里山のスキルアップ研修
森の恵み活用コース3報告
竹炭焼き・意見交換会
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<研修会の概要>・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
◆日 時:平成16年9月18日(土)10:00-18:00(準備7:00-)
平成16年9月19日(日)13:00-14:30
◆場 所:都筑中央公園 ばじょうじ谷戸・レストハウス
◆テーマ:都会で、炭焼きをする場合の課題である“煙”と“臭い”を克服した都筑中央公園里山倶楽部から、炭焼きの方法を学ぶとともに、炭焼きをしている団体同士で技術・ノウハウの交換をすること。
◆講 師:都筑中央公園自然体験施設管理運営委員会(都筑中央公園里山倶楽部)
◆参加団体数:10団体
■趣旨・目的
市内の里山保全活動では、下草刈りや除間伐といった森の手入れにともなって発生する材を、どのように活用するかが課題となっています。いくつかの活用法のなかで、炭焼きは多くの活動団体によっておこなわれている代表的な活動です。しかし、横浜のように活動場所と生活空間が近いところでは、炭焼きの煙やにおいを嫌う近隣住民から苦情が寄せられる場合が多いのが実状です。このようなところでは、炭焼きをおこないたいという意欲があっても、断念せざるをえないことがあります。
この問題と格闘し、1つの解決策を導き出した団体が、都筑中央公園里山倶楽部です。里山倶楽部は、木(竹)ガスを二次燃焼させることによって、煙やにおいをほとんど出さない手法を開発しました。この技術には、県外の市民団体も注目しており、企業からの関心も集めているといいます。
また、里山倶楽部は、煙の色や量を見ずに炭焼きをおこなう必要が生じたことから、パソコンを利用した炭窯の温度管理もおこなっています。さらに、竹酢液の品質に気を配って蒸留するなど、市内はもちろん全国的に見ても、きわめて独創的な炭焼きをおこなっています。 こうしたことから、今回の実習では、煙やにおいを出さない炭焼きの方法、炭窯の温度管理、竹酢液の蒸留方法などを共有化し、技術交流を図る目的で実施しました。あわせて、市内で炭焼きをおこなっている活動団体が集まる絶好の機会なので、団体間の交流がすすむことを期待し、交流会も開催しました。
■実習内容
◆内容:【1日目】
7:00 D2窯火入れ
10:00 開会・趣旨説明
10:10 公園の概要と炭焼きの経緯の説明
11:00 D1窯の窯閉じ・測定機器等の説明
13:15 公園内案内
14:30 炭焼きデータ等の説明・意見交換会(レストハウス)
15:30 竹酢液蒸留見学(レストハウス1階)
16:00 ばじょうじ谷戸へ移動
17:30 終了
【2日目】
13:00 前日の状況説明・確認
13:30 D2窯出し
14:15 まとめ・総括
14:30 終了
1日目・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
都筑中央公園里山倶楽部の炭焼き部会のメンバーは、講座が始まる3時間前の朝7時に「ばじょうじ谷戸」へ集合し、D2窯(ドラム缶製で入り口から見て左側の窯)に火を入れて、先に準備されていました。

炭材を詰めた後の様子
<オリエンテーション>
これまでに、煙やにおいを出さない工夫として、煙突を長くしてガスを十分に冷却することはもちろん、(1) 煙を炭の吸収層に通す方法、(2) 水蒸気を噴霧する方法、(3) パオパオという布に吸着させる方法などを採用してきました。近隣の人家に対しては、こうした努力の経過を説明しながら、理解を得ようとつとめてきたが、いずれの方法も最良とはいえず苦慮していました。
そこで最終解決策として出てきたのが、プロパンガスを使用して、煙(ガス)をガスバーナーで二次燃焼する方法でした。炭焼きに化石燃料を使用することに対しては批判もありますが、煙やにおいの問題を解消できること、また意外にガスの使用料は少なくて済むことから、この方法を採用しているといいます。
煙やにおいが出なくなると、近隣住民からの苦情はなくなる一方で、窯から出る煙の色によって炭焼きにおける口閉じの時宜を判断することができなくなります。このため、里山倶楽部では、排煙部の温度を管理して、炭焼きをおこなうことに決めました。すなわち、熱電対を使って温度を計測し、そのデータをパソコンに自動入力してグラフ化し、その曲線から口閉じなどの時宜を見はからうのだといいます。

炭焼きの概要説明の様子
<ばじょうじ谷戸での炭窯・消煙装置等の見学>
里山倶楽部の場合、窯口で火を焚き始めてから1時間もしないうちに、排煙部の温度が75℃程度に上昇するので、焚き口および煙突を調整し空気の流入量を抑え始めます。それからは、温度が80〜90℃に一定させるようにします。11時に到着したときは、温度がおよそ85℃で維持されている状態でした。

