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紫外線と皮膚・眼について

はじめに

 日本では、春から初秋にかけてが紫外線(UV)の強い季節です。紫外線の浴びすぎは、健康に悪影響を与えます。紫外線が強い4月から9月にかけては、紫外線の浴びすぎに注意しましょう。
 また、春から初秋にかけて以外の季節でも、周囲の状況に応じて注意が必要です。たとえば、冬の季節では、一面の雪面は紫外線の反射が強いです。一面の雪面の中での活動は、紫外線の反射により日焼けならぬ雪焼けや雪眼(ゆきめ : 紫外線角膜炎)等を生ずる恐れがあり、サングラス等の紫外線対策が必要です。

紫外線とは?

 紫外線は、太陽光線(日光)の一部です。紫外線は、赤外線とともに、眼では光として感じることができない光線の一つです。可視光線は、眼で光として感じることができる光線で、波長は400-770nmです。なお、nm(ナノ・メートル)は長さの単位で、1nmは10億分の1 メートルです。可視光線の波長400nm付近は紫色、波長770nm付近は赤色です。赤外線の波長は、770nm以上、紫外線の波長は400nm以下です。紫外線(UV : ultraviolet)は、波長の違いによる生物学的影響の違いも踏まえ、光の波長によりUVA( ultraviolet A : A領域紫外線、長波長紫外線 ; 波長320-400nm)、UVB( ultraviolet B : B領域紫外線、中波長紫外線 ; 波長290-320nm)、UVC( ultraviolet C : C領域紫外線、短波長紫外線 ; 波長 200-290nm) の三種類に分けられます。なお、紫外線の波長による分類については、1932年の第二回国際光線会議で最初に提案されたUVAを315-400nm、UVBを280-315nm、UVCを100-280nmとする分類もあります。
 下の図1をご覧ください。

紫外線波長による成層圏オゾン層透過の違い

 地表から10キロから50キロメートルの高度にある成層圏のオゾン層を、太陽光線(日光)に含まれる紫外線の内、UVAは通過し、UVBは一部通過し、地表に到達(UVAは約90%が到達。UVBは約10%が到達)するのに対し、UVCは通過せず、地表に到達しません。太陽光線(日光)による紫外線対策としては、UVA、 UVBに対する対策が必要です。なお、地上では、溶接アーク灯や殺菌灯などからUVCの発生が見られます。
 UVBについては、成層圏のオゾン層を通過する距離が長ければ長いほど、地表に届くUVBは弱くなります。下の図2をご覧ください。

