- トップメニュー|検索

横浜市泉区役所のトップページへ


このページの本文 ここから

トップページ   >   いず魅力なび   >   歴史   >   いずみいまむかし   >   第2章 地区別小史   >   

普光寺と天神社の筆塚

緑園を中心に開発が進む岡津・新橋地区

15.普光寺(ふこうじ)と天神社(てんじんしゃ)の筆塚(ふでづか)

普光寺
普光寺
天神社の筆塚
天神社の筆塚

 中田さちが丘線沿いに、新義真言宗光応山東光院(こうおうさんとうこういん)普光寺がある。本尊は、像高四七.三cm、玉眼、彩色の聖観音像で、背面に墨書銘がある。この銘文から観音像は、長禄三年(一四五九)に造立されたと考えられる。この仏像から考えて円威和尚が当寺を開創したのはそれ以前ではないかと思われる。

大日本国相州鎌倉府山内懸居口□庵主
致誠命工彫刻
此尊像 伏願現当二世願望円成者
□長禄己卯孟夏吉日謹志

 現本堂は平成三年に落慶した。内陣には弘法大師の一生を描いた欄間があり、境内には歓喜天堂や四国八十八か所の砂が納められた砂踏霊場がある。

 寺の入口にある天神社の境内に「筆塚」と刻まれた石碑が立っている。寺子屋師匠原田由右衛門の門人たちが建立したものである。

 原田由右衛門は、元治元年(一八六四)、四十九歳の時に宅地内で寺子屋「不及庵(ふきゅうあん)稽古所」を開き、上矢部村、岡津村、名瀬村、後山田村(現川上町)、中田村の子弟を教えていた。

 当時、寺子屋への入学のことを、登山といった。登山する時の入学金(束修)や授業料(謝儀)は記録がないので分からないが、鶴見の関口藤右衛門が開いた寺子屋の場合をみると、束修や謝儀は共に百〜二百文であるところから、原田由右衛門が開いた寺子屋も同じようなものであったと思われる。

 教育内容は、いろは四十八文字、十干十二支、国尽、近郷村名、農村往来、消息往来、庭訓往来、実語教、童子教、御触書、五人組帳前書などであつた。

 次の規約は、由右衛門が開いた寺子屋の「対(たい)子供制詞(せいし)之条々(じょうじょう)」(横浜市文化財調査報告書第二十三輯 内田四方蔵調査報告)である。当時の寺子屋の学習内容や様子を知る上で貴重な資料(川上町大山家所蔵文書)なので、全文をここに紹介した。

《対 子供制詞の条々》

一毎朝早朝に出席致し申すべく候こと。
一日々手習い、読み物油断なく出精致し申すべく候こと。
一総じて何事によらず師匠、両親の申し付け候ことあい背き申すまじく候こと。
一張番の者共別して身分を慎み、稚者共へ真実に敬い申すべく候こと。
一軽き者共は、張番の申し侯こと共急度相背き申すまじく候こと。
一惣じてこの席において役人の息子顔をいたし、あるいは、家の大小を論じ、または高慢顔をいたし申すまじく候こと。
一傍輩中、無益の口論等をいたし、あるいは大口悪たい、または大騒ぎ、悪いいたずら等堅くいたし申すまじく候こと。
一総じて紙、墨、筆等そまつにいたし、手本、書物をよごし、顔、手足を墨ぬりいたし、ばか絵を書き申すまじく候こと。
一自分より覚えよき友は、たとえ年下に候とも敬いをうくべく候こと。
一毎日往来の節、途中にてけんか口論、または相撲等いたし、あるいは道ふちの上土を取り川へ投げ込み、総じて火持ち遊び等堅くつかまつるまじく候こと。
一日々往来の節、道淵の麦の穂をぬき、または稲の穂をぬき、あるいは穂をこき、まき散らし申すまじく候こと。
一総じて途中において博打等いたし、また菓子くだもの類買い食い申すまじく候こと。
一家の内にては申すおよばず、途中にても人にあい候節はきっとお辞儀をいたし、失礼これなきようあい心がけ申すべく候こと。
一惣じて読物の内、無益の口きくべからず候こと。
一平日断りなく休むこと申すまじく候こと。
一惣じて言葉遣いていねいにいたし申すべく候こと。
一飼鳥・魚釣など無益な殺生は堅くいたさず申すまじく候こと。
一日々銘々はき物まっすぐに直し、上り下りいたし、みだりに投げちらし申すまじく候こと。
一手習の義は昼前弐度、昼後壱度ずつあい習い申すべく、もっとも雨天の節は昼前後壱度ずつあい習い申すべく候こと。
一読物の義は日々油断無く浚(さらい)い申すべく候こと。

復読之次第

 初 日 実語教 五日目 大学
 二日目 今川  六日目 中庸
 三日目 庭訓  七日目 論語一
 四日目 式目  八日目 論語二
   以下右に順ずべく候こと。

 右の条々、怠りなくあい守り申すべく候 以上

慶応二年丙寅正月吉日    大山氏蔵書

 不及庵稽古所では、当時尊重されていた四書等まで扱っていたようで、農村の寺子屋としては、程度の高い教育を行っていたと考えられる。

 また「手習」は、単に文字を上手に書くというだけでなく、文字を書くときの心構えや、兄弟子や師匠に指導してもらうときの態度や礼儀作法、兄弟子の目下への心構え等まで教えられていたことがわかる。

 

 前のページ ■■■■■ 次のページ   

PDF

いずみいまむかし〜泉区小史〜のPDFはこちら

冊子いずみいまむかしの写真  平成8年11月3日発行
 泉区制十周年記念出版
  いずみ いまむかし
    −泉区小史−  より



問合せ先
区政推進課広報相談係 1階101番
電話:045−800−2337
FAX:045−800−2506
※由来・歴史などの詳細については回答できかねますので、ご了承ください。