ばじょうじ谷戸窯の見学
多くの参加者は、パソコンを用いた温度管理に興味を持ったようです。市内には、雑木林ファンクラブ、かなざわ森沢山の会、新治市民の森愛護会など、炭焼き時に温度を計測している団体はありますが、里山倶楽部のように電子化・自動化しているところはありません。とくに、データを自動入植してグラフ化するアプリケーションが、里山倶楽部のオリジナルであり、標準的な表計算ソフトExelを改良して作られていることに感心していたようです。

パソコンによる温度管理の方法などを聞く。
炭窯付近での質疑応答が終わると、ガスバーナーによる二次燃焼を見学しました。この消煙装置は、プロパンボンベからガスを引いて、煙突の先に装着したバーナーを燃焼させることで、ほとんど煙やにおいを消してしまいます。実際にこれを見た参加者は、その消煙効果に感心していました。説明によれば、この装置は、炭化が始まり、においがきつくなってから着火するといいます。焚きつけのときに発生する煙に対しては抵抗が少ないので、特に対応していないとのことでした。
<炭焼き討議>
里山倶楽部における炭焼きの現状や特長について説明しました。要約すると、煙が出ない味気ない炭焼きかもしれないけれど、データを管理し共有化しているので、誰でも数回やればできるようになるという利点があります。また、硬い良質の炭を焼きたいと思っているが、データを残しているので、失敗しても原因を探り、新しい工夫も考えることができる、という話でした。
その後、参加者とのディスカッションをしました。
<蒸留装置の見学>
ディスカッションの後、レストハウス下に設置してある蒸留装置を見学しました。里山倶楽部では、6か月静置した竹酢液のうち、沈殿部と上層部を除いた中層部を取り出し、これを蒸留しています。
参加者が感心していたのは、蒸留時の密封方法でした。雑木林ファンクラブ、かなざわ森沢山の会では、うまく密封できずに、蒸発したガスを逃がしてしまうことが多いといいます。一方、里山倶楽部は、適当なオイル缶を用いて、ほぼ完全に密封することができていました。また、里山倶楽部は、蒸発させた気体を液化する水を、風呂用のポンプを使って循環させており、節水に努めているところもユニークでした。

竹酢液をとる手作りの装置
蒸留竹酢液は、採る順にしたがって、茶色に近い色からほとんど透明になるまで変化していきます。これまで、里山倶楽部では、色の濃い蒸留竹酢液は品質が悪いと考え、使用していなかったといいます。しかし、参加者の説明によれば、色の移り変わりはフェノール類が空気に触れたことによる自然な変化なので、その必要はないようです。いずれにせよ、ここでも、こうした高度な議論が展開されました。
<窯閉じ>
当初の予定では、5時頃に窯の口を閉じる予定でした。しかし当日は、午前8時から排煙部の温度が約85℃で一定していました。このように温度管理がうまくいったことは、かつてなかったので、実験を継続するために、口を無理に閉じるのではなく、自然に温度が上昇するのを待つことにしました。
2日目・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
<前日の説明と窯開け>
2日目の講座は、午後1時に「ばじょうじ谷戸」でおこないました。
まず、里山倶楽部から次のように前夜の説明がありました。すなわち、交流会終了後も、しばらく約85℃のまま推移したそうです。窯口を4cm×2mmほど、煙突は2cmφだけ空けて、支援に温度が上昇するのを待ちました。しかし、一向に温度が上がらないので、しびれを切らして窯口を全開にしました。外気が冷えていたためか温度の上昇はゆっくりだったが、次第に上がり、350℃に達しました。ところが、このときの煙は白く、温度も200℃代で前後したので、まだ炭化が十分ではないと推察しました。そこで、一部未炭化を残すか、炭剤を燃焼させてもよいから炭化させるかを協議し、結局、前者を採用しました。
里山倶楽部の推論は、おそらく未炭化材が多いというものでした。ただし、煙突の先で煙の量を調節することによって、完璧に温度コントロールできたという収穫もあったといいます。
この説明を聞いてから、窯を開ける前に、参加者も中の様子を予想しました。その多くは、未炭化が多いというものでした。はたして開けてみると、案の定、未炭化のものが多くありました。その原因についても議論したが、低温でコントロールをしていたので、十分に炭化するほど温度が上がっていなかったのだろうという結論が妥当だったように思われます。

窯出しと焼き上がった竹炭
今後、里山倶楽部では、排煙部の温度だけではなく、窯に12か所くらい熱電対を設置し、窯内の熱の流れを明らかにしたいと意欲を燃やしていました。また、竹酢液の量をコントロールすると良いのではないかという参加者からの提案に対して、里山倶楽部からは、さっそく試行したいという意見が出ました。
竹炭を出し終わり、新たに炭材をドラム缶窯に詰め終わった頃、一通りの議論も終わり、今回の講座をまとめる段となりました。都筑中央公園における炭焼きは、今回が32回目でした。35回以上やらないと良い炭はできないと言われているので、今後も研鑽を積みたいと、里山倶楽部のみなさん。
今回の実習によって、里山保全活動団体にとって、炭焼きというテーマが非常に奥深く、魅力的であることを強く感じました。今後も定期的に、市内の炭窯を転々としながら、炭焼きの技術交流をすすめることができればと思います。
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