太陽の位置による太陽光線の成層圏オゾン層通過距離の違い

 太陽が頭の真上にあるようなA地点で受けるUVBと太陽が低い位置に見えるD地点で受けるUVBとを比較すると、成層圏のオゾン層を通過する距離がD地点では長いため、D地点で受けるUVBの方が弱まっています。A地点とD地点とを比較すると、紫外線についてA地点の方が要注意となります。1日の中で見れば、A地点はお昼ごろ、D地点は朝夕となります。地球の緯度で見れば、A地点は赤道付近の熱帯地方、D地点は北極や南極に近い寒い極地となります。季節で見れば、A地点は夏至の頃(6月22日頃)、D地点は冬至の頃(12月22日頃)となります。また、高度では、高い所の方が、低い所よりも、強い紫外線を受けます。標高が1000メートル高くなるごとにUVBは10-12%増加します。
 地表面等の平面における紫外線の反射率は、その組成により異なり、雪で88.0-50.0%(新雪の方が高い)、家の白い塗料で22.0%、乾いた砂浜で18.0-15.0%、湿った砂浜で7.1%、コンクリート歩道で12.0-8.2%、灰色の古いアスファルト舗道で8.9%、黒い新しいアスファルト舗道で4.1%、繊維ガラス製の船の甲板で9.1%、木製の船の甲板で6.6%、海の泡立つ波で30.0-25.0%、海面で8.0%、水面で3.3%、土で6.0-4.0%、芝生で5.0-2.0%、牧草地で1.6-0.8%です(参考文献14)。周囲に雪、砂、白壁、コンクリート、アスファルトなどが多く見られるような場所では、紫外線の反射にも気をつける必要があります。反射が多い場所では、日傘や日よけの下でも紫外線は約半分程度に弱まっているだけかもしれません。固く滑らかな表面よりは柔らかく粗い表面にしたり、反射の少ない塗装にするなどの工夫により、反射を弱めることも期待できます。また、雲は日光をある程度さえぎりますが、紫外線を充分にさえぎりません。くもりの日でも紫外線は約20-40%弱まるだけです。
 UVAは皮膚の奥まで透過し、皮膚の老化に大きく関与しています。しわ等の老化によりよく見られる皮膚の変化の内、90%までもが、日光を浴びることが関連している可能性があります。UVBは皮膚への透過が浅く、皮膚表面に大きな影響を与えます。UVBは日焼け(sunburn : サンバーン : 赤い日焼け)の主要原因です。フロンガスの放出などの影響で近年、成層圏のオゾン層が薄くなり、地表に届くUVBが強まっていることが知られています。世界的な環境面での規制の強化がなされていますが、成層圏のオゾン層がもとどおりに回復するには、時間がかかり、約50年かかるともされています。
 なお、窓ガラスは、UVBのほとんど全部を透過させませんし、UVAの少なくとも半分を透過させません。
 また、 フロンは、塩素と炭素、フッ素でできた化合物の総称で、変質しない、燃えない、毒性がない等の性質があり、スプレーの噴射剤、エアコンや冷蔵庫などの冷媒、断熱材の発泡、半導体の洗浄など、幅広く使われてきました。ところがフロンが放出されると地上付近の大気中では壊れず、そのまま成層圏まで上昇し、そこで紫外線(UV-C)を浴びて壊れます。その際にフロンは塩素原子を放出しますが、これが連鎖反応的にオゾンを破壊するとされています。1個の塩素原子は、多いときには数万個ものオゾンを破壊するといわれています。

紫外線の皮膚への影響・・・

日焼け(sunburn : サンバーン : 赤い日焼け )および紅斑(赤くなる)

 皮膚への日光の照射は、皮膚の血管の拡張を起こし、皮膚における血液量が増加することで、赤くなり、紅斑を形成します。紅斑は、紫外線の照射後3-5時間で出現し、8-24時間後が最も顕著となり、3日間程かけて減弱して消えていきます。日光の照射が過剰であると、紅斑に留まらず、やけどのような状態となることもあります。炎症を起こし、水疱を形成し、皮がむけることもあります。海水浴などで日焼けをしすぎたと思ったら、なるべく早く冷水タオルなどで冷やすと多少軽減されます。

皮膚の黒化(黒くなる : tanning, suntan : サンタン : 黒い日焼け )

 皮膚への日光の照射により黒くなるのは、人体の防衛反応です。即時型は、UVAと一部の可視光線とによって引き起こされ、皮膚への日光の照射の最中に始まり、照射の終わりの時点で最も黒くなりますが、その後は時間の経過とともに薄くなります。即時型は、メラニンの生成を伴いません。遅発型は、皮膚への日光の照射から48-72時間後に起こり、7-10日後にピークとなります。数週間から数ヶ月黒いこともあります。遅発型は、メラニンの生成を伴います。
 日焼けサロンでは、主にUVAを照射して、黒い日焼け(サンタン)を起こします。その日焼け機器はタンニングマシンとも呼ばれます。しかし、UVAは一方で皮膚のしみを増やしたり皮膚の老化を進める可能性もあります。日焼けサロンで得られる黒い日焼け(サンタン)による赤い日焼け(サンバーン)の予防の効果としては、SPF(sun protection factor)が2から3程度の日焼け止めと同等の弱い効果と考えられています。また、ノルウェーとスウェーデンの女性を対象とした調査研究(参考文献10)では、20歳代に月に一回以上日焼けサロンに通っていた女性は、20歳代に日焼けサロンにまったく行かなかった女性と比べて悪性黒色腫の発生率が2.58倍と高かったです。なお、UVAにも弱いながら赤い日焼けを起こす作用もあるため、日焼けサロンで大量照射を受けることで、やけど状態となった事例が国民生活センターに報告されています。

