横浜市トップページ > 健康福祉局 > 横浜市衛生研究所 > 保健情報 > 保健情報に関する話題 > フルーツジュース(果汁)と下痢について
ここでは、100%フルーツジュース(100%果汁)であるものをフルーツジュースとして話題にします。フルーツジュースの成分として、一番多いのは水分です。栄養素としては、炭水化物(糖質)が多いです。炭水化物(糖質)としては、サッカロース(蔗糖)、フラクトース(果糖)、グルコース(ブドウ糖)、ソルビトールなどが含まれます。炭水化物(糖質)の濃度は、だいたい11g/100mlから16g/100ml以上です。炭水化物(糖質)によるカロリーとしては、フルーツジュース1mlあたり、だいたい0.44kcalから0.64kcal以上となります。なお、母乳の炭水化物(糖質)の濃度は、7g/100mlです。母乳の炭水化物(糖質)の大部分は、乳糖(ラクトース)です。
二糖類であるサッカロース(蔗糖)は、小腸内でサッカラーゼという酵素により、いずれも単糖類であるグルコース(ブドウ糖)とフラクトース(果糖)とに分解されます。グルコース(ブドウ糖)の吸収は速いです。フラクトース(果糖)については、グルコース(ブドウ糖)の存在下での吸収が良く、グルコース(ブドウ糖)とフラクトース(果糖)とが等しいモル濃度で存在するときがもっとも吸収が良いです。グルコース(ブドウ糖)とフラクトース(果糖)とがほぼ等しいモル濃度で存在する白ブドウジュースよりは、フラクトース(果糖)がグルコース(ブドウ糖)よりも多いリンゴやナシのジュースの方が飲み過ぎによる吸収不良が起こりやすいです。しかし、体重1kgあたり10ml程度以下の量で飲まれる限り、これらのジュースはいずれともよく吸収されます。ソルビトールの吸収は遅く、摂取されたソルビトールの大部分は吸収されません。
小腸で吸収されなかった炭水化物(糖質)は、大腸内の細菌により発酵されます。発酵により水素、二酸化炭素、メタン、短鎖脂肪酸(酢酸、プロピオン酸、酪酸など)などが生じます。これらのガスや脂肪酸の一部は、大腸で吸収されます。吸収されなかった炭水化物(糖質)は、消化管に浸透圧による負荷を与え、下痢を起こすことがあります。
フルーツジュースを飲みすぎたときに、フルーツジュース中の炭水化物(糖質)の吸収不良により、慢性的な下痢、鼓腸(ガスによる腹の張り)、腹痛などを起こすことがあります。フラクトース(果糖)やソルビトールが関与していることが多いです。便秘の場合に、フルーツジュースを飲むことで便通を良くしようとする人もいます。
こどもが急性胃腸炎で下痢症状が見られるとき、100%フルーツジュース(100%果汁)は水分補給の飲料としては適していません。フルーツジュースの炭水化物(糖質)の濃度は、11g/100mlから16g/100ml以上です。このフルーツジュースの炭水化物(糖質)の濃度は、急性胃腸炎で下痢症状が見られるようなときの小腸の吸収能力を超えていて下痢症状をひどくする可能性があります。たとえば、こどもが急性胃腸炎で下痢症状が見られるときについてWHO(世界保健機関)・UNICEF(ユニセフ:United Nations International Children's Emergency Fund : 国連国際児童緊急基金)が推奨している飲料(経口補液)のグルコース(ブドウ糖)の濃度は、1.35g/100mlです。また、フルーツジュースはナトリウムなどの電解質が少なく、ナトリウム濃度は1-3mEq/Lです。こどもが急性胃腸炎で下痢症状が見られるとき、こどもの下痢便中のナトリウム濃度は、およそ20-40mEq/Lと高く、水分だけでなくナトリウムなどもこどもには補給が必要です。たとえば、こどもが急性胃腸炎で下痢症状が見られるときについてWHO(世界保健機関)・UNICEFが推奨している飲料(経口補液)のナトリウムの濃度は、75mEq/Lです。なお、こどもが急性胃腸炎で下痢症状が見られるときについて、WHO(世界保健機関)・UNICEFが推奨する飲料(経口補液)の組成は、下の表のとおりです。
表1. WHO(世界保健機関)・UNICEFが推奨する経口補液の組成(含有成分)
| 重量 | g/L | 浸透圧 | mmol/L |
|---|---|---|---|
| 塩化ナトリウム | 2.6 | ナトリウム | 75 |
| グルコース、無水物 | 13.5 | 塩素 | 65 |
| 塩化カリウム | 1.5 | グルコース | 75 |
| クエン酸三ナトリウム、二水和物 | 2.9 | カリウム | 20 |
| クエン酸 | 10 | ||
| 総計 | 20.5 | 総計 | 245 |
2004年5月7日掲載