  アフガニスタンがカブール空港にワクチン貯蔵施設(2015年10月27日)
    :  アフガニスタンがポリオ不活化ワクチンを定期予防接種に導入(2015年9月30日):
    :  アフガニスタンがこどもの肺炎球菌ワクチンを定期予防接種に導入(2013年12月7日): (英語).
  5. ユニセフ(UNICEF)-アフガニスタン事務所
    : アフガニスタンが世界で初めて2価の経口生ポリオワクチンを導入(2009年12月17日)
    : カブールでのポリオワクチン接種キャンペーン(2014年4月24日)
    : アフガニスタンがロタウイルスワクチンを導入(2018年1月27日): (英語).
  6. アフガニスタン公衆衛生省(Ministry of Public Health: MoPH)
      ;ポリオ患者発生状況
      ;アフガニスタンがポリオ不活化ワクチンを定期予防接種に導入(2015年9月30日):(英語).
  7. アフガニスタン中央統計局(Central Statistics Organization: CSO);
     AMICS(Afghanistan Multiple Indicator Cluster Survey 2010-2011: アフガニスタンの女性・こどもの社会・健康・教育面の調査。UNICEFの協力でCSOが実施。): (英語).
  8. WHO : Afghanistan
    Afghanistan introduces rotavirus vaccine to protect infants and young children against severe diarrhoea, 27 January 2018.
  9. Raveesha R. Mugali, et al. BMC Public Health (2017) 17:290. Improving immunization in Afghanistan: results from a cross-sectional community-based survey to assess routine immunization coverage. DOI 10.1186/s12889-017-4193-z (PDF版).

2016年4月21日初掲載
2018年2月5日増補改訂

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横浜市衛生研究所 感染症・疫学情報課 - 2016年4月21日作成
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