悪性黒色腫以外の皮膚癌(NMSC : Nonmelanoma Skin Cancer )

 長期にわたる日光への曝露の結果、悪性黒色腫以外の皮膚癌(基底細胞癌、扁平上皮癌)が見られることがあります。悪性黒色腫以外の皮膚癌の90%以上は、UVBとの関連があると考えられています。米国においては、基底細胞癌が年間で100万人以上で発生し、扁平上皮癌が年間で20万人以上で発生しています。白色の皮膚の人たちの日光があたる部位に発生することが多く、黒色の皮膚の人たちでの発生は少ないです。治療を行えば、死に結びつくことは少ないです。
なお、人口動態統計(厚生労働省)によれば、2001年の日本での悪性黒色腫以外の皮膚癌による死亡は564人で全がん死亡の0.19%、皮膚の悪性黒色腫による死亡は500人で全がん死亡の0.17%です。合計すると、皮膚癌による死亡は年間1064人で全がん死亡の0.35%、人口10万対の死亡率は、0.8です。日本での皮膚癌の罹患数については、1998年の推計(参考文献4)で、年間6844人であり、年間罹患率は人口10万対で5.4です。
 また、全世界で悪性黒色腫以外の皮膚癌患者は、年間で200-300万人発生しています。国連環境計画(UNEP)の推測によれば、成層圏のオゾンが10%減少すると、全世界で悪性黒色腫以外の皮膚癌患者発生数が年間でさらに30万人増加すると考えられています。
 また、世界保健機関(WHO)の推測によれば、全世界での紫外線の浴びすぎによる悪性黒色腫以外の皮膚癌での死亡者数は年間12,000人に上る可能性があります。

悪性黒色腫

 メラニン(melanin)と呼ばれる茶色の色素を作る細胞がメラノサイト(melanocyte)です。メラノサイトから発生した皮膚がんが悪性黒色腫です。米国においては、年間で5万人以上の発生が見られています。米国では皮膚がんによる死亡の80%以上を悪性黒色腫が占めています。日光を短期間に大量に浴びるようなことが悪性黒色腫の発生に関係していると考えられています。悪性黒色腫は、悪性黒色腫以外の皮膚癌よりも発生が少ないですが、米国においては近年はっきりと増加しています。米国では、一生の間に悪性黒色腫となる可能性は、1930年には1500人に1人、 1980年には250人に1人、1987年には120人に1人と増加しています。米国での悪性黒色腫の増加については、地表に届く紫外線が近年増加していることや皮膚の露出が多い服装が近年好まれるようになっていること等が関連しているかもしれません。白人での発生が黒人での発生の約10倍と多いです。白人の悪性黒色腫による死亡率は、黒人の悪性黒色腫による死亡率の約5倍です。皮膚のメラニンは皮膚における紫外線の透過を減らします。悪性黒色腫は、初期に発見されれば治療(外科的切除)により助かる可能性は高いですが、転移を起こしたものは死に至ることが多いです。米国では、リンパ節へ広がったものは5 年生存率が30-40%、肝臓、骨、脳などの遠隔の臓器に転移したものは5年生存率が12%です。悪性黒色腫については、予防及び早期発見・早期治療が大事です。
 なお、全世界で悪性黒色腫患者は、年間で132,000人発生しています。国連環境計画(UNEP)の推測によれば、成層圏のオゾンが10%減少すると、全世界で悪性黒色腫の患者発生数が年間でさらに4,500人増加すると考えられています。
 また、世界保健機関(WHO)の推測によれば、全世界での紫外線の浴びすぎによる悪性黒色腫での死亡者数は年間48,000人に上る可能性があります。

