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泉区の養蚕製糸業

第4章 文化と産業

6.泉区の養蚕製糸業

持田製糸場

 神奈川県北部・西部の山間や中央部の台地では、江戸時代から養蚕や製糸が行われていたが、横浜港貿易と結びついてとくに盛んになるのは、明治二十年代からである。かつての鎌倉郡のうち、現在泉区や瀬谷区となっている地域はその中心の一つであった。明治三十三年(一九〇〇)の「鎌倉郡名所旧蹟誌」には、「養蚕年々盛にして、近年は重要な一産物となるに至れり」「工業の重なるは製糸業なり、西北部養蚕方に追々繁昌す」「中和田五、瀬谷二、中川五か処の製糸場あり」と記されている。

 鎌倉郡の養蚕製糸業について、数値の判明する明治十七年以降の推移を、『神奈川県統計書』のデータをもとに推測してみると、次のようなことがわかる。

(1) 桑園面積が明治二十二年以降増大している。大正期には畑の周りに桑を植える「圃場周囲桑園」だけでなく、桑葉の販売を目的とする「専用桑園」も増大したと考えられる。

(2) 繭の生産額は昭和初期まで一貫して増大傾向にあり、明治末期以降は、春蚕(はるご)のみならず、夏蚕や秋蚕、さらには晩秋蚕(さん)を用いて年に二度も三度も養蚕を行なう専業的な農家が増えている。

(3) 器械製糸工場は明治二十二年の持田製糸を筆頭に続々と誕生し、三十四年頃をピークに、その後は減少するが、それにもかかわらず、生糸の製造高は昭和十年代まで増大傾向を示している。その間、工場の経営規模が拡大するとともに、動力も人力や水力から蒸気力へ、さらに電力の導入へと高度化し、生産力が向上しているのである。

(4) 全体的にみて、明治期から昭和初期にかけての鎌倉郡の養蚕製糸業には、三つの山があったようにみうけられる。

 1. 日露戦争後の明治末期、 2. 第一次世界大戦後の大正初期、そして 3. 昭和の初期である。昭和十年代以降、下降の一途を辿るのは、全国的な趨勢と軸を一にしている。

 全盛期に属する大正五年(一九一六)度については、各種統計が揃うので、やや詳しく見てみよう。

 まず『神奈川県統計書』をみると、養蚕製糸業の盛んな地域は、養蚕では高座・愛甲・津久井の三郡、製糸ではこれに鎌倉・足柄上を加えた五郡であった。鎌倉・足柄上両郡は大半が器械製糸、愛甲・津久井は座繰製糸、高座は相半ばしていた。

 『鎌倉郡々勢要覧』によると、郡内で養蚕製糸業地帯を形成していたのは、北部の中和田・中川・瀬谷の三か村であり、全戸数に対する養蚕農家の比率は中和田村六五%、中川村七六%、瀬谷村九三%で、一戸当たり従事者は三人から五人であった。

 『神奈川県鎌倉郡中和田村勢要覧』には、「本村副業中長足の進歩をなせるは養蚕業にして、本村生産額の第二を占め、前途大に有望なるを以て、一般の注意を惹くや多大なり」と記されている。これには大字単位のデータが収録されているので、これと上記二つの文献に記載されているデータを合わせ、近隣の瀬谷村や中川村、それに都筑郡や高座郡とも比較できるように、次頁の表にまとめてみた。この表から、養蚕業が盛んだったのは、郡でいえば高座郡、村では瀬谷村を筆頭に、中和田村がこれに続いており、その中では上飯田と下飯田はとくに盛んだったことがわかる。境川の中流域に属するこの地帯一帯が県内有数の養蚕業地帯だった。

 

     項  目


郡  名 
戸数  飼育戸数(戸) 収繭高(石) 価額(円) 戸当繭生産価額(円)※  
 
典拠
鎌 倉 郡 鎌倉郡    春蚕 8,786 2,772 5,827.00 290,484.00 33.64 2
夏蚕 131 121.00 5,067.00
秋蚕 2,150 2,171.00 104,429.00
中 和 田 村 中和田村 春蚕 690 379 1,096.00 63,558.00 134.77 3
秋蚕 413 555.40 29,436.20
下飯田 春蚕 70 48 118.75 6,877.50 141.56 3
秋蚕 50 57.20 3,031.60
上飯田 春蚕 162 101 300.00 17,400.00 158.90 3
秋蚕 113 157.40 8,342.20
和 泉 春蚕 316 146 471.00 27,318.00 130.76 3
秋蚕 159 264.20 14,002.60
中 田 春蚕 142 84 206.25 11,962.50 112.83 3
秋蚕 91 76.60 4,059.80
瀬谷村 春蚕 553 460 1,510.00 73,890.00 199.20 2
夏蚕 35 44.00 1,927.00
秋蚕 455 700.00 34,340.00
中川村 春蚕 593 490 1,030.00 46,420.00 130.44 2
夏蚕 70 58.00 2,368.00
秋蚕 450 570.00 28,560.00
都筑郡 春蚕 6,540 2,601 5,399.00 241,237.00 56.46 1
夏蚕 59 34.00 1,457.00
秋蚕 2,829 2,852.00 126,562.00
高座郡 春蚕 16,202 9,966 26,284.00 1,251,926.00 125.30 1
夏蚕 852 423.00 19,394.00
秋蚕 9,698 16,788.00 758,733.00

〔典拠〕
1.『神奈川県統計書』(大正5年度版)
2.『鎌倉郡々勢要覧』(鎌倉郡役所、大正5年)
3.『神奈川県鎌倉郡中和田村勢要覧』(中和田村役場、大正6年3月)。ただし、かなり多くの集計ミスがあると思われるので、それらは修正してある。
※全戸数を分母とする値。

 

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 泉区制十周年記念出版
  いずみ いまむかし
    −泉区小史−  より



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