皮膚の老化

 日焼け止めなしに紫外線を浴び続けることで、皮膚は、しわが多く深くなり、弾力性がなくなり、しみが増えることとなります。

口唇ヘルペスの再発

 口唇ヘルペスでは、主として単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)が、カゼや高熱のときなどに、口や唇に水疱(水ぶくれ)や潰瘍を生じます。欧米では、成人の80-90%が、単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)の抗体を持っていますが、その内の18-32%が口唇ヘルペスの再発を起こすとされています。感情的なストレス、病気、ケガ、日光(紫外線)の浴びすぎ等がきっかけとなって、口唇ヘルペスの再発が見られる場合があるとされています。
 当・横浜市衛生研究所ホームページ感染症情報「性器ヘルペス感染症について」も、ご参照ください。

紫外線の眼への影響

白内障

 紫外線は、加齢とともに見られる白内障を進行させます。緯度が低く赤道に近く、浴びる日光が多く、UVBが多いほど、白内障は多いです。世界的にみると、白内障は失明の原因の1位です(当・横浜市衛生研究所ホームページ感染症情報「トラコーマ(トラホーム)について」参照)。
 なお、成層圏のオゾンが10%減少すると、全世界で白内障患者発生数が年間でさらに160-175万人増加すると考えられています。

紫外線角膜炎

 強い紫外線により起こされる急性の角膜の炎症です。雪面での紫外線の反射は強く、「雪眼(ゆきめ : snow blindness)」という角膜炎を起こすことがあります。雪面に限らず、砂浜、砂丘、砂漠、水辺、コンクリート面など、紫外線の反射が強いときには、サングラスを着用するなど気をつける必要があります。また、アーク溶接灯から発生する紫外線により起こる角膜炎・結膜炎などを電気性眼炎といいます。アーク溶接・溶断作業などを行う作業者は、溶接用遮光保護面、防塵マスクをつけて作業を行う必要があります。紫外線に曝露して数時間以上経過してから眼の異物感、眼痛、流涙、結膜充血などで発病することが多いです。

翼状片

 眼球結膜(白目)から繊維性の組織が増殖して角膜(黒目)に翼状に侵入する疾患。通常は30歳代以上で見られ進行は早くありません。瞳孔近くまで侵入が進むと、視力障害を起こします。治療としては、外科的に切除します。戸外での活動が多い人に多く、紫外線への曝露も翼状片の一つの危険因子と考えられています。

紫外線を防ぐためには・・・

 長時間、屋外で日光を浴びるなど、日焼けの可能性があるときには、特に紫外線対策が必要です。紫外線を防ぐために、以下のことに注意しましょう。

  1. お昼の日光をできるだけ避けましょう。
     日光の紫外線は、午前10時から午後2時の間が強いです。午前10時から午後2時の間は特に日光をできるだけ避けましょう。
  2. 紫外線を99%以上遮断するサングラスを着けましょう。
     白内障などの原因となる紫外線を99%以上遮断するサングラスを着けて眼を守りましょう。ゴーグルのような形であれば、レンズの上下左右の空間からの紫外線も防ぐことができます。
     なお、色が濃いだけで紫外線の遮断が不十分なレンズは危険です。暗く感じて瞳孔が開くために目の中に入り込む紫外線の量が多くなる可能性があります。
  3. 帽子をかぶりましょう。日傘を使いましょう。
     縁が広く、眼・耳・顔・首の後を紫外線から守ってくれる帽子をかぶりましょう。縁が一方にしかない野球帽は適しません。日傘も直射日光をさえぎることに有効です。
  4. 影の中に留まりましょう。
     日光を遮断して影を作るものの影の中に留まることは、直接に日光を浴びない一つの方法です。
  5. 長袖・長ズボンを着ましょう。
     皮膚の露出を少なくして、皮膚を紫外線から守りましょう。タンクトップよりは長袖で襟(えり)のあるシャツが、半ズボンよりは長ズボンが、ミニスカートよりはロングスカートが良いです。
  6. 屋外に出るときは日焼け止めを皮膚に塗りましょう。
     SPF(sun protection factor)の値やPA分類(protection grade of UVA)が高い日焼け止めを必要に応じて塗りましょう。SPFは、UVB防止効果の指標であり、たいてい50までの数値で示され(50+という50以上を示す表示もあります)、数値が高いほどUVB防止効果が高いです。世界保健機関(WHO)やCDC(米国疾病管理予防センター)は、15以上を推奨しています。PA分類はUVA防止効果の指標であり、+ 、++ 、+++、++++ の4段階があり、+ が多いほどUVA防止効果が高いです。屋外での労働、遊び、運動などでは、2時間ごとに日焼け止めを塗りなおしましょう。汗をかいたときや水泳の後でも、日焼け止めを塗りなおしましょう。防水性の日焼け止めであっても、皮膚に付いた水や汗をタオルでふき取るときに、一緒にふき取られてしまうことがありえます。皮膚に付いた水や汗をタオルでふき取った後でも、すぐに日焼け止めを塗りなおしましょう。
     なお、日焼け止めは、成分として紫外線防止剤を含んでいます。紫外線防止剤には、紫外線散乱剤(無機系素材)と紫外線吸収剤(有機系素材)とがあります。紫外線散乱剤は、酸化亜鉛や酸化チタンなどの微粒子で紫外線吸収剤と比較すると塗布時に白く見え皮膚への刺激が少ないです。紫外線吸収剤は、メトキシケイヒ酸オクチル、ジメチルPABAオクチル、オクトクリレンなどで紫外線散乱剤と比較すると塗布時に白く見えませんが、まれに、かぶれる人がいます。
  7. 太陽灯や日焼け用機器などからの紫外線を避けましょう。
     人工的な紫外線の発生機器からの紫外線を避けましょう。
  8. 紫外線予報を利用しましょう。
     日本では気象庁が平成17 年度から紫外線予報を開始しています。気象庁では、紫外線の強さの指標として、UVインデックスを用いています。UVインデックスは、世界共通の指標です。「紫外線環境保健マニュアル−2015年版−」 (環境省)では、UVインデックスの数値により、下の表のような対策が紹介されています。

紫外線の強さ(UVインデックス)に応じた紫外線対策

UVインデックス紫外線の強さ紫外線対策
1-2 弱い(Low) 安心して戸外で過ごせます。
3-5 中程度(Moderate) 日中は、できるだけ日陰を利用しよう。
できるだけ、長袖シャツ、日焼け止めクリーム、帽子を利用しよう。
6-7 強い(High)
8-10 非常に強い(Very High) 日中の外出は、できるだけ控えよう。
必ず、長袖シャツ、日焼け止めクリーム、帽子を利用しよう。
11以上 極端に強い(Extreme)

横浜市・全国における紫外線情報

 紫外線の強さの指標であるUVインデックスについて、横浜市や全国各地における予測値や速報値の情報をインターネットから得ることができます。

(補足)ビタミンD不足にも注意しましょう

 ビタミンDは、食品としては魚類やキノコ類に多く含まれます。一方、日光中の紫外線を皮膚に浴びることで自分の体内でビタミンDを作る仕組みが人にはあります。材料は体内に豊富に存在する7デヒドロコレステロールという物質で、皮膚にUVBを浴びるとビタミンDが皮下で産生されます。つまり、人は食事からのビタミンDと日光中の紫外線によるビタミンDの両方を使って、必要なビタミンDを得ています。、多くの人は必要なビタミンD(一日400-1000単位、10−25μg)の半分以上を日光中の紫外線に依存しているとされています。皮膚の色の薄い欧米人と比べて、皮膚の色の濃いアジアやアフリカの人々がビタミンD欠乏症に陥りやすいです。特に日光にあたることの少ない人がビタミンD欠乏症に陥りやすいです。また、ビタミンDをつくる紫外線の波長は日焼けをする紫外線の波長とほぼ同じで、SPF30の日焼け止めをしていると、皮下でのビタミンD産生は5%以下に落ちてしまうことにも注意が必要です。日本では近年、ビタミンD欠乏症のため、高度のO脚や、けいれんで外来に受診する乳幼児が増加しています。ビタミンDが不足すると、食事で カルシウムを摂っても十分に吸収されず、カルシウム不足に陥ります。血液中のカルシウム濃度が低下すると、けいれんなどの大きな症状が起こるため、骨からカルシウムを溶かし出して供給するようになります。その結果、骨の強度が低下して曲がりやすくなり、 くる病(主に成長期の子ども)や骨軟化症(成人)といった症状を起こすようになるのです。
 ビタミンD欠乏症の乳幼児が増加していることについては、日焼けを避ける若年女性が増えたことも影響しています。日焼けを避けることで妊婦がビタミンD欠乏状態にあり、そのため、もともと骨量の少ない赤ちゃんが多いうえに、完全母乳栄養やアトピー性皮膚炎に対する除去食、生後の日光浴不足などが重なることがリスク要因として考えられています。
 ビタミンD欠乏症の予防の観点からは短時間の日光浴は必要です。しかし、ビタミンDの食物からの摂取や日光浴等が難しい場合には、ビタミンDのサプリメントを摂取することも一つの方法と考えられます(参考文献5)。

参考文献・・・

  1. United States Environmental Protection Agency(EPA) ; The Burning Facts. ; May 2001, p.1-6.
  2. United States Environmental Protection Agency(EPA) ; The Sun, UV, and You. A Guide to Sunwise Behavior. ; June 1999, p.1-13.
  3. AMERICAN ACADEMY OF PEDIATRICS, Committee on Environmental Health. ; Ultraviolet Light: A Hazard to Children. ; PEDIATRICS Vol. 104 No. 2 August 1999, p.328-333.
  4. 厚生労働省がん研究助成金「地域がん登録の精度向上と活用に関する研究」(主任研究者 津熊 秀明)平成14年度報告書。
  5. 「紫外線環境保健マニュアル−2015年版−」2015年3月改訂版、環境省環境保健部環境安全課。
    http://www.env.go.jp/chemi/kenkou.html
  6. Office of Air and Radiation, United States Environmental Protection Agency(EPA) ; Prevent eye damage. Protect yourself from UV radiation. ; December 2004, p.1-2.
  7. Office of Air and Radiation, United States Environmental Protection Agency(EPA) ; A GUIDE TO THE UV INDEX. ; May 2004, p.1-8.
  8. WHO ; PROTECTING CHILDREN FROM ULTRAVIOLET RADIATION. : Fact Sheet No 261. ; July 2001.
  9. WHO ; Sunbeds, tanning and UV exposure. : Fact Sheet No 287. ; March 2005.
  10. Veierod MB, Weiderpass E, Thorn M, et al. A prospective study of pigmentation, sun exposure, and risk of cutaneous malignant melanoma in women. Journal of National Cancer Institute, Vol. 95, No. 20,October 15, 2003:p.1530-1538.
  11. Global Solar UV Index: A Practical Guide. A joint recommendation of the World Health Organization, World Meteorological Organization, United Nations Environment Programme, and the International Commission on Non-Ionizing Radiation Protection ; World Health Organization, Geneva, Switzerland, 2002.
  12. WHO ; Global disease burden from solar ultraviolet radiation. : Fact Sheet No 305. ; July 2006.
  13. Robyn Lucas, Tony McMichael, Wayne Smith, and Bruce Armstrong : Editors, Annette Pruss-Ustun, Hajo Zeeb, Colin Mathers, and Michael Repacholi ; Solar ultraviolet radiation : global burden of disease from solar ultraviolet radiation (Environmental burden of disease series ; no. 13.) ; Public Health and the Environment, World Health Organization, Geneva, Switzerland, 2006.
  14. Safe Work Australia(: 2009年に設立された労働安全衛生に関わるオーストラリア政府機関); Guide on exposure to solar ultraviolet radiation (UVR); 12/AUGUST/2013.

2004年5月18日掲載
2006年8月4日改訂増補
2007年8月30日改訂増補
2008年5月7日改訂増補
2009年6月1日改訂増補
2011年8月5日改訂増補
2015年7月9日改訂増補
2015年10月7日改訂増補

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感染症・疫学情報課 - 2008年4月1日作成
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